GPT-6.1 Terra vs Sol|使い分けと実測比較
「GPT-6.1 Terra が出たけれど、ひと月前に出た GPT-6.1 Sol とどう使い分ければいいのか。Sol を使っている設定は、そのままでいいのか」——OpenAI のモデルが短い間隔で増えると、名前の上下は分かっても、自分の仕事をどちらに任せるかで手が止まります。
結論から言うと、迷ったら GPT-6.1 Terra から始め、複雑なコーディングと深い調べものだけを GPT-6.1 Sol に上げるのが、いまの公式の情報から引ける線です。Terra は Sol の半分の単価で、OpenAI の発表では平均3倍以上速く仕事を終えます。そのかわり、難しい仕事は Sol か Astra に、と OpenAI 自身が案内しています。
株式会社Fyveは、中小企業の AI 導入を支援しながら、自社でも Codex を含む AI を夜間の無人の仕事に毎日使っています。この記事では、OpenAI のモデルページと発表で確かめた事実をもとに2つのモデルの違いを整理し、発表の翌朝に同じ仕事を両方へ投げて比べた結果もあわせて書きます。
GPT-6.1 Terra vs Sol:先に結論の表
細かい話の前に、使い分けの答えを表にしておきます。どちらも OpenAI が2026年に出した GPT-6.1 の世代のモデルで、読める量や使える道具は同じです。違うのは、単価・速さ・得意な仕事の重さです。
こういう仕事なら | 選ぶモデル | 理由 |
|---|---|---|
画面を見てアプリを操作させる(computer use) | GPT-6.1 Terra | 今回の発表の中心。速さが回数分だけ効く |
画像・図面・スクリーンショットの読み取り | GPT-6.1 Terra | 公式の説明で得意分野に挙がっている |
メールや資料の下書き・要約・分類 | GPT-6.1 Terra | 量が多い仕事ほど半額の差が積み上がる |
何十ものファイルにまたがる設計・修正 | GPT-6.1 Sol | OpenAI が「複雑なコーディングは Sol か Astra」と案内 |
根拠を集めて組み立てる深い調べもの | GPT-6.1 Sol | 同じく発表で Sol か Astra を勧めている |
2026年5月の出来事を前提にした質問 | GPT-6.1 Terra(または検索を併用) | 知識の締切が Terra のほうが1か月新しい |
「上の段のモデルのほうが何でも良い」とは限らない、というのが今回の組み合わせの面白いところです。以下、この表の根拠を順に見ていきます。
2つのモデルの位置づけ:Terra は中位、Sol はその1つ上
OpenAI のモデルは、安い順に Luna・Terra・Sol・Astra の4段に分かれています。GPT-6.1 Sol は上から2段目、GPT-6.1 Terra は下から2段目です。
- GPT-6.1 Sol:2026年9月29日(米国時間)、OpenAI の開発者向けイベント DevDay で発表されました。モデルページの説明は「複雑な仕事で Astra に近い性能を、より低い価格で」。推奨される用途として、複雑なコーディング・computer use・専門的な仕事が挙がっています
- GPT-6.1 Terra:2026年10月26日(米国時間)に発表されました。モデルページの説明は「画像の読み取り、正確な computer use、明快で自然な文章のための、速く効率的なモデル」です
つまり Sol は「最上位の Astra を安く使うための席」、Terra は「普段の仕事を速く安く回すための席」として作られています。Sol の発表から Terra の発表まで、約4週間です。Sol を出したときに空いていた中位の席が、今回埋まった形です。
OpenAI は Terra の発表の中で、Sol との関係をはっきり書いています。要点は次の3つです。
- Terra は GPT-6 Astra と GPT-6.1 Sol のどちらと比べても、仕事を終えるまでの時間が平均で3倍以上速い
- 深い調べものや複雑なコーディングには、GPT-6.1 Sol か GPT-6 Astraを勧める
- ChatGPT Work と Codex では、Terra のほうが GPT-6.1 Sol や GPT-6 Astra よりはるかに利用の枠が長持ちする
