Agent Skillsのオープン標準とは|そのまま動くは誤解
「Claude Codeで作ったスキルを、そのままCodexやCursorでも使えないか」——複数のAIツールを併用していると、一度は考えるはずです。
結論から言うと、Agent SkillsはAnthropicがもともと作って公開したオープン標準で、Claude Code・Codexをはじめ多くのツールが対応を表明しています。ただし「フォーマットさえ合わせれば、そのままどこでも動く」というのは誤りです。置き場所となるディレクトリがツールごとに違い、さらにClaude Codeには標準の範囲を超えた独自拡張があり、それらは他のツールへは持ち越せません。
株式会社Fyveは中小企業向けにAI業務効率化を手がけており、複数のAIツールを併用する現場を見てきました。この記事では、標準の成り立ちと、実務でつまずきやすい「共通/非共通」の境目を整理します。
Agent Skillsは、もともとAnthropicが作って公開したオープン標準
標準の公式サイト agentskills.io には、次のように明記されています。
"The Agent Skills format was originally developed by Anthropic, released as an open standard, and has been adopted by a growing number of agent products."
日本語にすると、「Agent Skillsというフォーマットは、もともとAnthropicによって開発され、オープン標準として公開されたもので、増え続けるエージェント製品に採用されてきている」という趣旨です。Claude Code公式ドキュメントも同じ立場で、次のように書いています。
"Claude Code skills follow the Agent Skills open standard, which works across multiple AI tools."
OpenAI Codex側の公式ドキュメントにも、同じ標準を参照する記述があります。
"Skills build on the open agent skills standard."
agentskills.io が公開しているクライアントショーケースには、2026年9月4日時点で46種類のツールが掲載されていました。Claude Code・Claude・ChatGPT & Codex・Cursor・Gemini CLI・GitHub Copilot・VS Codeのような主要どころに加え、OpenCode・Goose・Roo Code・Amp・Letta・Qodo・Tabnine・Snowflake Cortex Codeなど、開発者向けのAIエージェントの多くが名を連ねています。1社が作ったフォーマットが、競合を含む業界横断で採用されているという点で、標準としては珍しいほど広がっている状態です。
ここが重要な理由は、単なる仕様の話にとどまりません。企業がAIエージェントを業務に組み込む際、「どのベンダーのツールを選ぶか」で作った資産(手順書・チェックリスト・業務知識をまとめたスキル)が無駄になるのではないか、という不安がつきまといます。共通の標準がある、という事実そのものが、その不安をある程度和らげる材料になります。ただし、和らげられるのは「フォーマットの型」までで、次の章で見るように「中身」まですべてが無条件に持ち越せるわけではありません。

標準の実体——SKILL.mdフロントマターの6フィールド
Agent Skills標準が定義しているのは、SKILL.mdというファイルの冒頭に書く「フロントマター(メタ情報)」の形式です。agentskills.io の仕様ページには、次の6フィールドが明記されています。
フィールド | 必須 | 内容 |
|---|---|---|
| 必須 | スキル名(64文字以内・小文字英数字とハイフンのみ) |
| 必須 | 何をするスキルか、いつ使うべきかの説明(1,024文字以内) |
| 任意 | スキルに適用するライセンス |
| 任意 | 動作環境の要件(対象製品・必要なパッケージ等・500文字以内) |
| 任意 | 自由なキーと値のペア(追加情報を持たせたい場合) |
| 任意 | あらかじめ許可するツールの一覧(実験的機能) |
必須なのはnameとdescriptionの2つだけで、残る4つは任意です。Claude Code公式ドキュメントにも同じ6フィールドが「標準(spec)が定義するフィールド」として明記されており、agentskills.ioの仕様とClaude Code側の説明は一致しています。
読者特典・無料ダウンロードClaude Codeを「素のまま」使うな無料でダウンロード →「そのまま動く」への反証① ディレクトリが違う
