GPT-6.1 Terraと5.6 Terraの違いと乗り換え
「GPT-6.1 Terraが出たけれど、いまGPT-5.6 Terraで動いている仕事を切り替えるべきか」「名前の数字が変わっただけで、中身の違いはどこにあるのか」——同じ「Terra」の名前のモデルが続けて出ると、こう迷う方は多いはずです。
結論から言うと、GPT-6.1 TerraとGPT-5.6 Terraの違いは「同じ器のまま、性能が上がって料金が半分以下になった」ことです。一度に読める量(約105万トークン)や effort の6段、使えるツールは同じで、APIの単価は入力が半分、出力は6割近く下がりました。そのうえで、ソフトを操作する仕事の評価では medium どうしで15ポイント上がっています。ほとんどの使い方では乗り換えて損はありません。ただ、Chat Completions でツールを呼んでいる仕組みだけは、先に Responses API へ書き換える必要があります。
株式会社Fyveは、中小企業のAI導入を支援しながら、自社でも毎日の自動化の仕事でCodexとOpenAIのモデルを使い分けています。この記事では、OpenAIの公式のモデルページと移行の手引きで確かめた違いを1枚の表にまとめ、乗り換えるかどうかを判断する手順を整理します。あわせて、同じ仕事を2つのTerraに3回ずつ出して比べた結果も載せます。
GPT-6.1 Terraが何で、どんな仕事に向くかの全体像は、次の記事にまとめています。
GPT-6.1 TerraとGPT-5.6 Terraの違いを1枚の表で
GPT-6.1 Terraは、OpenAIが2026年10月26日(米国時間)に発表した中位のモデルです。前の世代のGPT-5.6 Terraは、2026年6月26日に発表され、7月9日に一般提供が始まりました。どちらも「Terra」=能力・速さ・費用の釣り合いを取った中位の器で、上に Sol(GPT-6.1 Sol)や Astra(GPT-6 Astra)があります。
OpenAIの開発者向けのモデルページで、2つのモデルの仕様を並べると次のとおりです(2026年10月27日時点)。
項目 | GPT-6.1 Terra | GPT-5.6 Terra |
|---|---|---|
APIのモデル名 | gpt-6.1-terra | gpt-5.6-terra |
APIの単価(100万トークンあたり・税別) | 入力 $1/キャッシュ読み取り $0.05/出力 $5 | 入力 $2/キャッシュ読み取り $0.20/出力 $12 |
一度に読める量(コンテキスト) | 1,050,000トークン(入力は最大922,000) | 同じ |
一度に出せる長さ | 128,000トークン | 同じ |
知識の締め切り | 2026年6月1日 | 2026年2月16日 |
effort(推論の強さ) | none・low・medium(既定)・high・xhigh・max | 同じ6段・既定も medium |
Responses API で使えるツール | Web検索・ファイル検索・画像生成・コード実行・computer use・MCP など10種 | 同じ10種 |
ChatGPT Work・Codex での利用の枠 | 5.6 Terra より長く持つ(OpenAIの発表) | — |
表を見ると、変わったのは「単価」「知識の締め切り」「中身の性能」の3つで、使い方の器はそっくり同じだと分かります。一度に読める量も effort の段も、使えるツールも変わりません。いまGPT-5.6 Terraに渡している指示や資料の大きさは、そのままGPT-6.1 Terraに渡せます。
知識の締め切りが約3か月半新しくなった点は、地味ですが効きます。2026年3月〜5月に出たツールや制度の名前を、検索させなくても知っている可能性が上がるからです。ただし、それより後の出来事は知りません。新しい話題を扱う仕事では、これまでどおり検索か資料を渡してください。

性能の違い:同じ effort で前の世代の max を超える
OpenAIは発表で、GPT-6.1 TerraがGPT-5.6 Terraを大きく上回ると説明しています。OpenAIの開発者フォーラムの告知の言葉では「substantially outperforms(大きく上回る)」です。発表の図から、前の世代との差がはっきり出ている評価を4つ抜き出します(どれもOpenAI自身が測った値です)。
- Agents' Last Exam(ソフトを操作して仕事を終える力):medium どうしで 42.6% → 57.6%。15ポイント上がり、1件あたりの費用は $0.84 → $0.29 と約3分の1になった
- OSWorld 2.1(デスクトップのアプリを操作する力):新しい Terra の medium(66.7%)が、前の世代の max(57.1%)を上回った
- Terminal-Bench 4.0(コマンドラインのコーディング):max どうしで 21.5% → 50.3%。2倍以上になった