OpenAI が自分で「難しい仕事は上の段へ」と線を引いているので、使い分けの考え方そのものに迷う余地はあまりありません。迷うのは、自分の仕事がその線のどちら側にあるか、です。

数字で見る違い:単価は半分、速さは3倍以上
OpenAI のモデルページで2つを並べると、違いは次のとおりです。

項目 | GPT-6.1 Terra | GPT-6.1 Sol |
|---|---|---|
API名 | gpt-6.1-terra | gpt-6.1-sol |
標準価格(100万トークンあたり) | 入力 $1・出力 $5 | 入力 $2・出力 $10 |
effort の段 | none・low・medium・high・xhigh・max | low・medium・high・xhigh・max |
effort の既定 | medium | medium |
知識の締切 | 2026年6月1日 | 2026年4月30日 |
読める量(コンテキスト) | 105万トークン | 105万トークン |
最大出力 | 12万8,000トークン | 12万8,000トークン |
速さを上乗せする料金の段 | Fast(標準の2倍) | Fast(2倍)・Ultrafast(6倍) |
価格は2026年10月27日時点・米ドル・税別です。入力が27万2,000トークンを超えるリクエストは割増になるなど細かい条件があるので、契約や見積もりの前には OpenAI のモデルページで最新の価格を確かめてください。月にいくらかかるかの見積もりは、料金を扱う別の記事で整理する予定です。
単価:入力も出力もちょうど半分
入力・出力・キャッシュ入力のどれを見ても、Terra は Sol のちょうど半分です。同じ量の文章を読ませて同じ量を書かせるなら、請求も半分になります。
ただし、ここには落とし穴があります。単価が半分でも、1回で済まずにやり直しが2回続けば、合計は Sol を1回使うのと変わりません。安いモデルで何度も失敗するくらいなら、最初から上の段に任せたほうが安く済む仕事もあります。単価だけで決めず、「その仕事を1回で通せるか」で考えるのが大事です。
速さ:仕事を終えるまでの時間で3倍以上
OpenAI は、Terra が Sol と Astra のどちらよりも、仕事を終えるまでの時間が平均で3倍以上速いと発表しています。1回の返事の速さというより、何度も考えては道具を使う長い仕事全体での話です。
画面を見て操作する computer use は、スクリーンショットを見る・クリックする・また見る、を何十回もくり返します。1回ごとの差が小さくても、回数が多いほど合計の差は開きます。Terra の発表の題が「速くて有能な computer use を、より低い価格で」になっているのは、この使い方で速さがいちばん効くからです。
一方、Sol には Ultrafast という、標準の6倍の価格で速さを上乗せする段があります。Terra のモデルページには Fast(2倍)しか載っていません。「難しい仕事を、お金をかけてでも急いで終わらせたい」という場面は Sol の領分です。
effort:Terra には「none」がある
effort は、答える前にどれだけ考えさせるかの設定です。Terra は推論をしない none を選べますが、Sol は low が下限で、推論を切れません。
none が効くのは、考えるより速さが大事な仕事です。決まった形で分類する、項目を抜き出す、といった処理を大量に回すなら、Terra の none は Sol にはない選択肢になります。各段の意味と使い分けは、effort を扱う記事で詳しく整理します。
知識の締切:新しいのは Terra のほう
知識の締切は、Terra が2026年6月1日、Sol が2026年4月30日です。上の段のモデルのほうが知識が新しい、とは限りません。2026年5月ごろの出来事を前提にした質問なら、Terra のほうが答えられる可能性があります。
とはいえ、締切の差は1か月です。新しい情報が必要な仕事は、どちらのモデルを選ぶ場合でもウェブ検索の道具を併用するのが前提です。両モデルとも Responses API でウェブ検索に対応しています。
性能:どちらも「Astra に近い」と言われている
性能の評価は、どちらのモデルにも「GPT-6 Astra に近い」という言葉が付いています。OpenAI は、Terra が Agents' Last Exam という評価で Astra と同じ水準に並んだと発表しています。Sol については、外部の評価機関 Artificial Analysis の総合指標で Sol が52、Astra が53だったと DeepLearning.AI が伝えています。
