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2026/08/06Copilot
セキュリティAI活用

個人契約のChatGPT等を業務に使うリスク

個人契約のChatGPT等を業務に使うリスク

「うちの社員が、自分でChatGPTの有料版を契約して仕事に使っているらしい」——AIの話を始めた会社で、途中から必ず出てくる報告です。多くの場合、経営者はそれを知ったのが最近です。

結論から言うと、問題は社員の行動ではなく、契約主体が会社ではないという構造にあります。そして禁止しても止まりません。止まらない理由も構造にあり、解き方は「会社として使えるものを用意する」ことです。

株式会社Fyveは中小企業のAI業務効率化を受託しており、この状態から相談が始まることが少なくありません。この記事では、リスクを煽らずに構造として分解し、実務的な打ち手を整理します。

最初に範囲を書いておきます。この記事が扱うのは「個人が契約したAIサービスを業務に使う」という構成の問題で、特定の製品の問題ではありません。相談で出てくる名前がChatGPTの有料版であることが多いので例として挙げますが、論点は契約の主体がどちらかという点なので、サービスが何であっても同じです。逆に言えば、個別のサービスの規約や設定は、その会社の公式情報で確認する以外に方法がありません。この記事でも、確認すべき項目までを示して、中身の断定は避けます。

シャドーAIは「隠れて悪いことをしている」ではない

まず前提を揃えます。会社の許可なく業務でAIサービスを使う状態は「シャドーAI」と呼ばれますが、これは規律の問題として扱うと解けません。

個人契約で使い始める人には、共通した動機があります。

  • 仕事が速くなるから——文章の下書き、要約、翻訳、調べもの。実際に効く
  • 会社が用意していないから——申請しても時間がかかる、あるいは相談する窓口がない
  • 個人で払える金額だから——月数千円は、自分で出せる範囲に収まっている
  • 禁止されていないから——明確なルールがないため、判断が本人に委ねられている

この4つはいずれも、業務に前向きな人ほど当てはまります。つまりシャドーAIが起きている会社は、改善意欲のある社員がいる会社です。ここを「勝手なことをするな」と処理すると、意欲ごと止まります。

解くべきは動機ではありません。会社が把握できない場所に業務データが入っている、という状態そのものです。

リスクを5つに分解する

漠然と「危ない」と言っても社内は動きません。何がどう危ないのかを分けます。

1. 契約の当事者が会社ではない

これが最も本質的な点です。個人契約のサービスは、その個人とサービス提供事業者の間の契約です。会社は当事者ではありません。

したがって会社は、そのサービスに対して次のことを一切要求できません。

  • データをどう扱うかについての条件
  • データをどこに保管するかについての条件
  • 問題が起きたときの責任の範囲
  • データの削除や返還の請求

法人向けのサービス契約であれば、これらは契約条件として交渉・確認の対象になります。個人契約では、会社は契約の外側にいます。顧客情報や取引条件がそこに入力されていても、会社としては手を出せません。

2. 会社が把握できない

誰が、いつ、何を入力したかの記録が会社に残りません。監査の対象にもなりません。

これは事故が起きたときに問題になります。「顧客情報が外部サービスに入力されていないか」を確認する必要が生じたとき、確認する手段がありません。本人に聞くしかなく、本人の記憶に依存します。

取引先から情報管理体制について問われる場面や、監査の場面で、この「確認できない」状態は説明に困ります。

3. 退職時に止められない

会社のアカウントであれば、退職時に無効化できます。個人アカウントは無効化できません。

過去に入力した業務データは、そのアカウントの履歴として残ります。退職後もその人のアカウントからアクセスできる状態が続きます。会社側にできることは何もありません。

これはPCやスマートフォンの回収では解決しません。データは端末ではなく、そのアカウントに紐づいています。

4. 出力の品質と責任が管理されない

4つ目は情報漏洩とは別の論点です。生成された文章がそのまま社外に出ていく可能性があります。

Microsoftの公式ドキュメントは、生成AIの出力についてこう述べています。「生成 AI によって生成される応答は、100% 事実であるという保証はありません。応答の改善を続けていますが、他のユーザーに送信する前に、出力を確認する際には依然としてユーザーによる判断が必要です」(Microsoft 365 Copilot のデータ、プライバシー、セキュリティ|Microsoft Learn)。

