/skill-doctorとは|使わないスキルの費用を出す
「スキルを入れすぎて、どれが効いているのか分からない」「セッションを開いただけで、もう読み込みが重い気がする」——スキルを増やしてきた人ほど、この居心地の悪さを抱えています。
結論から言うと、Claude Code の 2.1.261 で入った /skill-doctor は、読み込まれているスキルのうち「使われずに終わったもの」と「それがコンテキストでいくらかかっているか」を並べて表示するコマンドです。増やすためではなく、減らすために足されたコマンドだと考えると位置づけがはっきりします。
株式会社Fyveは、自社のAI運用でもスキルを日常的に増やしながら、その棚卸しを手作業で続けてきました。この記事では、私がこのコマンドをどう読んだか、そして「使っていないスキル」をどう裁くかの基準までをまとめます。
/skill-doctorとは|使わないスキルの費用を出すコマンド
/skill-doctor は、Claude Code のセッション内で打つスラッシュコマンドです。更新履歴(CHANGELOG)に書かれている説明は、次の一文だけです。
Added
/skill-doctorto show which loaded skills go unused and what they cost in context, so you can prune them
日本語にすると「読み込まれたスキルのうち、どれが使われずに終わったか」と「それがコンテキストでいくら払っているか」を表示して、間引けるようにするためのコマンド、ということになります。
ここで「コンテキスト」は、AIが一度に読める分量のことです。スキルを増やすと、この読める分量のうち一定の割合が、毎回スキルの説明で埋まります。/skill-doctor は、その埋まり具合を「どのスキルがいくら」という単位まで割って見せるものだと理解しておけば十分です。
この一文から確実に言えること・言えないこと
私は、出典が一文しかない機能について、動作を膨らませて書かないことにしています。判断材料として整理すると次のようになります。
項目 | 更新履歴から言えるか |
|---|---|
使われなかったスキルが一覧で出る | 言える( |
スキルごとのコンテキスト費用が出る | 言える( |
間引く(prune)ことが目的 | 言える( |
表示の単位(トークン数か割合か) | 言えない——記載がない |
集計の範囲(そのセッションか、過去全体か) | 言えない——記載がない |
コマンドが自動でスキルを外すか | 言えない——「間引けるように」とあるだけ |
後半3つは、実際に打てば数秒で分かることです。私は分からないまま断定するより、「打って確かめる項目」として持っておくほうが実務では安全だと考えています。
バージョンと、日付を書かない理由
このコマンドが入ったのは 2.1.261 です。それより前のバージョンでは出ません。「打ったけれど無い」という場合、まずここを疑ってください。
一方で、リリース日については慎重に書きます。更新履歴そのものに日付の記載がないためです。第三者のリリース追跡サイトでは 2.1.261 の公開日を2026年9月5日として記録していますが、これはAnthropicの公式発表ではありません。日付を判断の根拠にはしないでください。
もう一点、正確を期しておきます。この機能について、私はAnthropicの告知ポストを確認できていません。確認できているのは製品の更新履歴だけです。したがってこの記事では「発表されました」ではなく「更新履歴に入っていました」と書きます。この差は小さく見えますが、情報源の強さがまったく違います。
なぜ「使っていないスキル」に費用がかかるのか
「使っていないなら、費用はゼロではないのか」と思う方は多いはずです。ここが、このコマンドが足された理由の中心にあたります。
呼ばれなくても、入口の分は毎回積まれる
スキルは、呼び出されて初めて中身の全文が読まれます。しかし「どんなスキルが手元にあるか」という名前と説明の一覧は、呼び出す・呼び出さないに関わらず、セッションのたびにAIへ渡ります。渡さなければ、AIはそのスキルを選ぶことすらできないからです。
つまり、スキルの費用は「使ったとき」ではなく「持っているだけ」で発生します。1つひとつは小さくても、数十個になれば無視できない量になります。しかも増えていく方向にしか力が働かないので、意識して減らさない限り積み上がります。
スキルが増える経路は、たいてい自分では覚えていない
棚卸しが必要になるのは、増え方が「気づかないうち」だからです。私の環境で実際に効いている経路は、次の3つでした。
- プラグインを入れたら、付属のスキルもまとめて入った——1つ入れたつもりが、束で増えている
- そのとき必要で自作した——用が済んだあとも置きっぱなしになる
- 最初から入っている——追加インストールなしで使えるものが一定数ある
1つ目については、置くだけで読み込まれる仕組みそのものを別の記事で扱っています。