フォーマットは共通でも、スキルを置く場所はツールごとに違います。Claude CodeとCodexを比べると、次のようになります。
Claude Code | Codex | |
|---|---|---|
ユーザー単位 |
|
|
プロジェクト単位 |
|
|
管理者単位 | managed settings経由 |
|
ディレクトリ名からして.claudeと.agentsで異なります。同じSKILL.mdを書いても、Claude Codeの.claude/skills/直下に置いただけではCodexは見つけられませんし、逆も同様です。
この違いが実際の配布物にどう表れているかを示す実例が、GitHubで公開されているmattpocock/skillsです。このリポジトリの説明文は"Straight from my .agents directory."(自分の.agentsディレクトリそのまま)——つまり、もともとCodex系の置き場所を実体にして作られたスキル集だと明かされています。それでもClaude Code向けのプラグインとしてインストールでき、実際に動きます。「標準に沿っていれば、置き場所を合わせるひと手間で複数ツールに配れる」ことの具体例といえます。収録スキルの中身は別記事で一覧化しています。
「そのまま動く」への反証② Claude Code独自拡張は移植されない
ディレクトリの違いだけなら、置き場所さえ揃えれば済む話です。しかしClaude Code公式ドキュメントは、もう一段踏み込んだ注意を明記しています。
"Claude Code extends the standard with additional features like invocation control, subagent execution, and dynamic context injection."
Claude Codeは標準を土台にしつつ、起動制御(disable-model-invocationなど、ユーザーが呼ぶかClaudeが自動で呼ぶかを切り替える設定)・サブエージェント実行・動的コンテキスト注入という独自の拡張機能を持っています。これらはClaude Code用のフロントマターやSKILL.md本文機能としては使えますが、標準そのものが定義しているものではありません。
この違いが実際にどう出るかというと、Claude Code公式は「Claude Code以外の場所」——claude.aiでのスキルアップロード、Skills API、`anthropics/skills`のパッケージ化ツール——では、標準の6フィールドしか受け付けないと明記しています。範囲外のフィールドを含めると、次のようなエラーで弾かれます。
Unexpected key(s) in SKILL.md frontmatter: argument-hint.
Allowed properties are: allowed-tools, compatibility, description, license, metadata, name本文機能についても同様です。Claude Code公式は「Claude Code独自の本文機能(動的コンテキスト注入など)は、claude.aiのチャットやAPI経由では動かない」と明記しています。フォーマットが同じでも、Claude Codeだけの機能を使ったスキルは、他の実行環境では本来の動きをしない——ここが「そのままどこでも動く」という理解が誤りである、いちばんの理由です。

誰が気にすべきか——3つの条件で分岐する
- Claude Codeだけを使っている場合:標準を意識する必要はほとんどありません。
.claude/skills/に置けば、6フィールドも独自拡張もすべてそのまま使えます - Claude CodeとCodexなど複数ツールを併用している場合:同じスキルを両方で使うには、ディレクトリをまたぐ橋渡しの設定が必要です。次の章で3つの方法を紹介します
- スキルを自作して公開・配布する場合:標準の6フィールドだけに絞っておくと、Claude Code以外の環境でも壊れずに読み込まれます。Claude Code独自の項目(
disable-model-invocation等)を混ぜると、Claude Code以外では前述のエラーで弾かれるか、無視されて意図どおりに動きません
中小企業がAIツールの導入を検討する場面では、この論点は「どのツールに一本化するか」という判断に直結します。社内でClaude Codeだけに揃えるなら独自拡張まで含めて自由に使えますが、部署ごとにCodexやCursorなど別のツールが混在している場合は、共有したいスキルを標準の6フィールドだけで書く、という制約を最初から意識しておいたほうが、後から作り直す手間を避けられます。
複数ツールで同じスキルを共用する3つの実務手段
フォーマットが共通という前提の上で、ディレクトリの違いを埋める方法は主に3つあります。