会社として用意した道具であれば、この前提を全員に共有できます。個人が個別に使っている状態では、確認の基準が人によって違います。誰がどこまで確認しているかが分かりません。

5. 業務の工夫が会社に残らない

リスクとしては語られませんが、実務上の損失として大きいのがこれです。

個人契約で使っている人は、たいてい相当な工夫を蓄積しています。どう指示すれば使える出力が出るか、どの作業には向かないか。その知見は、その人のアカウントの履歴と頭の中にしか残りません。

会社の環境で使っていれば、その工夫は共有できます。他の人が同じ作業を同じ品質でできるようになります。個人契約のままだと、AIを使えるようになった人が1人増えただけで、会社としての能力は上がりません。

これは属人化と同じ構造です。道具が個人に紐づいている限り、成果も個人に紐づきます。

個人契約で業務にAIを使うときに起きる5つのこと

「学習に使われるのか」は必ず規約で確認する

この論点でよく語られるのが「入力したデータがAIの学習に使われる」という話です。ここは慎重に扱う必要があります。

学習への利用や保持期間の扱いは、サービスごと、プランごと、そして設定ごとに異なります。同じサービスでも個人向けプランと法人向けプランで扱いが違うことがあり、設定で変更できる場合もあります。

したがってここで断定的な説明はしません。自社の社員が使っているサービスについて、そのプランの規約と管理設定を実際に確認してください。「たしか学習に使われるはず」という理解で社内説明をすると、後から事実と違ったときに説明全体の信頼が落ちます。

確認すべき項目は次の4つです。

  • 入力内容がモデルの改善・学習に使われるか。既定値はどちらか
  • 使われない設定にできるか。誰がその設定を変えられるか
  • 入力内容の保持期間はどれくらいか
  • 管理者が利用状況を確認できる仕組みがあるか

この4項目を、実際に使われているサービスの公式情報で確認する。それがこの論点の正しい進め方です。

参考:Microsoftは自社の個人向け無料版について何と書いているか

規約の書き方の一例として、ベンダー自身が明示している記述を挙げます。ただし以下はMicrosoft製品についての記述です。他社のサービスに当てはめることはできません。

個人用の無料版である Microsoft Copilot について、公式ドキュメントは「Microsoft Copilot はコンシューマー バージョンであり、無料で利用できます」「これは、個人のタスクを支援し、インターネットからの情報を使用することができます」と位置づけた上で、こう注意しています。

「プロンプトに機密性の高い作業情報や独自の作業情報を追加しないでください。」

出典は自分に適した Copilot を決定する(Microsoft Learn)です。

ここから読み取れるのは、Microsoftが自社の無料コンシューマー版について、業務情報の入力を想定していないと書いているという事実だけです。それ以上に広げないでください。

とくにこの記述を「個人向けの製品を業務に使うのは一般に想定外だ」という一般論の根拠にはできません。ChatGPTの有料版は有料の個人向けプランであり、別のベンダーの別の課金形態です。無料製品についての注意書きを、他社の有料プランの説明に使うことはできません。

社内で説明する必要がある場合は、自社の社員が実際に使っているサービスの公式情報を引いてください。前の項に挙げた4項目がその確認作業です。他社の記述を代わりに使うと、後から事実と違ったときに説明全体の信頼が落ちます。

「禁止」が機能しない3つの理由

相談を受けた会社で最初に出る対策は、たいてい「業務でのAI利用禁止」です。これはほぼ機能しません。

1. 使っていることを確認できない

個人アカウント・個人端末での利用を、会社が技術的に検知するのは容易ではありません。禁止しても、守られているかを確認できません。確認できないルールは、守っている人だけが不利になります。

2. 業務が遅くなる方向の指示になる

すでにAIで速くなっている作業がある人にとって、禁止は「遅い方法に戻れ」という指示です。合理的な理由がなければ従われません。そして表向きは従い、実際には使い続ける状態になります。これは禁止前より悪い状態です。把握できないまま、報告もされなくなります。

3. 代替が示されていない

禁止だけを出して代替を示さないと、社員には「会社は改善に関心がない」というメッセージとして伝わります。次に何か気づいたことがあっても、報告されません。

したがって打ち手は、禁止ではなく置き換えになります。

会社として使えるものを用意する

ここで多くの会社が「ではAIに予算を付けるのか」と身構えますが、Microsoft 365 を使っている会社には先に確認すべきことがあります。

Microsoftの公式ドキュメントは、Copilot Chat について「Microsoft 365 サブスクリプションに含まれ、Outlook や Teams などの Microsoft 365 アプリに統合された AI チャット ツールです」と記載しています。