3つ目、つまり自分で入れた記憶がないのに存在するスキルについては、こちらで一覧にしています。/skill-doctor の結果を見て「これは何だ」となったときの照合先になります。

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「入れすぎ」が問題になるのは、入れるのが簡単になったからです。ここ数か月で、スキルの増え方は明らかに桁が変わりました。
1回のインストールで、25本入ることがある
分かりやすい例があります。私が実際に手元のClaude Code環境へ導入して中身を確認したスキル集は、1つのリポジトリに25本のスキルが同居していました。プラグインとして導入すれば、コマンド1回で25本が手元に増えます。
このとき自分の頭の中にあるのは「スキル集を1つ入れた」という記憶だけです。25という数は記憶に残りません。そして、そのうち実際に使うのは数本です。残りは、使われないまま毎回のコンテキストに乗り続けます。
「使い方」の側も、複数前提に変わった
もう一方の力もかかっています。Claude Code は v2.1.199 の更新で、スラッシュスキルをプロンプトの先頭に並べると最大5つまでまとめて読み込んで実行できるようになりました。それ以前は先頭の1つしか読まれませんでした。
つまり製品の側が「スキルは複数を組み合わせて使うもの」という前提に寄せてきています。持つ本数が増える方向に設計が動いているのだから、減らす側の道具が後から必要になるのは自然な流れです。/skill-doctor は、その帳尻を合わせにきたコマンドだと私は見ています。
間引く前に|スキルがどこに置かれているかを分けて考える
実際に外す作業に入る前に、1つだけ整理しておくべきことがあります。スキルは1か所にまとまっていません。出所によって、外したときの影響範囲が変わります。
出所 | 性質 | 外すときの注意 |
|---|---|---|
最初から入っているもの | 追加インストール不要で使える | そもそも自分で入れた覚えがない。まず一覧と照合する |
自分で入れたプラグイン由来 | 束で入る。本数が多い | 本数が効く。まずここを疑う |
自分で作ったもの | 用が済んでも残りがち | 作ったときの手応えで残しやすい。過去形で判断する |
プロジェクト側に置かれたもの | そのリポジトリを触る全員に効く | 🔴 1人で決めない。共同作業者の手元からも消える |
最後の行が実務では一番重要です。個人の環境に置いたスキルを外すのは自分の判断で完結しますが、プロジェクト側に置かれたスキルは、外した瞬間に他の人の環境からも消えます。/skill-doctor が「使われていない」と出しても、それは自分が使っていないという意味でしかありません。他のメンバーが毎日使っている可能性は、このコマンドからは分かりません。
ひとりで使っている場合はここを気にする必要はありません。ただ、チームで同じリポジトリを触っているなら、個人側から先に減らすのが安全な順序です。
/skill-doctorの使い方|4ステップ
手順そのものは短いです。私は次の順で使うことにしています。
①バージョンが2.1.261以降か確認する
まずここです。前述のとおり、これより前では存在しません。ターミナルで claude --version を打つか、セッション内で /status を見れば分かります。古ければ先に更新してください。
②信頼しているプロジェクトの中で打つ
セッションを開いて /skill-doctor と入力します。ここで1つ、姉妹コマンドから引き継いでおくべき習慣があります。点検系のコマンドは、点検のために実際に周辺を起動しにいくことがあるため、素性の分からないディレクトリでは走らせない——これは /doctor で私が守っているルールで、同じ構えを持っておいて損はありません。
打つタイミングで、結果の意味が変わる
ここは見落とされやすいのですが、いつ打つかで結果の読み方が変わります。更新履歴の言い方は「読み込まれたスキルのうち、使われずに終わったもの」です。使われずに「終わった」——つまり、何かしらの作業を終えた状態が前提になっています。
セッションを開いた直後に打てば、当然ほとんどのスキルが「使われていない」と出ます。まだ何もしていないのだから当たり前で、それは棚卸しの材料になりません。
私が想定しているのは次の2つのタイミングです。
- いつもの作業を一通りやったあと——「普段の仕事で何が呼ばれなかったか」が見える
- スキルを増やした少しあと——増やした分が実際に働いているかを確かめる
そして1回の結果を確定した答えだと思わないことです。たまたまそのスキルの出番がない期間だった、という可能性は常に残ります。数回の結果で同じものが繰り返し「使われていない」側に出てきたら、そのときに外す。この程度の慎重さで十分です。
③「使われずに終わった」を、費用の大きい順に見る
出てきた一覧は、上から順に潰そうとしないでください。費用の大きいものから見るのが効率的です。小さいスキルを10個外すより、大きい1個を外すほうが効きます。
