/run-skill-generatorとは|起動手順をスキルに記録する
「Claude Codeに/run-skill-generatorという機能があると聞いたが、これは画面を録画してスキルを作る機能のことだろうか」「Record a Skillと何が違うのか分からないまま、名前が似ているので混同して使ってしまった」——名前から「録画してスキルを作る系の機能」だと連想し、実際に何をしているのか把握しないまま使ってしまう人は少なくありません。
結論から言うと、/run-skill-generatorは画面を録画する機能ではありません。Claude自身がクリーンな環境からアプリを実際に起動してみて、うまくいったインストールコマンド・環境変数・起動スクリプトを記録し、プロジェクト固有のスキル.claude/skills/run-<name>/として書き出す、Claude Codeに標準搭載されたバンドル済みスキルです。「録る」という言葉は使われますが、録っているのは映像ではなく手順そのものです。
株式会社Fyveは中小企業のAI業務活用を支援しており、Claude Codeを日常の実務で使っています。この記事では、まず「録画ではない録画的スキル生成」という言葉の意味を、実際に画面を録画するAnthropicの別機能「Record a Skill」との対比で整理したうえで、/run-skill-generatorが何のために存在し、どう使うのかを公式ドキュメントに基づいて解説します。
「録画ではない録画的スキル生成」——何を"録って"いるのか
/run-skill-generatorという名前を見て、多くの人が連想するのはおそらく「操作を録画してスキルにする機能」でしょう。実際、Anthropicには画面・クリック・タイピング・音声ナレーションを本当に録画してスキル案を作る機能が存在します。Claude Cowork(デスクトップアプリ)の中にあるRecord a Skillです。ただし/run-skill-generatorはこれとは別の実行面・別の仕組みで動く、まったく別の機能です。
公式ドキュメントの説明はこうです。「/run-skill-generatorはレシピを記録する。クリーンな環境からアプリを実際に起動させ、うまくいったこと(インストールコマンド・環境変数・起動スクリプト)を捉え、プロジェクト固有のスキルとして.claude/skills/run-<name>/にコミットする」。つまりここでの「記録」とは、Claudeが自分の手でアプリを起動してみて、成功した操作手順をテキストのスキルファイルとして書き出すという意味であり、人間の画面操作を映像として保存しているわけではありません。
この違いを1つの表にまとめます。
/run-skill-generator(Claude Code) | Record a Skill(Claude Cowork) | |
|---|---|---|
何を記録するか | Claude自身がアプリを起動して試し、成功した手順(インストールコマンド・環境変数・起動スクリプト) | 人間の画面操作・クリック・タイピング・音声ナレーション |
実行面 | Claude Code(ターミナル/IDE) | Claude Cowork(デスクトップアプリ)のみ |
対応OS・プラン | Claude Codeが使える環境であればどこでも。インストール不要 | Macのみ・Windows非対応(2026-09-04時点・公式ヘルプ最終更新2026-07-22)。Pro/Max/Teamプランが必要、Free・Enterpriseは不可 |
保存されるもの | プロジェクトのスキルファイル一式。リポジトリにコミットしてチームで共有できる | セッションのスクリーンショット群。動画・音声そのものは保持されない。Coworkのタスクを削除するとスクリーンショットも消える |
時間の目安 | アプリが起動するまで(明示的な時間上限の記載なし) | 1回の録画は約10分。残り1分程度でカウントダウンが表示される |
できないこと | 人間の画面操作そのものの再現は対象外 | コマンド・環境変数といった構造化されたレシピへの整理は対象外 |
Record a Skillについては、対応OSや保存されるデータの詳細を含めて、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

何のために使うのか——/run・/verifyに"起動のしかた"を教える機能
/run-skill-generatorは単独では完結せず、/runと/verifyという2つのバンドル済みスキルとセットで機能します。この3つは、テストや型チェックだけに頼らず、実際にアプリを起動して変更が動いているかどうかを確認するために連携しています。
- /run:アプリを起動して動かし、変更が実際に効いているかを見る
- /verify:テストや型チェックにフォールバックせず、アプリをビルド・起動して変更が意図どおりかどうかを確認する
- /run-skill-generator:/runと/verifyに、そのプロジェクト特有の「ビルドと起動のしかた」を教える
