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2026/10/21Claude Code
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variance-analysis スキルとは|予算と実績の差を説明させる

variance-analysis スキルとは|予算と実績の差を説明させる

「今月の数字、予算とずれているのはわかった。でも、なぜずれたのかを説明してと言われると手が止まる」——予算と実績の表を前に、そんな経験はないでしょうか。

結論から言うと、variance-analysis スキルは、予算と実績の差を「どの項目が」「いくら」「どんな原因で」と分け、会議で話せる短い説明文にするための手引きです。Anthropic が公開している finance プラグインに入っている1本で、Claude Code に入れておくと、予実の表を渡したときの分け方と書き方がそろいます。

株式会社Fyveは、AIを仕事で使う人向けにClaude Codeのスキルを1本ずつ試して紹介しています。この記事では、手作り家具を売る従業員12名の架空の会社の予算と実績の表で実際に動かし、スキルなしの場合と並べて比べた結果を書きます。

variance-analysis スキルとは何をするものか

variance(バリアンス)は、会計の世界では「予算と実績の差」のことです。日本語では予実差異と呼ぶことが多く、variance-analysis はその差を分析するスキルです。

中身は、リポジトリの finance/skills/variance-analysis/SKILL.md という1枚の指示書(約11KB)です。プログラムは付いていません。Claude に次のような考え方を教える内容になっています。

  • 差を要因に分ける方法:売上なら「数量の差」と「単価の差」に分ける(価格×数量の分解)。人件費なら人数の差と単価の差、といった具合です。説明書の例では、予算1万個×50ドルに対して実績1.1万個×48ドルのとき、差の+2.8万ドルを「数量で+5万ドル、単価で−2.2万ドル」に分けています
  • どの差から調べるか:予算比10%、前期比15%、予測比5%、前月比20%を超えたら説明をつける、という目安の表があります(金額の基準は会社ごとに決める、と書かれています)
  • 説明文の型:「項目:好ましい/好ましくない差、金額(%)」「原因」「見通し(一時的か続くか)」「対応」の順で、2〜4文にまとめる
  • 悪い説明文の例:「売上が予算より高かったのは売上が高かったから」「費用が高めだった」「その他いろいろ」のような、何も説明していない書き方を避ける
  • ウォーターフォール(足し引きの図):予算から実績まで、増減を順に足し引きして示す。グラフが使えないときの文字だけの形も書かれています
  • 予算・見通し・実績の3つの比較と、見通しの当たり具合の測り方

つまり、計算そのものを速くする道具というより、「差をどう分けて、どう説明するか」の型を持たせる道具です。

仕事での使い道

予算と実績の表がある仕事なら、会社の規模を問わず使えます。

  • 月次の会議の前に、予算とのずれが大きい費目を洗い出し、社長や上司に話す説明文のたたき台を作る
  • 前月や前年との差の理由を、数字の動きから整理する
  • 「いくら増えた」だけの報告を、「何がいくら、どう効いたか」に書き直す
  • 広告費や仕入れ価格の変化が利益にどれだけ効いたかを、足し引きの順で示す

この記事の試験では、ずれの大きい費目の洗い出しと、予算の利益から実績の利益までの足し引きの2つを頼みました。

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variance-analysis スキルの入れ方

README に書かれている入れ方は次の2行です(Claude Code)。finance プラグイン全体が入ります。

claude plugin marketplace add anthropics/knowledge-work-plugins
claude plugin install finance@knowledge-work-plugins

リポジトリの説明では、入れたあとは「スキルは関係のあるときに自動で働き、スラッシュコマンドも使える」とあります。finance プラグインには variance-analysis のほかに、仕訳の準備、残高の突合、財務諸表、月次の締め作業、内部統制テストなどのスキルが入っています。

なお、今回の試験ではプラグインを丸ごと入れる代わりに、variance-analysis のフォルダだけを試験用の作業場の .claude/skills/ に置きました。プラグインに付いている外部サービスとの接続の設定(後述)を読み込ませないためです。そのため、プラグインとして入れる手順と、README に載っている /variance-analysis というコマンドは試していません(2026年10月21日時点のリポジトリには、コマンド用のフォルダは見当たりませんでした)。

必要なものは Claude Code だけです。表がExcelの場合は、Claude が読み取りの処理を自分で書いて動かします。

Claude Codeにこう頼む

スキルの名前を言わなくても、予算と実績の話をすれば自動で呼ばれました(次の節の1回目・2回目とも、名前は伝えていません)。頼み方の例です。

差の洗い出しと説明文なら、こう頼みます。

work フォルダの budget-vs-actual.xlsx は、うちの会社の2026年4〜9月の予算と実績の表です。
予算と実績がずれている費目を洗い出して、なぜずれたのかを説明してください。
社長に月曜の会議で話す用なので、大きなずれから順に、短い説明文にまとめてください。
会社の様子は company.md にあります。結果は work/report.md に書いてください。