そして、ここが実務で一番大事なところですが、この一覧は判断材料であって、判断ではありません。「使われていない」と出たものが「不要」だとは、コマンドは一言も言っていません。
④外して、困ったら戻す
スキルを外す操作は、取り返しがつきます。だから「消すかどうか」を延々と悩むより、外して、困ったら戻すほうが早く終わります。私は削除ではなく、無効化・退避の形を取ります。復帰の手間が小さいほど、思い切って減らせるからです。
外す判断の基準|「使うかもしれない」で残さない
棚卸しが終わらない原因は、ほぼ1つに集約されます。「いつか使うかもしれない」で全部残してしまうことです。これを避けるために、私は判断の言葉を先に固定しています。
基準は「使うかもしれない」ではなく「直近で使ったか」
未来形で考えると、すべてのスキルが残ります。将来使う可能性はゼロにはならないからです。そこで、判断を過去形に置き換えます。
- ❌ 「これ、いつか使うかもしれない」→ 全部残る
- ⭕ 「これ、直近1〜2か月で1度でも使ったか」→ 切れる
過去形にすると、答えが記憶ではなく事実になります。そして /skill-doctor は、まさにその事実の側を出してくれるコマンドです。
「使われていない=無駄」ではない、3つの例外
ただし、機械的に外すと事故ります。私が残す側に倒すのは、次の3つです。
- 年に数回だが、その数回が重いもの——決算・年次の申告・年1回の棚卸しなど。使用頻度は最低ですが、無いと困る種類です
- 事故のときにだけ使うもの——障害対応・復旧手順の類。使われていない状態こそが正常です
- 直近で入れたばかりのもの——まだ使う機会が来ていないだけで、判断するには早すぎます
逆に言えば、この3つに当てはまらず、かつ費用が大きいものは、外す候補としてかなり有力です。

減らしたあとは「選び方」の問題になる
一度減らしても、運用を変えなければまた増えます。何を入れて何を入れないかの基準そのものについては、別の記事で4つの軸に整理しています。
/doctorと/skill-doctorは何が違うのか
名前が似ているため、ここは整理しておく価値があります。結論として、守備範囲が違います。
/doctor | /skill-doctor | |
|---|---|---|
見るもの | 環境全体(設定ファイル・MCP・権限・重複) | スキルに限定 |
出るもの | 正常・警告・エラーの点検レポートと修正提案 | 使われなかったスキルと、そのコンテキスト費用 |
目的 | 散らかりを直す | 持ちすぎを減らす |
使いどころ | 環境をいじった後・無人実行の前 | スキルが増えてきたと感じたとき |
実は /doctor も、以前から「読み込んでいるが使っていない連携」をコンテキストの費用と対比して洗い出す働きを持っていました。/skill-doctor は、そのうちスキルの部分だけを取り出して、専用に深掘りしたものと捉えると分かりやすいはずです。環境全体の点検については、こちらで詳しく扱っています。
私がこのコマンドを待っていた理由
ここからは実運用の話です。私はMac miniを常時起動の自動化サーバーにして、定型ジョブを毎日無人で回しています。記事の下書き、ニュースのまとめ、ネタ出しといった仕事が、深夜や早朝に人のいないところで動いています。
この構成だと、スキルは増える一方になります。ジョブを1つ増やすたびに、その手順をスキルの形で固定していくからです。しかも全プロジェクトを1つのリポジトリで管理しているため、あるジョブのために作ったスキルが、関係のないセッションにも積まれている状態が起きます。
これまでの棚卸しは「記憶で判断していた」
私はこれまで、この棚卸しを定期的に手でやってきました。一覧を眺めて、「これは最近使ったな」「これはもう使っていないな」と仕分けていく作業です。
ただ、この方法には決定的な弱点がありました。「使ったかどうか」を自分の記憶で判断していたことです。
記憶は、直近に触ったものを過大評価します。逆に、半年前に作って一度も呼ばれていないスキルは、作ったときの手応えだけが残っていて、「まあ使うだろう」と残してしまう。結果として、棚卸しをしたのに大して減らないという状態が何度も起きました。
/skill-doctor が置き換えるのは、まさにこの部分です。「使ったつもり」を「使われなかった」という測定結果に差し替える。それも、費用という比較可能な単位を添えて返してくる。手作業の棚卸しで一番弱かったところが、そのまま埋まる形になります。
正直に書いておくこと
ひとつ、はっきりさせておきます。私はまだ、このコマンドを日々の運用フローに組み込むところまでは進めていません。入ったばかりの機能で、私の環境で継続的に効いたと言えるだけの期間を踏んでいないからです。
この記事で書いているのは、「更新履歴から確実に読み取れること」と「手作業の棚卸しを続けてきた側から見て、これが何を解決するコマンドなのか」の2つです。実測値を並べた運用レポートは、期間を置いてから別に書きます。