/runと/verifyは、セットアップなしでも動きます。プロジェクトの種類(CLI・サーバー・TUI・ブラウザ駆動)や、READMEやpackage.json、Makefileの内容から起動方法を推測してくれるからです。ただしこの推測は、標準的な起動を超えるプロジェクト——データベース接続が要る、環境変数ファイルが要る、GUIセッションが要る、複数ステップのビルドが要る、といったケース——では当てにならなくなります。
/run-skill-generatorはこの「推測が効かないプロジェクト」のために、レシピをその都度作るのではなく一度記録して固定する役割を担います。記録後は、/run・/verify・そしてリポジトリ内で動く他のエージェントも、推測をやり直すのではなく、記録済みのレシピに従うようになります。実行するのはプロジェクトにつき1回でよく、ビルドや起動の手順が変わったときに改めて実行し直します。
なお/verify自身も、記録済みレシピが無い状態でアプリをビルド・起動しなければならなかったときは、独自にレシピを.claude/skills/verify/SKILL.mdへ書き出します(モノレポでは、触ったパッケージのディレクトリに書かれます)。リポジトリのルートで記録された場合、それ以降はこのレシピがバンドル済みの/verifyそのものを置き換えます(Claude Code v2.1.200以降)。
記録ファイルは差分が出にくい設計になっている
Claudeが記録ファイルを編集するのは、実行がうまくいかなかったとき(コマンドが失敗した、手順が漏れていた、など)だけです。うまくいっている限りファイルは書き換わらないため、セッションのたびに差分が出ることなくコミットできます。公式ドキュメントによれば、Claude Code v2.1.205より前のバージョンでは、実行のたびに学んだことをすべて織り込む設計だったため、頻繁にマージ競合が起きていたとのことです。現在の「失敗したときだけ編集する」設計は、この問題への対応として変更されたものです。
読者特典・無料ダウンロードClaude Codeを「素のまま」使うな無料でダウンロード →バンドル済みスキルという位置づけ
/run-skill-generatorは、Claude Codeに最初から入っているバンドル済みスキルの1つです。ほかにも/doctor /code-review /batch /debug /loop /claude-api /run /verify /security-review /simplify /initなどが同じ枠に含まれ、いずれもインストール作業なしでセッション開始時から使えます。バンドル済みスキルは、詳細な指示をClaudeに渡し、Claudeがツールを使って自分で作業を組み立てる「プロンプトベース」の仕組みで動きます。呼び出し方は自分で作ったスキルと同じで、/run-skill-generatorと入力するだけです。
バンドル済みスキルは、disableBundledSkillsという設定で一括してオフにできます(/doctorだけは対象外)。個別に1つだけ非表示にしたい場合はskillOverridesで指定します。チームの設定次第では、/run-skill-generatorを含むバンドル済みスキルがそもそも見えなくなっている場合もある、という点は覚えておいて損はありません。
Claude Codeに標準搭載されているスキル・コマンドの全体像は、こちらの記事で一覧にしています。

実務——実行から共有までの流れ
実際の使い方は次の順番になります。
- 1. プロジェクトで一度実行する:
/run-skill-generatorと入力します。Claudeがクリーンな状態からアプリのインストール・起動を実際に試し、うまくいった手順を組み立てます - 2. 記録されたスキルを確認する:
.claude/skills/run-<name>/にスキルファイルが書き出されます。中身はインストールコマンド・環境変数・起動スクリプトといった、実際にうまくいった手順です - 3. リポジトリにコミットする:記録ファイルは失敗したときしか書き換わらない設計のため、コミットしてもセッションのたびに差分が出て困ることは基本的にありません。チームメンバーや、同じリポジトリで動く他のエージェントも、この記録済みレシピをそのまま使えるようになります
- 4. 以後は/run・/verifyが記録済みレシピに従う:起動方法を推測し直す必要がなくなります
- 5. ビルド・起動手順が変わったら再実行する:依存パッケージの更新や環境変数の追加などでレシピが古くなったタイミングで、もう一度/run-skill-generatorを実行します
「アプリの起動手順をClaudeに録らせる」という感覚で捉えるより、「一度うまくいった起動手順を、Claudeにテキストとして書き出させて固定する」という感覚で使うほうが、実際の挙動に近い理解になります。
判断——どんなプロジェクトで効果が出るか
すべてのプロジェクトで/run-skill-generatorが必要になるわけではありません。
- シンプルなCLIツールや標準的な構成のWebアプリであれば、/run・/verifyがREADMEや