- 誤りを誘いやすい質問での誤り率:low で 53.6% → 16.7%、max で 22.3% → 4.3%
4つに共通するのは、「新しい Terra の medium が、前の世代の max と同じか上」という点です。乗り換えるときに effort を上げる必要はなく、むしろ下げても前より良い結果が出る可能性があります。effort を下げれば、そのぶん推論のトークンが減って費用も時間も減ります。
一方で、誤り率の数字は読み方に注意が要ります。OpenAIのシステムカードによると、この評価は「誤りがあった」と報告された会話から作った問題集で、ふだんの利用での誤りの率ではありません。「前より誤りが減った」とは言えても、「確認しなくてよくなった」とは言えません。評価ごとの数字と、外部の評価機関の結果は次の記事で詳しく整理しています。

料金の違い:入力は半分、出力は58%下がった
APIの単価は、GPT-5.6 Terraの入力 $2・出力 $12 から、GPT-6.1 Terraの入力 $1・出力 $5 になりました(100万トークンあたり・米ドル・税別・2026年10月27日時点の公式の料金ページ)。キャッシュの読み取りは $0.20 から $0.05 へ、4分の1です。272Kトークンを超える長い入力で単価が上がる決まり(入力2倍・出力1.5倍)は、どちらのモデルも同じです。
ここで1つ補足しておきます。GPT-5.6 Terraは、一般提供の時点では入力 $2.50・出力 $15 でした。2026年7月30日(米国時間)にOpenAIが値下げし、いまの $2・$12 になっています(Impress Watch などが報道)。OpenAIの言う「標準のAPI価格で50%安い」は、値下げ後の5.6 Terraと比べた数字です。夏より前に5.6 Terraで見積もりを作った方は、二段階で安くなっていると考えてください。
条件ごとの単価の表と、使い方ごとの月額の試算は、料金を専門に扱った次の記事にまとめました。
ChatGPT Work や Codex を月額のプランで使っている場合は、単価の代わりに「利用の枠の持ち」が変わります。OpenAIは、GPT-6.1 Terraのほうが5.6 Terraより枠が長く持つと発表しています。どれだけ長く持つかの数字は示されていません。
手元で比べたこと:同じ仕事を2つのTerraに3回ずつ
OpenAIの移行の手引きは、Terraを乗り換えるときは「GPT-5.6 Terraと同じ effort で、代表的な画像と仕事の流れで比べる」よう勧めています。そこで、私たちの環境で2種類の仕事を比べました。条件は次のとおりです。
- 2026年10月27日、ChatGPTアカウントでサインインした Codex CLI 0.164.0
- effort はどちらも medium(API の既定と同じ)
- 同じ指示を各モデルに3回。費用は Codex が返したトークン数に、APIの Standard の単価をかけて計算した(Codex を月額のプランで使う分には、この金額は請求されない)
1つ目:約8,400字の記事を3行に要約する
私たちが書いた記事の本文を渡して、3行に要約させました。
モデル | 1回の時間 | 1回の費用(API換算) | 要約の中身 |
|---|---|---|---|
GPT-6.1 Terra | 4.4〜5.2秒 | $0.008〜$0.012 | 3回とも要点を押さえ、試算の金額まで拾った |
GPT-5.6 Terra | 6.3〜7.4秒 | $0.021〜$0.026 | 3回とも要点を押さえた。金額は拾わなかった |
中身はどちらも実用に足りました。差が出たのは費用と時間で、GPT-6.1 Terraは1回の費用が半分以下、時間も1〜2秒短くなりました。推論のトークンは6回とも0で、どちらのモデルも「考えずにそのまま書いた」仕事です。
2つ目:料金のグラフの画像から金額を読み取る
Terraの売りの1つは画面や図を読む力です。そこで、料金の記事に載せた棒グラフの画像を渡し、「右端の9つの金額を上から書き出して」と指示しました。実はこのグラフに金額は8つしかなく、指示の「9つ」はわざと間違えてあります。
モデル | 8つの金額 | 1回の時間 | 1回の費用(API換算) |
|---|---|---|---|
GPT-6.1 Terra | 3回とも全部正しい。9つ目を作らなかった | 5.0〜7.3秒 | $0.002〜$0.009 |
GPT-5.6 Terra | 3回とも全部正しい。9つ目を作らなかった | 4.0〜5.4秒 | $0.014〜$0.020 |
読み取りの正しさに差はなく、どちらも存在しない9つ目の金額を作りませんでした。違ったのは書き方です。グラフには「Standard」の行が入力と出力に1つずつあります。GPT-6.1 Terraは3回とも「Standard(入力)」「Standard(出力)」と自分で区別して書きました。GPT-5.6 Terraは3回とも「Standard: $1.00」「Standard: $5.00」と同じ名前のまま並べました。後から機械で読むときに、取り違えが起きにくいのは前者です。