つまり Microsoft 365 を契約している会社は、追加費用なしで、会社のアカウントで使えるAIチャットをすでに持っている可能性があります。これがそのまま代替になります。

ただし条件が2つあります。公式は「Copilot Chatは、対象となる Microsoft 365 ライセンスでのみ使用できます」と明記し、対象一覧に Microsoft 365 Business Basic/Business Standard/Business Premium を挙げています。加えて最小要件として、Microsoft Entra ID(Azure AD)アカウント——会社が発行した職場アカウント——でのサインインが必須とされています。自社の契約プランが対象一覧に入っているかを先に確認してくださいMicrosoft 365 Copilot Chatの最小要件|Microsoft Learn)。

何が変わるのか

個人契約から会社のアカウントに置き換わると、先に挙げた5つのリスクのうち①②③の3つが構造的に解消し、⑤は解消できる状態になります。残るのは④だけです。

  • ① 契約の当事者が会社になる——公式は「エンタープライズ データ保護(EDP)」として、「EDP を使用すると、プロンプトと応答は、Exchange でのメールと SharePoint のファイルに対して、お客様から広く信頼されている同じ契約条件とコミットメントによって保護されます」と説明している
  • ② 会社が把握できる——公式には、Copilot が「秘密度ラベルを継承し、保持ポリシーを適用し、対話の監査をサポートし、管理設定に従います」と記載されている。ただし「特定のコントロールとポリシーは、基になるサブスクリプション プランによって異なります」とも書かれているため、自社プランで何が使えるかは確認が必要
  • ③ 退職時に止められる——会社が管理するアカウントであるため、アカウントの停止がそのまま利用の停止になる

学習利用についても公式に明記があります。「他の Copilot オファーと一致して、Microsoft Graph を通じてアクセスするプロンプト、応答、データ は、基盤モデルのトレーニングには使用されません」(Microsoft 365 Copilot と Microsoft 365 Copilot Chat でのエンタープライズ データ保護|Microsoft Learn)。

⑤(業務の工夫が会社に残らない)は、構造としては解ける側に移ります。会社のアカウントで使えば、うまくいった頼み方を社内で共有できる状態になります。ただし自動では起きません。共有する場を作らないと、道具が会社のものになっただけで知見は個人に留まります。後述する「使った作業を共有する場」がその仕掛けです。

そして④(出力の品質と責任)だけは仕組みでは解決しません。会社のアカウントにしても、出力を確認するのは人です。ここはルールと教育で扱う領域として残ります。

Copilot Chatと有料版の違い|切替の見極め方
CopilotCopilot Chatと有料版の違い|切替の見極め方

含まれる範囲の限界も伝えておく

ここで正確に伝えるべき点があります。含まれている Copilot Chat は、公式の説明では「Web に基づいている」AIチャットです。社内のメールやファイルを読ませて回答させる機能は、有料の Microsoft 365 Copilot ライセンスの範囲です。

ただしシャドーAIの置き換えという目的では、これで足りるケースが多くあります。個人契約で行われている作業の中身を聞くと、たいてい次の範囲です。

  • メールや文書の下書きを作る
  • 長い文章を要約する
  • 調べものをする
  • 言い回しを整える、翻訳する

これらは社内データの参照を必要としません。つまり追加費用なしの範囲で置き換えられます。社内データを読ませたい要求が出てきた段階で、初めて有料ライセンスの検討に入ります。その段階での構成の組み方は別記事で整理しています。

Business StandardにCopilotを足す構成設計
CopilotBusiness StandardにCopilotを足す構成設計
個人契約と会社アカウントの違い(契約主体・監査・退職時・費用)

ルールは3行で足りる

AI利用規程を作ろうとして、何ページもの文書を作り始めると完成しません。最初に必要なのは3行です。

  • 1行目:業務で生成AIを使うときは、会社が用意したアカウント(Microsoft 365)で使う
  • 2行目:個人のアカウントで契約したサービスに、業務のデータを入力しない
  • 3行目:生成された内容は、社外に出す前に必ず人が確認する

