Codex for Biz
2026/06/28Codex
AI活用非エンジニア向け

士業のCodex活用|税理士・行政書士の書類効率化

士業のCodex活用|税理士・行政書士の書類効率化

「定型書類の作成と法令の調べものに一日が溶けていく。話題のCodexで、税理士や行政書士のこの事務作業を減らせないか」——少人数で事務所を回していると、誰もが一度はこう考えます。

結論から言うと、Codex(OpenAIが提供するコマンド型のAIツール)は、定型書類のたたき台作成・顧客データの構造化・法令調査の下ごしらえといった「判断を伴わない作業」を大きく軽くできます。一方で、士業には法律で定められた守秘義務があり、顧客の機密情報をどう扱うかという線引きが他業種以上に重くのしかかります。

株式会社Fyveは中小企業や個人事業のAI業務効率化を支援していますが、本記事では私が集めた一次情報をもとに、税理士・行政書士の書類作成と調査業務にCodexをどこまで、どう効かせられるのかを、守るべき線引きとあわせて整理します。

士業がCodexを使うなら「定型の書類・調査業務」から

はじめに前提を共有します。Codexには「税務モード」や「許認可書類ボタン」のような士業専用の機能はありません。Codexは自然言語の指示で文章やデータ、簡単な業務ツールを生成する汎用のAIツールであり、その汎用力を士業の事務作業に応用する、という考え方になります。

Codexは、日本語の指示でテキストやデータを生成し、複数のファイルをまとめて読み込み、決まった形式で出力することもこなします。ChatGPTのPlus・Pro・Business・Enterpriseなどの契約に同梱されており、専用の月額契約は不要です(OpenAI公式のCodex解説)。

そして士業の現場で最初に手をつけるべきは、専門的な判断を伴わない定型業務です。具体的には次のような作業が候補になります。間違っても有資格者が気づける、いわば「下ごしらえ」の工程ばかりです。

  • 定型書類のたたき台作成:財産目録、遺産分割協議書、各種許認可書類など、様式が決まっている書類の下書きを作る。
  • 顧客データの構造化・集計:散らばった資料や台帳を、決まった形式の一覧表に整える。
  • 法令・条文の参照と整理:関連条文の抜き出しや、書類内の条番号のずれチェックを手伝わせる。
  • 顧客への案内文・問い合わせ返信のたたき台:定型的な連絡文の下書きを作る。

専門家としての最終判断や顧客折衝ではなく、「手間はかかるが頭はそれほど使わない」作業に絞る。これが士業でAIを安全に根づかせる出発点です。

任せる定型業務と士業が握る判断

そもそもCodexで何ができるのか、全体像から押さえたい方は、こちらの記事が出発点になります。

OpenAI Codex 完全ガイド|全体像とできること
CodexOpenAI Codex 完全ガイド|全体像とできること

税理士・行政書士がCodexに頼める書類・調査業務

ここからは「AIに何をやらせるか」ではなく「AIにどう頼むか」を、実際の指示の形で紹介します。コードを書く必要はありません。日本語でお願いする一文と、その補足という二段構えで考えてください。

様式が決まった書類のたたき台を作る

たとえば、こう頼みます。

「この相続関係のメモをもとに、財産目録の表を項目立てて作って。金額の欄は空欄のままにしておいて」

補足すると、Codexは「決まった形のフォーマット」を作るのが得意です。財産目録や遺産分割協議書のドラフト、定型的な許認可書類の下書きなら、必要な項目を伝えるだけで形になります。実際、行政書士・社労士の実務者からは、許認可書類のような定型業務をCodexに移していくという声が出ています(行政書士・社労士の実務者による報告)。あくまでたたき台であり、内容の正確性と最終確定は有資格者が担います。

顧客データを構造化・集計する

こう頼めます。

「このフォルダの資料を読んで、勘定科目ごと・月ごとの金額を集計した一覧表にして」

補足として、Codexは複数のファイルをまとめて読み込み、決まった形式の表に変換できます。手作業で電卓と表計算を往復していた集計を、確認だけの作業に変えられます。税理士の実務者からは、小規模事業者の法人確定申告について、台帳作成までをCodexで進めたという報告もあります(税理士による確定申告の自動化報告)。ただし、これは小規模で取引がシンプルな事業者を前提とした個人の事例であり、複雑な案件にそのまま当てはまるものではない点に注意してください。

条文の参照と書類内のずれをチェックする

こう頼みます。

「この規程の文中で『第〇条』として参照している番号が、実際の条立てとずれていないか全部チェックして、ずれている箇所を一覧にして」

補足すると、長い規程や契約書では、条文を追加・削除したときに本文中の「第〇条」という参照がずれてしまう、いわゆる条ずれが起きがちです。こうした機械的だが目視では見落としやすいチェックは、Codexの得意分野です。人間の目だけで一字一句を追うより、確実で速い確認ができます。

頼める3つの書類・調査業務

士業ならではの「線引き」——守秘義務とデータ保護

ここが士業でCodexを使ううえで、他業種と決定的に違う最重要ポイントです。税理士法・行政書士法はいずれも守秘義務(業務上知り得た顧客の秘密を漏らしてはならない法的義務)を定めています。顧客の財務情報や個人情報を無防備にクラウドのAIへ送ることは、単なるマナー違反ではなく法令違反につながりかねません。