時間は、この仕事ではGPT-5.6 Terraのほうが短く出ました。GPT-6.1 Terraは毎回わずかに推論のトークン(18〜31)を使っており、その分だと考えられます。それでも、費用は毎回GPT-6.1 Terraのほうが安くなりました。
2つの仕事から言えるのは、「短くて簡単な仕事では、答えの正しさは変わらず、費用が半分前後になる」ことまでです。発表で差が大きかったのは、ソフトを何段階も操作する長い仕事です。そうした仕事での差は、手元のこの確認では測れていません。
乗り換えるときに変わること(API・Codex)
APIで変えるのはモデル名だけ、が基本
APIでは、model を gpt-5.6-terra から gpt-6.1-terra に書き換えれば動きます。effort の名前と既定(medium)は同じなので、いま指定している effort はそのまま使えます。OpenAIの移行の手引きも「いまの effort を、使えるところではそのまま保つ」よう案内しています。
ただし、手引きには GPT-6 系に共通の注意がいくつかあります。乗り換えの前に、次の3つだけ自分の仕組みと照らしてください。
- ツールを呼ぶなら Responses API:GPT-6.1 Terraは Chat Completions でも呼べますが、ツールの呼び出し(function calling など)は Responses API でしか使えません。Chat Completions でツールを呼んでいる仕組みは、先に書き換えが要ります
- effort が none 以外のときは temperature などを外す:
temperature・top_p・top_logprobsは送らないよう案内されています。Chat Completions ではlogprobsも外します - 同じ effort で、自分の画像と仕事の流れで比べる:Terraについては、手引きがはっきりこう書いています。ベンチマークの数字ではなく、自分の代表的な入力で確かめてから切り替えるのが安全です
このほか、手引きには関数やツールを async: true にして結果を後から返す新しい書き方も載っています。乗り換えに必須ではありません。
Codexで変えるのはモデルの指定
Codexでは、モデルの指定を gpt-6.1-terra に変えます。私たちの環境では、ChatGPTアカウントでサインインした古い Codex CLI(0.144.0)だと gpt-6.1-terra を指定しても「サポートされていない」という400エラーになり、最新の CLI に上げると動きました。設定ファイルの書き方や、Codex での effort の既定は次の記事にまとめています。

GPT-5.6 Terraから乗り換えるかの判断
ここまでの違いを踏まえた、私たちのおすすめの判断は次のとおりです。
すぐ乗り換えてよい使い方
- APIの費用が気になっている:同じ仕事なら、単価だけで半分以下になります。effort を一段下げられれば、さらに下がります
- 画面や画像を読む・アプリを操作する仕事:発表で差がいちばん大きかった領域です。前の世代では Sol を使っていた仕事を、Terra に戻せるかを試す価値があります
- ChatGPT Work や Codex で利用の枠がすぐ尽きる:枠が長く持つと発表されています。モデルの選択を変えるだけで、追加の費用はかかりません
少し待つか、先に準備が要る使い方
- Chat Completions でツールを呼んでいる:先に Responses API へ書き換えます。モデル名だけ変えると、ツールの呼び出しが動きません
- 出力の形や言い回しに依存した後工程がある:たとえば、出力を決まった形で読み取って次の処理に回している仕組みです。手元の確認でも、同じ指示で書き方が変わりました(「Standard(入力)」のように区別を足した)。同じ effort で数十件を流し、後工程が壊れないかを見てから切り替えてください
- 結果を固定しておきたい評価や監査の仕組み:モデルを変えると比較の土台が変わります。切り替えの日を記録してから移るのが安全です
GPT-5.6 Terraはまだ使える
2026年10月27日時点で、OpenAIの「非推奨・提供終了」の一覧に GPT-5.6 Terra は載っていません。むしろ同じ一覧では、2026年12月11日に提供が終わる gpt-5-mini の移行先として gpt-5.6-terra が挙げられています。急いで切り替えないと止まる、という状況ではありません。
ただ、gpt-5-mini から移る予定だった方は、いまから移るなら GPT-6.1 Terra を候補に入れて比べるのが合理的です。移行の作業は1回で済ませたほうが、確かめる手間が減ります。
上位のモデルとの使い分けも見直す