この3行の順序が重要です。1行目に「使ってよい」を置き、2行目に禁止を置く。逆順にすると禁止の文書になり、受け取られ方が変わります。

これに加えて、判断に迷ったときの相談先を1人決めて書き添えます。相談先が書かれていないルールは、迷った時点で無視されます。

細かいルールは後から足す

「顧客名は入力してよいか」「金額は」「図面は」といった個別の判断は、運用しながら足します。最初から網羅しようとすると、想定していない事例が出た時点で機能しなくなります。3行から始めて、実際に出た質問を追記していく形が続きます。

AI利用ルールの3行と、その順序

個人アカウントと会社アカウントの見分け方

社員が「会社のアカウントで使っています」と言っていても、実際には個人アカウントというケースがあります。見分ける手がかりを挙げます。

  • サインインに使っているメールアドレス——会社のドメインかどうか。フリーメールなら個人
  • 「職場または学校アカウント」と表示されるか——Microsoftのサービスでは、組織アカウントと個人アカウントで表示が分かれる
  • 「仕事」「個人」の切り替えが出るか——公式ドキュメントには、Microsoft Copilot で職場アカウントが有効な場合に「仕事」または「個人」を選択できる旨が記載されている
  • 支払い方法——本人のクレジットカードなら個人契約

会社のドメインのメールアドレスで個人向けサービスに登録している、という中間パターンもあります。この場合、メールアドレスが会社のものであっても契約は個人のものです。ドメインだけでは判断できません。

実態を把握する現実的な方法

技術的な検知の仕組みを整える前に、中小企業でできることがあります。

1. 経費精算を見る

個人契約でも、会社に経費として請求している場合があります。サブスクリプションの明細に、AIサービスの名前が並んでいないか。ここで実態が判明するケースが最も多くあります。

逆に、経費請求されていない場合は自腹で使っているということです。その場合、その人は業務改善のために自分で費用を負担しています。責める対象ではありません。

2. 聞く

最も確実な方法です。ただし聞き方で結果が変わります。

「勝手に使っていないか」と聞けば、答えは返りません。「業務が速くなる道具を会社として用意したい。いま自分で使っているものがあれば教えてほしい」と聞く。この形にすると、実態が集まります。同時に、何に使っているかという情報も得られます。

その情報は、会社として何を用意すべきかの判断材料になります。禁止のための調査ではなく、設計のための聞き取りとして行うと、協力が得られます。

3. 会社の道具を先に配る

把握より先に代替を配る、という順序もあります。すでに含まれている Copilot Chat を使えるようにして、使い方を案内する。会社の道具が使える状態になれば、個人契約を続ける理由が減ります。

この順序の利点は、調査という構えを取らずに済むことです。組織の規模が小さいほど、調査という形を取ると身構えられます。

社内への伝え方——順番で結果が変わる

同じ内容でも、伝える順番で受け取られ方が変わります。実務で機能した順番を示します。

1. 先に「用意した」を伝える

最初のアナウンスを「会社のアカウントでAIチャットが使えるようになりました」から始めます。使い方の案内を添えます。ここに禁止の話を混ぜません。

禁止を同じ文面に入れると、全体が「取り締まりの通知」として読まれます。すると、いま使っている人は名乗り出なくなります。

2. 数週間後にルールを出す

会社の道具が実際に使える状態になってから、3行のルールを出します。この順番なら、2行目の「個人アカウントに業務データを入力しない」が実行可能な指示になります。代替がある状態での禁止は、代替がない状態での禁止と意味が違います。

3. 使っていた人を責めない

移行の過程で、個人契約で使っていた事実が判明します。ここでの対応が、その後の報告文化を決めます。

責める対応をすると、次に何か気づいた人は黙ります。「先に見つけて使い始めていたのは助かった。会社の環境ではこう使ってほしい」という扱いにすると、その人が社内の案内役になります。すでに使い方を知っている人が社内にいるのは、導入において有利な条件です。

4. 使った作業を共有する場を作る

ルールだけを出しても利用は広がりません。「この作業でこう使えた」を共有する場——月1回の短い持ち回りでも構いません——を作ると、使い方が伝播します。

この場は、シャドーAIの再発防止にもなります。会社の道具で足りない場面が出てきたら、そこで報告されるようになります。報告される状態が維持できていれば、把握のための調査は不要になります。