足し引きの図なら、こう頼みます。

…予算どおりなら出るはずだった利益から、実際の利益までの間に、
どの費目がいくら増減させたのかを、足し引きの順がたどれる形にしてください。
利益は売上から6つの費用を引いたものです。結果は work/bridge.md に書いてください。

コツは、「誰に話す用か」「どの順に並べるか」「結果をどこに書くか」を伝えることです。

試した結果|架空の会社の予算と実績の表で

試した条件

試したのは、手作り家具を売る従業員12名の架空の会社(年商約1億2千万円)です。材料には、2026年4〜9月の予算と実績の表(売上と6つの費用、各月の予算・実績・差異。42行)を使いました。この表には、あらかじめ次の「ずれ」を仕込んであります。

  • 広告費:7〜9月が予算(月70万円)の約1.65倍
  • 材料費:6〜9月が予算(月310万円)の約1.22倍
  • 送料:8〜9月が予算(月60万円)の約1.38倍
  • 売上:全月、予算より約2%下。ほかの費目は±3%以内

実行は claude -p(Sonnet)で、試験用のフォルダの中だけで行いました。普段使っているスキルや設定は読み込ませていません。

1回目:ずれた費目の洗い出しと説明文

スキルの名前を言わずに頼んだところ、Claude は自分で variance-analysis を呼び出しました。かかった時間は37.6秒です。

variance-analysis スキルが自動で発動し、予算と実績のずれを大きい順にまとめた画面

結果は、仕込んだ4つのずれがすべて当たっていました。

  • 材料費が+277.7万円(+14.9%)で、6月から毎月378.2万円に跳ね上がっている
  • 広告費が+137.8万円(+32.8%)で、7月から毎月115.5万円。しかも売上は予算を下回ったままで、増額の効果は数字に出ていない
  • 送料が+44.3万円(+12.3%)で、8月から毎月82.8万円
  • 売上は毎月約2%ずつ予算を下回っていて、予算の見込みが最初から少し高かった可能性がある

利益は予算の673万円に対して実績127万円で、546万円足りない、という結論も出ました。私が手で検算しても一致しました。

特に良かったのは、次の2点です。1つ目は、「材料費が毎月まったく同じ金額で、入力に問題がないか確認を」と、不自然な数字に気づいたことです。2つ目は、原因について「表の数字の動きからの推測です。表には理由を直接示す記述がありません」と、わかる範囲を区別して書いたことです。

variance-analysis スキルで作った予算と実績のずれの一覧表(差異と差異率と評価)

書き出されたレポートは、結論3点、費目ごとの一覧表(予算・実績・差異・差異率・評価)、費目ごとの説明と見通し、会議で確認したいこと4点、という構成でした。費目ごとの説明は、説明書にある「原因」「見通し」「対応」の型に沿っています。

2回目:予算の利益から実際の利益までの足し引き

2回目も、名前を言わずに自動で発動しました(28.0秒)。説明書にある文字だけのウォーターフォールの形で、予算の利益673万円から実績の126.6万円まで、1行ずつ累計を書いてくれました。

variance-analysis スキルが作った、予算の利益から実際の利益までの足し引きの図(文字のウォーターフォール)

下の図は、この結果をもとに私が描き直したものです。差の546.4万円のうち、材料費・広告費・売上の3つで536.7万円を占め、人件費だけが利益を39.3万円押し上げています。

予算の利益673万円から実際の利益126.6万円までの増減を示すウォーターフォール図

レポートには、計算表、検算、各項目の寄与率(材料費が50.8%など)も付いていました。検算の式は、足し引きの合計と実績の利益が一致することを確認していました。

スキルなしと比べて何が変わったか

同じ依頼を、スキルを入れていない別のフォルダでも実行しました(実行記録に、スキルの呼び出しがないことを確認済みです)。

1回目(洗い出し)

2回目(足し引き)

スキルあり:時間

37.6秒

28.0秒

スキルなし:時間

30.6秒

25.2秒

スキルあり:費用の概算

約0.135ドル

約0.132ドル

スキルなし:費用の概算

約0.103ドル

約0.101ドル

仕込んだずれの発見

どちらも全部

どちらも合っている

費用は claude -p が出した概算の数字で、2026年10月21日に1回ずつ測ったものです。回数を重ねた平均ではないので、目安として見てください。

スキルなしで同じ依頼をしたときの予算と実績のずれのレポート

正直に言うと、差は小さいです。スキルなしでも、仕込んだずれはすべて見つけ、利益の差546万円も同じ数字で出し、「毎月同額なのは入力を確認」「原因は推測」と同じ注意を書きました。2回目の足し引きも、表の形で正しく作れました。