前の世代では「普段は Terra、重い仕事は Sol」と分けていた方も多いはずです。新しい Terra は、ソフトを操作する仕事で Astra と同じ水準まで来た一方で、込み入ったコーディングでは Sol に届きません。乗り換えるときは、Terra に戻せる仕事と Sol に残す仕事を分け直すよい機会です。その線の引き方は次の記事で整理しました。
前の世代の Terra と Luna をどう分けていたかは、次の記事にまとめています。Luna に任せていた軽い仕事を新しい Terra に寄せるかを考えるときの材料になります。
乗り換えの手順:比べてから切り替える4段階
「少し待つか、先に準備が要る使い方」に当てはまる場合は、次の4段階で切り替えると安全です。私たちが新しいモデルに移るときも、この順番で進めています。
- 代表的な入力を20〜50件選ぶ:ふだんの仕事から、簡単なもの・難しいもの・過去に失敗したものを混ぜて選びます。画像や画面を扱う仕事なら、実際の画像を入れます
- 同じ effort で両方のモデルに流す:いまの effort のまま、GPT-5.6 Terra と GPT-6.1 Terra に同じ入力を渡します。答えの正しさだけでなく、出力の形(見出し・項目名・JSONの鍵)が変わっていないかを並べて見ます
- effort を1段下げてもう一度流す:性能の節で見たとおり、新しい Terra は低い effort でも前の世代の上位の effort と同じか上の結果を出す評価が多くあります。1段下げて答えが変わらなければ、その分だけ費用と時間が減ります
- 切り替えた日を記録して移る:モデル名を書き換え、その日付を残します。後で出力の傾向が変わったと感じたとき、モデルの変更が原因かどうかを切り分けられます
手間に見えますが、20〜50件なら APIの費用は1ドルもかからないことがほとんどです(前の節の要約の仕事なら、1件 約1セントです)。Codex を月額のプランで使っているなら、追加の費用はかかりません。
まとめ:器は同じ、中身と料金が変わった
- GPT-6.1 TerraとGPT-5.6 Terraは、一度に読める量・effort の6段・使えるツールが同じ。変わったのは性能・単価・知識の締め切り
- 性能は、ソフトを操作する仕事で medium どうし15ポイント上がり、多くの評価で新しい medium が前の世代の max と同じか上
- APIの単価は入力 $2 → $1、出力 $12 → $5(2026年10月27日時点)。5.6 Terra は7月30日にも値下げしており、夏前の見積もりからは二段階で安い
- 手元の確認では、短い仕事の正しさは変わらず、1回の費用は半分前後になった
- APIはモデル名の書き換えで動くのが基本。Chat Completions でツールを呼んでいる仕組みは、先に Responses API へ移す
- GPT-5.6 Terra に提供終了の予定は出ていない。後工程が出力の形に依存しているなら、同じ effort で比べてから切り替える
料金や仕様は変わることがあります。切り替えの前に、OpenAIの公式のモデルページ(GPT-6.1 Terra・GPT-5.6 Terra)と料金ページで最新の値を確かめてください。
株式会社Fyveでは、こうした新しいモデルへの乗り換えを、私たち自身の自動化の仕事で先に試してから判断しています。モデルが変わるたびに全部を作り直すのではなく、「変わった所だけを確かめて移る」手順を持っておくと、乗り換えの手間は小さく抑えられます。
Codexを使い始める前に、「絶対に」見直してほしい5つのこと

学習の設定・確認なしの操作・戻せる状態など。Codexにそのまま貼れる頼み方つき(全9ページ)
Codexは便利な一方で、設定ひとつで「聞かずに動く」ようになります。この資料を作るために自分の設定を開いたら、本番のデータベースを書き換える操作が、覚えのないうちに確認なしで動く状態になっていました。使い始める前に見直してほしい5つを、Codexにそのまま貼れる頼み方と一緒にまとめました。
- 仕事の画面や資料を、AIの学習に使わせない設定
- 取り返しのつかない操作が確認なしになっていないか、Codexに調べさせる頼み方
- AGENTS.mdのいちばん上に書く「絶対にしないこと」の例
- 失敗しても戻せる状態で始める方法と、使えなくなったAIの指定の直し方
メールアドレス登録で他にも様々な資料を閲覧できます








+9PDF 18点・合計468ページ + すぐ使えるzip素材 3点
どれも登録後の受け取りページから、まとめてダウンロードできます。
毎週配信の無料ニュースレター「AIネイティブ超研究」の購読特典です。メール登録後すぐ、受け取りページのご案内が届きます。そこにはこの資料に加えて、過去の特典もすべてまとめて置いてあります。あわせて、AI活用に関するお知らせやお役に立てそうなご案内をお送りすることがあります。解除はいつでも1クリック。
御社の業務に合わせたCodex導入支援
「AIツールを導入したが、現場で使われない」を終わらせる。
業務課題のヒアリングから設計、ハンズオン実践、運用定着まで一貫して支援します。