ただ、Terra の数字は OpenAI 自身の発表で、評価の種類も違うので、2つを横に並べて「どちらが上」とは言えません。各評価の数字と読み方は、ベンチマークを扱う記事で整理します。使い分けの判断では、数字よりも OpenAI が示した用途の線引き(難しい仕事は Sol か Astra)を優先するのが安全です。
GPT-6.1 Terra に任せてよい仕事、Sol に上げるべき仕事
ここまでの違いを、仕事の種類に落とします。
Terra に任せてよい仕事
- 画面操作の代行:フォームへの入力、管理画面からの書き出し、いくつかのアプリをまたぐ定型の作業。速さと単価の両方で Terra が有利です
- 画像の読み取り:図面、帳票のスクリーンショット、グラフの読み取り。公式の説明で得意分野に挙がっています
- 文章の下書き:メール、提案書のたたき台、記事の要約。「明快で自然な文章」も公式の説明に入っています
- 大量の定型処理:問い合わせの分類、表の項目の抜き出し。effort を none や low にすると、さらに速く安く回せます
Sol に上げるべき仕事
- 複雑なコーディング:何十ものファイルにまたがる設計の変更、原因が分からない不具合の調査。OpenAI が名指しで Sol か Astra を勧めています
- 深い調べもの:たくさんの資料から根拠を集め、筋の通った結論に組み立てる仕事
- 失敗が高くつく工程:間違えると後で人が大きく手直しすることになる仕事。1回の失敗の重さが、単価の差より大きくなります
判断に迷う中間の仕事もあります。そういうときは「難しそうだから Sol」と先回りせず、まず Terra でやらせてみて、失敗したら上げるのがいちばん無駄がありません。

上げる条件は、図の4つに絞っています。特に3つ目の「Terra で effort を high に上げても2回やり直しになる」は、実際に試して初めて分かることです。ここを見ずに最初から Sol に固定すると、Terra で十分だった仕事にまで倍の単価を払い続けることになります。
同じ仕事を Terra と Sol に投げて比べた
発表の翌朝(2026年10月27日)、私たちが夜間の仕事に使っている Mac の Codex CLI で、2つのモデルに同じ指示を出して比べました。ChatGPT のアカウントでサインインした Codex(0.164.0)で、effort はどちらも medium です。
指示は、架空の問い合わせ文6件を「請求」「不具合」「解約」「その他」に分類して表で返す、という短いものです。私たちの仕事でいえば、届いたものを仕分ける工程に近い作業です。各モデルで3回ずつ実行しました。
モデル | 分類の結果 | 1回の実行時間(3回) |
|---|---|---|
GPT-6.1 Terra | 3回とも同じ・6件とも妥当 | 3.9秒・4.2秒・4.1秒 |
GPT-6.1 Sol | 3回とも同じ・6件とも妥当 | 4.9秒・5.2秒・4.8秒 |
実行時間は、CLI を起動してから終わるまでを手元で測ったもので、起動の時間も含みます。
分かったことは2つです。
- この程度の仕事では、答えに差は出なかった:「領収書の宛名を変えたい」を両モデルとも「請求」に入れるなど、判断の揺れもありませんでした。この種類の仕事に Sol の倍の単価を払う理由は見当たりません
- 短い仕事では、速さの差は1秒程度だった:Terra が毎回少し速かったものの、「3倍以上」には遠い差です。OpenAI の3倍という数字は、何度も考えては道具を使う長い仕事全体での話で、1回で終わる短い指示では起動などの固定の時間が大半を占めるためだと考えられます
つまり、短い定型の仕事で Terra を選ぶ理由は、速さよりも単価と利用の枠です。速さの差が大きく出るのは、computer use のような長い仕事のはずですが、そこは今回は試していません。長い仕事で差がどれだけ出るかは、自分の作業で確かめる必要があります。
Codex で使うときの違い:利用の枠と既定のモデル
ChatGPT のアカウントで Codex を使っている場合、単価ではなく利用の枠で考えます。OpenAI は、Terra のほうが GPT-6.1 Sol や GPT-6 Astra よりはるかに利用の枠が長持ちすると案内しています。具体的に何倍なのかは発表に書かれていません。