同じ見方は、スキル以外にも当たる
このコマンドが面白いのは、考え方が汎用的だからです。「入れたが、呼ばれていないもの」に費用のラベルを貼って並べる——これはスキルだけの話ではありません。
私が同じ目で見直すようにしているものを挙げます。
- 契約中のツール——毎月引き落とされているが、直近で開いたのはいつか
- 作った資料——時間をかけて作ったが、その後どれだけ参照されたか
- 書いたルール——手順書やマニュアルの中に、誰も読んでいない行がどれだけあるか
- 増やした通知——鳴っているが、鳴ったときに行動が変わっていないもの
どれも共通して、増やすときには判断があるのに、減らすときには判断の機会がないという構造をしています。だから溜まります。/skill-doctor が偉いのは、機能を足したことではなく、減らす側に判断の機会を作ったことだと私は受け取っています。
とくに、自分が止まると事業が止まる規模で仕事をしている場合、この効き方は大きくなります。持っているものすべてに目を配る時間がないぶん、「持っているだけでかかっている費用」を機械に出させる価値が高いからです。
注意点と限界
過度な期待をしないために、限界も並べておきます。
- 2.1.261より前では存在しない——打って無ければ、まずバージョンを確認する
- 判断はしてくれない——出るのは材料までで、外すかどうかは自分が決める
- 「使われていない」は「不要」ではない——年1回のもの・事故対応のものは、使われていないのが正常
- 1回の結果で決めない——たまたまそのスキルを使わない期間だった可能性がある
- 公式の告知ポストは確認できていない——根拠は製品の更新履歴のみ。仕様が今後変わる余地がある
最後の点に関連して、更新履歴の記述は簡潔で、表示の単位や集計範囲までは書かれていません。実際の出力を見て、自分の環境での読み方を決めてください。
よくある質問
Q. /skill-doctor と /doctor はどちらを使えばいいですか?
目的が違うので、両方使います。環境全体が散らかってきたと感じたら /doctor、スキルを持ちすぎていると感じたら /skill-doctor です。/doctor もスキルを含む「使っていない連携」に触れますが、スキル単位で費用まで割って見たいときは /skill-doctor のほうが適しています。
Q. 打っても「そんなコマンドはない」と言われます
バージョンが 2.1.261 より前である可能性が高いです。claude --version で確認し、古ければ更新してください。
Q. 使っていないスキルは、全部消していいですか?
いいえ。年に数回しか使わないもの、事故のときだけ使うもの、入れたばかりのものは残してください。それ以外で費用が大きいものから外すのが安全です。
Q. 外したスキルは元に戻せますか?
戻せます。だからこそ、削除ではなく無効化・退避の形にしておくと、思い切って減らせます。
Q. どのくらいの頻度で走らせるべきですか?
私は、スキルを増やした直後と、月次の棚卸しのタイミングを想定しています。毎日打つ種類のコマンドではありません。「増やした」と「定期」の2点で十分です。
Q. スキルを減らすと、AIの能力は落ちませんか?
使っていないスキルを外しても、その分の判断能力が落ちることはありません。むしろ、選択肢が減るぶん目的のスキルが選ばれやすくなる面があります。ただし本当に必要なものまで外せば当然困るので、判断基準は前述のとおりです。
まとめ|増やす話ではなく、減らす話
要点を整理します。
/skill-doctorは 2.1.261 で入った、使われなかったスキルとそのコンテキスト費用を表示するコマンド- スキルの費用は「使ったとき」ではなく「持っているだけ」で発生する。だから棚卸しが要る
- 判断は「使うかもしれない」ではなく「直近で使ったか」で切る
- ただし年数回・事故対応・入れたばかりの3つは、使われていなくても残す
- 同じ見方は、契約中のツール・作った資料・書いたルールにもそのまま当たる
スキルやツールは、増やすときには必ず理由があります。問題は、減らすときにその理由を検討する機会が誰にも訪れないことです。/skill-doctor は、その機会を機械の側から差し出してくるコマンドでした。
私たちは、こうした日々の更新を実際の業務フローに落とし込むところまでを見ています。道具を増やすことより、増やした道具が本当に働いているかを測れる状態を作ることのほうが、結果的に効きます。
Claude Codeを「素のまま」使うな

設定で差がつく——CLAUDE.md・権限・スキルの実物を公開(全24ページ)
素のClaude Codeは"優秀な新入社員"。仕事を教えるほど、自分専用になります。覚えさせる4点セット——会社の説明書(CLAUDE.md)・権限の柵・手順書(スキル)・フォルダの地図——を、1人会社の実運用からコピペで使える型つきで公開します。
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