よくある質問

社員が自腹で使っているなら、会社に関係ないのでは

費用の負担者と、データの帰属は別の問題です。入力されているのが業務データであれば、それは会社の情報です。誰が払っているかに関係なく、会社が管理できない場所に会社の情報がある状態が論点になります。

会社としてChatGPTの法人プランを契約する選択肢もありますか

あります。法人向けプランであれば、契約の当事者が会社になり、管理者による統制も可能になります。判断材料は、どのサービスが自社の業務に合うかです。ただしMicrosoft 365 を既に使っているなら、追加費用なしで使える範囲を先に確認してから比較するのが順序として合理的です。

すでに顧客情報を入力してしまった社員がいます

まず何が入力されたかを本人から聞き取り、記録します。その上で、使われたサービスの規約と設定を確認し、削除の手段があるかを調べます。ここは推測で判断せず、そのサービスの公式情報に従ってください。取引先への報告義務が生じる可能性がある場合は、契約内容の確認が必要になります。判断が難しい場合は、契約や個人情報の取り扱いについて専門家に相談してください。

Copilot Chatなら顧客情報を入力してよいのですか

「入れてよい」と一律には言えません。エンタープライズデータ保護の対象になるという契約上の位置づけと、自社の情報管理規程や取引先との契約で許されるかは別の判断です。会社として何を入力してよいかは、自社で決める必要があります。その判断のために、まず契約上の位置づけを正確に把握するという順序になります。

Web検索を伴う場合の扱いはどうなりますか

公式ドキュメントには、Web検索のクエリについて別の扱いが説明されています。「Bing検索サービスに送信された Web クエリは、両方の Copilots によって同じように処理されます。クエリは、プロンプトからいくつかの単語に生成されます。ユーザーとテナントの識別子が削除されたセキュリティで保護された接続を介して送信されます。これらは広告主と共有されず、基盤となる大規模言語モデル (LLM) のトレーニングには使用されません」とされています。

一方で、「Bing検索サービスは、Microsoft 365 とは別に動作し、Microsoft のプライバシーに関する声明と共に、各ユーザーと Microsoft の間で Microsoft サービス契約の対象となるさまざまなデータ処理プラクティスを備えています」とも記載されています。プロンプトと応答の保護と、Web検索クエリの扱いは同一ではありません。詳細はエンタープライズ データ保護(Microsoft Learn)で確認してください。

社内に情報システム担当がいません

3行のルールを出すことと、含まれている Copilot Chat を案内することは、専任担当がなくても実行できます。技術的な検知の仕組みづくりは後回しにして構いません。順序として、代替を用意する方が先です。

禁止するべきケースはありますか

取引先との契約で情報の取り扱いが厳格に定められている業務、あるいは法令で扱いが制限される情報を扱う業務では、明示的な制限が必要になります。その場合も「全面禁止」ではなく「この業務のこの情報については使わない」という範囲の指定にする方が守られます。

まとめ

社員の個人契約による生成AI利用について、要点を整理します。

  • 規律の問題ではなく構造の問題——使い始める動機は業務改善で、意欲のある人ほど当てはまる
  • 核心は契約の当事者——個人契約では、会社はデータの扱いについて何も要求できない
  • 把握できない・退職時に止められない——記録が会社に残らず、アカウントを無効化できない
  • 学習利用の扱いは断定せず確認する——サービス・プラン・設定で異なる。推測での社内説明は避ける
  • 禁止は機能しない——確認できず、遅くなる指示であり、代替がない
  • 工夫が会社に残らない——個人のアカウントに紐づいた知見は共有できない。属人化と同じ構造
  • Microsoft 365 には追加費用なしのAIチャットが含まれる——公式明記。ただし対象となるライセンスと職場アカウントでのサインインが条件。自社プランが対象かを先に確認する
  • 置き換えで解けるのは5つのうち4つ——契約主体・把握・退職時は構造的に解消、知見の共有は「できる状態」になる。出力の確認だけはルールと教育の領域として残る
  • ルールは3行から——「会社のアカウントで使う」を1行目に置く

この論点を「情報漏洩の危険」として社内に伝えると、話は身構えたところで止まります。「会社として使える道具を用意する」という枠で扱うと、実態が集まり、対策も進みます。個人契約が起きているのは、会社が用意していないからです。用意すれば置き換わります。私たちが相談を受けたときも、最初に確認するのは違反の有無ではなく、すでに契約に含まれているものが使える状態になっているかどうかです。

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