私たちの環境の Codex は、モデルを指定しないと GPT-6.1 Sol で動いていました。つまり、何も考えずに使っていると、Terra で済む仕事にも Sol の枠を使っていたことになります。量の多い仕事だけでも Terra を指定するようにすれば、Sol の枠を難しい仕事のために残せます。
Codex で Terra を指定する書き方(コマンドでの指定・設定ファイル・effort の指定)は、別の記事に手順をまとめています。
なお、古い Codex CLI では、ChatGPT のアカウントで Terra を指定するとエラーになります。私たちの環境でも、0.144.0 では使えず、0.164.0 に上げると使えました。Terra を指定してエラーが出る場合は、こちらを確認してください。
使い分けを仕組みにする:工程ごとにモデルを決める
使い分けは、その場その場で選ぶより、工程ごとに先に決めておくほうが続きます。私たちの夜間の無人の仕事でも、1つの流れを工程に分け、工程ごとにモデルを書いています。
- 工程を書き出す:集める・仕分ける・下書きする・確かめる・直す、のように、1つの仕事を手順に分けます
- まず全部を Terra にする:最初から上の段を混ぜず、全工程を Terra で動かします
- 失敗した工程だけを Sol に上げる:何回か回して、やり直しが続いた工程、出来が明らかに足りない工程だけを Sol に替えます
- Sol に上げた理由を書いておく:「この工程は判断が要るから Sol」と一行残しておくと、次に新しいモデルが出たときに見直す場所がすぐ分かります
この順番にすると、上の段のモデルを使う工程が「理由のあるもの」だけになります。逆に、最初から全部を Sol にしておいて削ろうとすると、どこを下げてよいかの根拠が無いので、結局そのままになりがちです。
中位のモデルが更新されたいまは、この見直しをするのにちょうどよい時期です。前の世代では上の段に任せていた工程でも、GPT-6.1 Terra なら足りるものが出てくるはずです。
よくある質問
GPT-6.1 Terra が出たので、Sol は使わなくてよくなった?
いいえ。OpenAI 自身が、深い調べものや複雑なコーディングには Sol か Astra を勧めています。Terra は Sol の代わりではなく、Sol に任せる必要のなかった仕事を引き取るモデルです。
Sol で動いている設定を、全部 Terra に替えてよい?
一度に全部を替えるのはお勧めしません。量が多く、失敗しても困らない工程から順に Terra に替え、結果を見てから広げるのが安全です。
Sol を GPT-6 Sol から GPT-6.1 Sol に替えたばかりだが、また替えるべき?
Sol は Sol のまま使い続けてかまいません。今回替える候補になるのは、Sol や Astra で回していた仕事のうち、Terra で足りるものだけです。Sol の世代の違い(GPT-6 Sol と GPT-6.1 Sol)は、GPT-6 の世代を整理した記事も参考にしてください。
まとめ:GPT-6.1 Terra と Sol の使い分け
- GPT-6.1 Sol は2026年9月29日、GPT-6.1 Terra は2026年10月26日(いずれも米国時間)に OpenAI が発表した、同じ世代の上から2段目と中位のモデル
- Terra は Sol の半分の単価(入力 $1・出力 $5)で、OpenAI の発表では平均3倍以上速く仕事を終える。読める量と使える道具は同じ
- Terra には effort の none があり、知識の締切も1か月新しい。Sol には Ultrafast がある
- OpenAI は、深い調べものと複雑なコーディングには Sol か Astra を勧めている
- 迷ったら Terra から始め、失敗が続いた工程だけを Sol に上げる。Codex では Terra のほうが利用の枠も長持ちする
モデルが増えるたびに全部を最新の上位モデルに替えるのではなく、工程ごとに「どの席で足りるか」を決めておくと、新しいモデルが出たときの見直しも短く済みます。株式会社Fyveでも、今回の Terra の登場を受けて、夜間の仕事の工程を一つずつ見直しています。
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