- シンボリックリンクを張る:Claude Codeは
~/.claude/skills/・.claude/skills/配下のエントリがシンボリックリンクでもリンク先を辿って読み込みます。Codex公式も「symlinked skill foldersに対応し、スキャン時にリンク先を追跡する」と明記しています。実体を.agents/skills/側に置き、.claude/skills/<name>からリンクを張る運用が、両方に対応できます npx skills add -a <agent>で複数エージェント向けに書き分ける:Vercel Labs製の横断インストーラnpx skillsは、対象エージェントごとに書き込み先ディレクトリを自動で振り分けます(Claude Code→.claude/skills/、Codex等→.agents/skills/)- 両方のディレクトリにコピーして置く:シンプルですが、更新のたびに両方を直す手間がかかります。スキルの数が少ないうちは現実的な選択肢です
いずれの方法でも、コピー元のSKILL.mdが標準の6フィールドだけで書かれていることが前提になります。Claude Code独自の項目を使ったまま複数ツールで共用しようとすると、Claude Code以外では期待どおりに機能しない場合がある点は変わりません。
スキルの持ち運び・配布の実務は、別記事に譲ります
この記事は「標準そのものの仕組みと、なぜ『そのまま動く』が誤解なのか」に焦点を絞っています。プラグイン化・配布パッケージ化など、スキルをチームや社外へ持ち運ぶ実務的な手順は、別記事で扱っています。
Agent Plugins 1.0とは|業務スキルを持ち運ぶ
よくある質問
agentskills.ioにスキルを検索できるレジストリはありますか
今回の調査で確認できたのは、仕様のページと対応ツールのショーケースまでです。スキルを検索・配布する機能(レジストリ)が用意されているかどうかは確認できていません。個別のスキルを探す場合は、Claude公式のプラグインディレクトリ(claude.com/plugins)やGitHub検索の方が実用的です。
Claude Codeで作ったスキルは、そのままCodexで動きますか
SKILL.mdが標準の6フィールドだけで書かれ、ディレクトリの置き場所を揃えていれば動く可能性が高いです。ただしdisable-model-invocationのようなClaude Code独自の設定や、Claude Code専用の本文機能を使っている場合は、Codex側でその挙動までは再現されません。
「Agent Skills」と「Claude Skills」は同じものですか
「Agent Skills」は標準(フォーマット)の名前、「Claude Codeのスキル」はその標準に沿ってClaude Code上で動く実装、という関係です。Claude Codeのスキルは標準に準拠しつつ独自拡張を持つ、という位置づけになります。
まとめ——Agent Skillsのオープン標準チェックリスト
- Agent SkillsはもともとAnthropicが開発し、オープン標準として公開したフォーマット(agentskills.io記載)
- 2026年9月4日時点で、agentskills.ioのクライアントショーケースに46種類のツールが掲載(Claude Code・Codex・Cursor・Gemini CLI・GitHub Copilot・VS Code等)
- 標準が定義するフロントマターは6フィールドのみ(必須:
name・description/任意:license・compatibility・metadata・allowed-tools) - 🔴 「そのままどこでも動く」は誤り。理由は2つ——①ディレクトリが違う(Claude Code=
~/.claude/skills/、Codex=$HOME/.agents/skills)②Claude Code独自拡張(起動制御・サブエージェント実行・動的コンテキスト注入)は標準の範囲外で、他ツールには移植されない - 複数ツールで共用するなら、シンボリックリンク/
npx skills add -a/両方へコピーのいずれかで橋渡しする - 公開・配布用に書くなら、標準の6フィールドだけに絞ると壊れにくい
mattpocock/skillsは「Codex系の.agentsディレクトリ由来のスキル集が、Claude Codeでも動く」実例として参照できる
Claude Codeに標準搭載されているスキル・コマンドの一覧は、こちらのハブ記事にまとめています。
Claude Codeを「素のまま」使うな

設定で差がつく——CLAUDE.md・権限・スキルの実物を公開(全24ページ)
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