pptx skillとは|Claudeで作るPowerPointの公式スキル
「PowerPointの資料をAIに作らせたい。でも、出てきたファイルが崩れていたり、直してほしい場所だけ直してもらえなかったりする」——Claude Codeでスライドを頼んだことがある人なら、一度は感じる不満です。
結論から言うと、pptx skill(Claudeのpptxスキル)は、Anthropic公式のリポジトリにある「PowerPointファイルを作る・直す・読む」ためのスキルです。実際に試すと、スキルなしでも同じ内容の7枚が作れました。差が出たのは、発表者ノートが付いたことと、検査スクリプトを通してからファイルを渡したことの2点で、時間は約1.2倍、費用は約1.35倍にとどまりました。
株式会社Fyveは、このスキルを手元の作業フォルダに入れ、架空の会社の企画書から経営会議用のスライドを作らせました。同じ依頼文をスキルなしでも出して比べています。入れ方、頼み方、数字、うまくいかなかった点、安全面、向かない場面まで順に書きます。
pptx skillとは何をするスキルか
Anthropicが公開している「skills」リポジトリのうち、PowerPointファイル(.pptx)を扱う部分です。リポジトリのREADMEによれば、docx・pdf・pptx・xlsxの4つは、Claudeの文書作成機能の土台に使われているもので、公開ライセンスではなく「source-available(ソースは読めるが、オープンソースではない)」という扱いです。LICENSE.txtには、利用はAnthropicとの契約に従うと書かれています。
2026年10月21日時点で、リポジトリ全体のスターは約18.3万、pptxのフォルダの最後の更新は2026年10月9日です。スキルの中身は、次の3つの作業に分かれています。
- 作る:pptxgenjs(Node.jsのライブラリ)で資料を組むスクリプトを書いて、.pptxを出します。画面の寸法、色の書き方、グラフの落とし穴など、「ここを間違えるとファイルが壊れる」点が先に書かれています
- 直す:既存の.pptxを展開してXMLを直し、詰め直します。スライドの複製・削除・不要データの掃除をするスクリプトが付いています
- 確かめる:検査スクリプト(validate.py)でファイルの壊れを調べ、PDFから画像にして全ページを目で見る手順まで決めています
デザインの指針も入っています。「すべてのスライドに図や表などの視覚要素を入れる」「タイトルの下に飾りの線を引かない」「端に細い色の帯を付けない」といった決まりです。

仕事での使い道
PowerPointのファイルそのものが必要な場面で役に立ちます。PDFやHTMLで済む資料ではなく、相手から「.pptxでください」と言われる場面です。
- 企画書や報告書を、経営会議向けのスライド5〜8枚にまとめる(今回試した使い方)
- 社内で使っているPowerPointの雛形(.potx)に、新しい内容を流し込む(説明書の記載。今回は試していません)
- 既存のスライドから、文章だけを取り出して要約や議事録に使う(markitdownという読み取りの道具を使います。説明書の記載で、今回は試していません)
同じ題材でスライドを作らせるスキルにjinba-consulting-pptx-skillがあります。こちらは「結論をタイトルに書く」などの規約を読み込んで、HTMLで組み、機械チェックを通す方式です。pptxはその逆で、話の組み立てには口を出さず、「PowerPointのファイルを壊さずに作る・直す」ことに集中しています。

pptx skillの入れ方
READMEにあるClaude Codeでの入れ方は、プラグインとして入れる方法です。Claude Codeの中で次の2行を順に実行します。
- マーケットプレイスの登録:
/plugin marketplace add anthropics/skills - 文書系スキルのまとめを入れる:
/plugin install document-skills@anthropic-agent-skills
document-skillsには、pptxのほか、docx・pdf・xlsxが入っています(マーケットプレイスの定義ファイルで確認しました)。入れたあとは、スキルの名前を言わなくても、依頼の内容から自動で選ばれます。
ここで注意が必要なのは、必要な道具です。SKILL.mdには「pptxgenjsは入っているので、npm installしないこと」と書かれていますが、これはClaudeの実行環境を前提にした書き方です。手元のClaude Codeでは、次のものが自分のパソコンに要ります。
- Node.jsとpptxgenjs(資料を新しく作るとき)
- Pythonと、defusedxml・lxml・Pillow(検査や掃除のスクリプト用)
- markitdown(資料の文字を読み取るとき)
- LibreOfficeとpdftoppm(PDF・画像にして見るとき)
私は自分の環境を汚さないよう、試験用の作業フォルダの中にだけスキルをコピーし、Node.jsの部品もPythonの部品も、そのフォルダの中に入れました。LibreOfficeとpdftoppmは、もとから手元にあったものを使いました。
Claude Codeにこう頼む
スキルの名前を言わなくても動きました。次のような、ふだんの言葉の依頼です。
- 「work/new-service.md と work/company.md を読んで、経営会議で『家具の定期メンテナンス便』を始めるかどうかを判断してもらうためのスライド資料を5〜8枚で作ってください。会議の参加者は代表・営業担当・制作担当・経理担当です。PowerPointファイル(.pptx)で出してください。作業は work/ フォルダの中で行ってください。」
ポイントは、会議の目的(始めるかどうかの判断)、参加者の役割、枚数、「PowerPointファイル」という形式の4つを伝えることです。「.pptx」と書くと、スキルが選ばれやすくなります。既存の資料を直したいときは、ファイルの場所と、直す場所を具体的に伝えてください(試していません)。
試した結果
試したのは「架空の会社」の仕事です。手作りの家具を売る従業員12名の会社(株式会社サンプル木工・架空)が、家具の定期メンテナンス便という新サービスを始めるかどうかを、経営会議で決める場面を想定しました。材料は、新サービス案の企画書(値段・原価の見積もり・心配な点)と、会社の概要の2つです。企画書には結論が書かれていません。
Claude Code 2.1.305、モデルはSonnet 5.5で、スキルを入れたフォルダだけが読み込まれる状態にしました。次の画像が、頼んだ文と、返ってきた答えの冒頭です。最初の操作がSkill(pptx)で、名前を言っていないのにスキルが選ばれています。