守るべき線を、具体的に挙げます。

  • 個人や法人を特定できる情報は匿名化してから渡す:氏名・社名・住所などは「顧客A」のように置き換えてから入力する。AIが処理するのは書類の「形」だけで足りるケースがほとんどです。
  • 専門的な判断はAIに委ねない:税務上の判断や法的な可否の判定、顧客への助言といった核心は、必ず有資格者が行う。AIに使わせるのは、たたき台や整形までにとどめる。
  • 学習に使わせない設定と運用ルールをそろえる:入力した情報がAIの学習に使われないよう設定を確認し、事務所としての利用ルールを決める。とくに個人アカウントでの運用は退職後に統制が効かず、漏洩リスクが残ります。

Codexには、この線引きを技術的に支える仕組みもあります。動作範囲を制限するサンドボックスという機能があり、「読み取りのみ(read-only)」「指定フォルダだけ書き込み可」「全権限」の3段階で動かせます(Codexの開発リポジトリで確認できます)。顧客の機密資料を扱うときは読み取りのみで動かし、外部への通信を許可しない運用にすれば、手元のパソコンの中だけで安全に作業させられます。

つまり「匿名化して渡す」「学習させない設定にする」「動作範囲を技術的に絞る」の三重で守るのが、士業でAIを使う前提条件になります。

「全力でズレる」を防ぐ頼み方——手順を分割する

Codexを使い始めて多くの人がつまずくのが、指示が曖昧なまま任せてしまうことです。要件が固まらないまま大きな作業を丸投げすると、AIは見当違いの成果物を全力で作ってきて、かえってやり直しの手間が増えます。

コツは、大きな業務を1つずつの工程に分けて頼むことです。たとえば面談の議事録整理を自動化するなら、「録音の保存」「会社ごとの仕分け」「面談前のブリーフィング作成」「会計数字との突合」といった具合に、手順を細かく区切って一つずつ依頼します。実際にこの分割のコツを実務に取り入れている税理士もいます。一度にすべてを頼まず、工程を分けるほど結果は安定します。

もう一つ有効なのが、うまくいった頼み方を保存して使い回すことです。月次の集計や定型書類のように毎月繰り返す作業は、一度固めた指示を保存しておけば、翌月は同じ手順を呼び出すだけで済みます。Codexにはこうした反復作業を手順として登録する仕組みも用意されており、事務所の定型業務ほど効果が出ます。

工程を分けて頼むコツ

導入の第一歩として、Codexを手元のパソコンで動かす手順は、こちらにまとめています。

Codex CLI インストール手順|Mac/Linux/Windows
CodexCodex CLI インストール手順|Mac/Linux/Windows

事実と噂を切り分けておく

導入の判断を誤らないために、確定した事実と、まだ体感にとどまる話を分けておきます。

本記事で出典付きに紹介した「Codexが汎用のAIツールでChatGPTの各プランに同梱されること」「読み取りのみなどサンドボックスで動作範囲を制限できること」は、公式情報や開発元のソースコードで確認できる確定的な事実です。X上の税理士・行政書士による活用報告も、個人の実体験として参考になります。

一方で注意したいのは、「税理士はいらなくなる」「8時間の作業が30分になった」といった刺激的な表現です。これらはあくまで個人の主張で、多くは取引のシンプルな小規模事業者を前提とした話に限られます。裏取りのできない噂のレベルと捉えるべきです。また、士業向けの有料ガイドが販売されているという宣伝も見かけますが、宣伝投稿であり中身の裏付けは取れていません。OpenAIの公式にも士業向けの専用記述はありません。だからこそ、まずは自分の事務所の小さな業務で検証し、効果を自分の目で確かめてから広げるのが安全です。

税理士・行政書士が今日から始める3ステップ

最後に、無理なく始めるための現実的な進め方をまとめます。

  • ステップ1:機密を含まない定型業務を1つ選ぶ。いきなり顧客案件全般ではなく、「書類ひな形の作成」や「条ずれチェック」など、顧客情報を扱わない作業を1つだけ選びます。
  • ステップ2:手元で1回、成功させる。まずは自分のパソコンの中で1回、Codexに頼んでうまくいくところまでを確認します。形式やルールを先に伝え、出力を有資格者が直す。これで「任せられる形」が固まります。
  • ステップ3:成功した頼み方を繰り返し使う。一度うまくいった指示の形を保存し、毎月の同じ作業に再利用します。慣れてきたら、匿名化したデータを使う集計など、扱う範囲を少しずつ広げます。

この「小さく始めて、線を守りながら広げる」進め方が、守秘義務を負う士業の現場で、AIを安心して根づかせるコツです。

まとめ

Codexには士業専用の機能はありませんが、書類のたたき台作成・データの構造化と集計・条文の参照とずれチェックという汎用機能を組み合わせれば、税理士・行政書士の定型業務は確実に軽くなります。財産目録や許認可書類の下書き、月次集計、条ずれチェックが、その有力な入口です。

一方で、顧客情報は匿名化してから扱い、税務・法務の判断と顧客折衝は必ず有資格者が握る——この線引きは守秘義務を負う士業ならではの絶対条件です。学習させない設定をそろえ、動作範囲を制限できるサンドボックスを使ったうえで運用してください。

下ごしらえと調べものはAIに寄せ、専門家は判断と顧客対応に集中する。その役割分担を守れば、少人数の事務所でも、本来向き合うべき仕事に使える時間を着実に取り戻せます。まずは機密を含まない1つの業務から、小さく試してみてください。

「Codex を自分で使いこなしたい」「自社の業務に組み込みたい」
── そんな方は、まず初回無料相談でお話ししてみませんか。

← 記事一覧に戻る

御社の業務に合わせたCodex導入支援

「AIツールを導入したが、現場で使われない」を終わらせる。
業務課題のヒアリングから設計、ハンズオン実践、運用定着まで一貫して支援します。

無料AI活用診断を受ける料金とサービス一覧を見る →
© 2025 Fyve Inc. All rights reserved.