package.jsonから起動方法を正しく推測できることが多く、/run-skill-generatorを使うメリットは相対的に小さくなります - データベース接続・環境変数ファイル・GUIセッション・複数ステップのビルドが絡むプロジェクトでは、推測が外れやすいため、一度レシピを固定しておく効果が大きくなります
- モノレポやチーム開発では、記録したスキルファイルをコミットして共有できる価値がとくに大きくなります。新しく参加したメンバーやエージェントが、毎回同じ試行錯誤を繰り返さずに済みます
よくある誤解を防ぐ
名前や機能の位置づけから、実務で使う前に整理しておいたほうがいい誤解が3つあります。
誤解1:画面を録画してスキルにする機能だと思ってしまう
ここまで見てきたとおり、/run-skill-generatorが記録しているのは映像ではなく、実際にうまくいった起動コマンド・環境変数・起動スクリプトというテキストの手順です。画面・クリック・タイピング・音声ナレーションを実際に録画するのはRecord a Skillのほうで、しかもClaude Cowork限定の別機能です。「録る」という言葉のイメージに引っ張られて、Claude Codeの中に録画機能を探してしまうと見つからず、混乱の元になります。
誤解2:skill-creatorと同じものだと思ってしまう
Claude Codeにはスキルそのものを作るためのskill-creatorという仕組みも別に存在します。こちらはAnthropic公式で、スキルの作成と評価(eval)のループをClaude Code内で回す、汎用的なスキル制作の仕組みです。一方/run-skill-generatorは、汎用的なスキル制作ツールではなく、「このプロジェクトをどう起動すればいいか」という1点に絞って記録する専用の仕組みです。目的が違うため、どちらを使うべきか迷ったときは「新しく汎用のスキルを作りたいのか」「このプロジェクトの起動レシピを固定したいだけなのか」で判断できます。
誤解3:一度実行すれば、その後ずっとそのまま使えると思ってしまう
記録されたスキルは、記録した時点のビルド・起動手順を前提にしています。依存パッケージの更新、環境変数の追加、起動スクリプトの変更などでプロジェクトの実態が変わったのに記録ファイルだけが古いままだと、/run・/verifyが古いレシピに従って失敗する可能性があります。公式ドキュメントも「プロジェクトにつき1回、ビルドや起動プロセスが変わったときにもう一度実行する」ことを前提とした運用を案内しています。一度作って終わりではなく、プロジェクトの変化に合わせて更新するものだと捉えておく必要があります。
実務のイメージ——具体例で考える
たとえば、PostgreSQLに接続し、環境変数ファイルを読み込んでから起動する社内向け管理画面のプロジェクトを考えてみます。README通りにnpm startを叩くだけでは、データベースが立ち上がっていない・環境変数が設定されていない、といった理由でエラーになり、/run・/verifyの推測だけでは正しく起動できません。
このプロジェクトで一度/run-skill-generatorを実行すると、Claudeは実際に「データベースコンテナを起動する」「.envファイルをテンプレートからコピーする」「マイグレーションを実行する」「アプリを起動する」という一連の手順を自分で試し、成功した手順を.claude/skills/run-<name>/に書き出します。次回以降は、別のセッションや別のエージェントがこのプロジェクトを触るときも、この記録済みレシピに従って迷わず起動できるようになります。README頼みの推測が効かない構成のプロジェクトほど、この記録の価値がはっきり出る、という一例です。
まとめ
/run-skill-generatorについて、実務で使う前に押さえておきたい点をチェックリストにまとめます。
- /run-skill-generatorは画面録画の機能ではない。Claude自身がアプリを起動して試し、成功した手順をスキルファイルとして書き出す、Claude Code標準搭載のバンドル済みスキル
- 画面・音声を実際に録画する機能はRecord a Skill(Claude Cowork限定・Macのみ・Windows非対応)であり、別の実行面で動く別機能
- /run・/verifyと組み合わせて使う。起動方法の推測が効かないプロジェクトほど効果が大きい
- 記録先は
.claude/skills/run-<name>/。失敗したときだけ更新される設計のため、リポジトリにコミットして差分に悩まされずチームで共有できる - 実行はプロジェクトにつき1回、ビルド・起動手順が変わったときに再実行する
disableBundledSkills設定で他のバンドル済みスキルとまとめて無効化されている場合がある
Claude Codeを「素のまま」使うな

設定で差がつく——CLAUDE.md・権限・スキルの実物を公開(全24ページ)
素のClaude Codeは"優秀な新入社員"。仕事を教えるほど、自分専用になります。覚えさせる4点セット——会社の説明書(CLAUDE.md)・権限の柵・手順書(スキル)・フォルダの地図——を、1人会社の実運用からコピペで使える型つきで公開します。
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