できたスライド
できたのは7枚の.pptxです。約2.2分(133秒)で、費用は0.34ドルでした。内容は次の流れです。
- 表紙
- 提案:いきなり本格開始せず、閑散期に小さく試す(今日決めてほしい3点)
- サービス概要と3プランの料金
- 採算:ライトとスタンダードの売上・原価・粗利の棒グラフ(粗利率は約63%と約56%)
- 制約:職人の訪問枠は月16件まで。上限まで埋めても粗利は年160万〜220万円で、年商の1〜2%
- リスク5点と対応案の表
- 進め方:11月5日のアンケート、12月は準備、1〜2月に試行、3月に判断
結論の「小さく試す」は、企画書に書かれていないため、回答で「私の提案です」と断っていました。粗利率も、企画書の「約55%」を計算し直して約56%とし、1ポイントの違いを自分から報告しています。企画書にない試験運用の規模や日程は、スライド上でも「案」と書かれていました。
次の画像が、7枚をまとめて見たものです。後で書くように、LibreOfficeでは日本語が出なかったため、Macに標準で付いているQuick Look(ファイルのプレビュー機能)で1枚ずつ画像にしました。ただし、Quick LookではPowerPointのグラフが描かれず空白になります。4枚目の棒グラフが空いているのはそのためで、グラフがPowerPointでどう表示されるかは確かめていません。PowerPoint本体での見え方も確かめていません。

スキルなしとの違い
同じ依頼文を、スキルを入れていない別のフォルダでも出しました。実行記録でスキルが呼ばれていないことを確かめてあります。結果は次のとおりです。
項目 | スキルあり | スキルなし |
|---|---|---|
時間 | 約2.2分(133,473ミリ秒) | 約1.9分(112,906ミリ秒) |
費用 | 0.34ドル | 0.25ドル |
出力トークン | 14,353 | 10,643 |
枚数 | 7枚 | 7枚 |
作り方 | pptxgenjs(Node.js) | python-pptx(Python) |
グラフ | PowerPointのグラフ(編集できる形)1枚 | 同じく1枚 |
発表者ノート | 5枚に入った | なし |
検査スクリプトvalidate.py | 実行して通った | 使わなかった(あとで私が実行して通った) |
数字の拾い方は、どちらも同じでした。粗利率は約56%と約63%、職人の枠は月16件、年間の粗利の上限は年160万〜220万円前後、需要は11月5日のアンケート待ち、配送のみのプランは原価の見積もりがないので試算しない、という点を、両方とも拾い、結論も同じ「小さく試す」でした。
違いは見た目と手間にありました。スキルありは数字を大きく見せるカード型で、発表者ノートがあり、端の飾りがありません。スキルなしは表を多く使い、「年間の訪問回数・上限まで受けられる顧客数・年間粗利の上限」を、ライトとスタンダードの2列で並べた表がありました。こちらは担当者の列もあります。一方で、スライドの左端に細い茶色の帯が入っています。スキルの指針が「端に細い色の帯を付けない」と決めている飾りで、スキルありのほうには入っていません。