違いが出たのは、書き方の型です。

  • スキルあり:評価の列(良い・悪い)、費目ごとの「今後」(このまま続くか、何を確認するか)、文字のウォーターフォール、寄与率の表。説明書の型どおりにそろう
  • スキルなし:「ずれ始めた月」の列があり、会議で決めてほしいことが4点にまとまっている。表1枚で簡潔

その代わり、スキルありの方が時間は1〜2割、費用は約3割多くかかりました。「同じ型で毎回そろえたい」「社内の報告の書式にしたい」ときに意味が出るもので、「数字の読み間違いを防ぐ」目的なら、今回の表ではスキルなしで足りました。

中身の安全確認|何を外に送るか、何を実行するか

リポジトリのスキルのフォルダを、入れる前に読みました(2026年10月21日時点)。

  • スキルの中身:SKILL.md 1枚だけです。付属のプログラム、実行の設定(hooks)、使ってよい道具の指定(allowed-tools)はありません。外部への送信や、コマンドの実行、認証情報の扱いに関する記述もありません
  • プラグインに付いてくるもの:finance プラグインには .mcp.json という外部サービス接続の設定が付いています。Snowflake、Databricks、BigQuery、Slack、Google Calendar、Gmail の6つの枠で、URL が空欄のものが多く、BigQuery と Slack は URL が入っています。プラグインとして入れると、この定義が読み込まれます。利用者が接続を許可しなければデータは動きませんが、使わない接続は入れないでおくのが無難です
  • 表のデータ:スキル自体は、データをどこにも送りません。ただし、Claude Code に渡した表は、Claude のサービスに送られて処理されます。取引先名や個人名が入った表を渡すときは、自社のルールを確認してください
  • ライセンス:リポジトリは Apache-2.0 です

先頭には「財務アドバイスではなく、報告に使う前に専門家が確認すること」という注意書きもあります。

variance-analysis スキルが向かない場面

  • 単価と数量の列がない表で、売上の差を分けたいとき:このスキルの目玉の「価格×数量の分解」は、単価と数量が表にないと使えません。今回の表にも列がなかったため、この分解は試せていません
  • 理由そのものを知りたいとき:スキルが出す原因は、数字の動きからの推測です。表にない理由(取引先の値上げ、広告の運用変更など)は、担当者に確認が必要です。今回の試験でも、スキルあり・なしの両方がそう書きました
  • 日本の会計基準や税務の判断:説明書は、米国の会計の考え方(米ドル、四半期など)を前提にした書き方が多く、日本の税務や制度の話は含まれません。日本語で頼めば、説明は日本語で出ました
  • 予算と見通しの3者比較:見通し(フォーキャスト)の列がある表では使えるはずですが、今回は見通しがない表だったため試していません
  • システムから自動で数字を取る運用:ERP やデータウェアハウスとの接続(MCP)の部分は試していません

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スキルの入れ方や効果の測り方については、こちらの記事が参考になります。

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まとめ|使う前のチェックリスト

  • □ variance-analysis は、予算と実績の差を分解し、説明文にする「型」を持たせるスキル(SKILL.md 1枚・プログラムなし)
  • □ 入れ方は claude plugin marketplace add anthropics/knowledge-work-plugins と claude plugin install finance@knowledge-work-plugins(リポジトリは2026年10月21日時点で約3万スター・Apache-2.0)
  • □ 試した範囲では、名前を言わなくても「予算と実績のずれを説明して」で自動で発動した
  • □ 架空の会社の表では、仕込んだずれ4つをすべて見つけ、足し引きも正しく計算できた
  • □ スキルなしでも同じ数字は出た。違いは、評価・見通し・足し引きの図という書き方の型で、時間は1〜2割、費用は約3割増えた
  • □ 原因は推測。表にない理由は担当者に確認する
  • □ プラグインに付く外部サービス接続(.mcp.json)は、使わないなら入れない・許可しない
  • □ 単価と数量の列がある表なら「価格×数量の分解」まで頼める(今回は試していない)
  • □ 報告に使う前に、数字は自分の目で確認する

出所:anthropics/knowledge-work-plugins のリポジトリ(finance プラグイン v1.3.0・2026年10月21日に確認)と、架空の会社の表での試験結果。

「数字・表をまとめる」のスキルは、ほかに2本を同じ架空の会社の材料で試しています。

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