上の画像のとおり、スキルなしのほうは、Quick Lookでもグラフが表示されました。作り方(python-pptx)が違うためで、PowerPointでどちらが正しく表示されるかは確かめていません。また、スキルなしの3枚目は、タイトルが2行に折り返して、すぐ下の本文に近づいています。
つまり、このスキルを入れても、資料の中身が良くなったとは言えません。差が出たのは、ファイルを渡す前の作法(ノート、検査、デザインの禁止事項)です。時間と費用の差は小さく、同じ題材でjinba-consulting-pptx-skillを試したときの約6倍・約9倍と比べると、ほとんど気にならない範囲でした。各1回ずつの結果なので、回数を重ねれば数字は動きます。
うまくいかなかった点
- 日本語の見た目を自動では確認できなかった:SKILL.mdは「PDFにして画像にして、全ページを目で見る」ことを必須にしています。ところが、この環境のLibreOfficeでは、日本語が四角の記号になって表示されませんでした。書体を変えても直りませんでした(原因は特定できていません)。スキルありの実行は、最後に「見た目はまだ確認できていません。PowerPointで一度全ページを見てください」と自分で報告しました。スキルなしの実行も、同じ事情で目では確認できなかったと報告しています。日本語の資料では、仕上げの目視は自分でやる前提にしてください
- 書体が「安全な書体」の外になる:SKILL.mdは、文字の収まりを確かめやすい書体としてArial・Calibriなどを挙げています。日本語の資料ではこれらが使えず、スキルは游ゴシックを選びました。この書体はMacとWindowsで見え方が変わるため、文字がはみ出すかどうかは、事前に確かめられません。Quick Lookで見た範囲では、2枚目の「今日決めてほしいこと」の番号が枠の左端にはみ出していました
- PowerPointで直接確かめる方法は取れなかった:私はPowerPointのアプリをAppleScriptで操作してPDFにしようとしましたが、2分でタイムアウトし、取れませんでした。見た目の確認はQuick Lookだけです
中身の安全確認
入れる前に、SKILL.md全文、ライセンス、READMEを読み、付属のPythonスクリプトの通信・実行まわりを検索しました(検査用のスキーマファイルは読んでいません)。
- 外部への送信:ありません。Pythonのスクリプトに通信のコードは見つかりませんでした。URLに見えるものは、XMLの名前空間の識別子だけです
- 実行するもの:python3、node、LibreOffice(soffice)、pdftoppmです。allowed-toolsの指定はなく、hooksもありません
- 気になった点:scripts/office/soffice.pyは、LibreOfficeの通信が制限された環境(サンドボックスなど)を検知すると、C言語の小さな部品を一時フォルダに書いてコンパイルし、LibreOfficeに読み込ませる作りです。通常のMacで動くのかどうかは、今回確認していません。許可を求められたら、理由を確かめてからにしてください
- 道具の入れ方:「npm installは不要」という書き方は、Claudeの実行環境が前提です。手元で足りない道具を、確認なしに入れさせないよう、作業フォルダの中に入れる運用にしました。パソコン全体に入れる(brew installやnpm install -g)かどうかは、依頼のときに決めておくと安全です
止める理由は見つかりませんでした。
向かない場面
- PDFで済む資料:.pptxが不要なら、スキルなしでも同じ品質のPDF・HTMLが出せます
- 話の組み立てまで整えてほしい:このスキルは、結論をタイトルに書く、1スライド1メッセージにするといった、資料の筋立てには踏み込みません。筋を揃えたいなら、jinba-consulting-pptx-skillのような規約型のスキルのほうが合います
- 日本語の資料の仕上げを任せきりにする:画像にする手順がLibreOfficeに頼っているため、日本語では自動の目視確認が働きませんでした
- ライセンスに引っかかる使い方:公開ライセンスではないため、スキルの中身を再配布したり、自社製品に組み込んだりする前には、LICENSE.txtを確認してください
まとめ:入れる前のチェックリスト
- 相手から.pptxのファイルを求められる場面がある
- Node.js、Python、LibreOffice、pdftoppmなどの道具を、手元に入れられる(作業フォルダの中に入れる運用でよい)
- スキルなしでも、中身はほぼ同じ資料が作れることを了承している(今回は時間が約1.2倍、費用が約1.35倍)
- 発表者ノートや、ファイルの検査まで含めて渡してほしい
- 日本語の資料は、PowerPointで全ページを自分で見直す前提にしている
- パソコン全体に道具を入れる許可を、Claude Codeに勝手に出さない設定にしてある
- 既存のファイルを直す・雛形に流し込む機能は、別に試してから使う(今回は試していません)
スキル選びの考え方や、ほかのスキルとの組み合わせ方は、次の記事にまとめています。
Claude Code Skillsの使い方|業務をSkill化する実践手順
「スライド・資料を作る」のスキルは、ほかに2本を同じ架空の会社の材料で試しています。
仕事でAIを使う人が「絶対に」知っておくべき Claude Codeスキル TOP10

31本を実際に入れて、スキルなしと比べた結果つき(全28ページ)
スキルを入れても、Claude が急に賢くなるわけではありませんでした。31本を架空の会社の仕事で試し、同じ依頼をスキルなしでも検証して比べたうえで、導入する価値があった10本を仕事別にまとめています。
- 文章・スライド・図・数字・調べもの・契約書など、仕事別の10本
- 1本ごとに、スキルなしと比べた時間・費用・出来
- 実物の画面と、Claude Code にそのまま貼れる頼み方
- 外した5本の理由と、入れる前に確かめる4つのこと
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