Claude Codeの/loopとは|使い方とトークン暴走対策
「Claude Codeの/loopって結局なにができるの?」「便利そうだけど、放っておいたら課金が大変なことにならない?」——使い始めたばかりの方ほど、この2つの疑問にぶつかります。
結論から言うと、/loop はセッションを開いている間だけ、同じ指示を一定間隔で自動で繰り返してくれる「見張り役」コマンドです。便利な一方で、止め方を先に決めておかないとトークン(AIへの課金単位)を無駄に焼き続ける落とし穴があります。
株式会社Fyveは中小企業のAI業務効率化を支援しています。私たちはこの記事で、開発寄りに見える /loop を非エンジニアの方にも判断できる言葉に翻訳し、「何ができて、どこに気をつけるか」を整理します。
Claude Codeの/loopとは|セッション内で繰り返す「見張り役」
/loop は、Claude Code(ターミナルで動くAIコーディング支援ツール)に標準で組み込まれたコマンドです。Anthropicの公式ドキュメントでは「セッションが開いている間にプロンプト(AIへの指示文)を繰り返し実行する最速の方法」と説明されています。
イメージしやすい例で言えば、「5分おきに、公開作業がうまくいったか見ておいて」と頼んでおく感覚です。これまで人間が画面に張り付いてチェックしていた作業を、AIが一定間隔で代わりに見回ってくれます。
初めて使う前に押さえておきたい基本仕様は次のとおりです。
- 登場時期:v2.1.71(2026年3月7日)で追加。利用にはv2.1.72以降が必要です
- 動く場所:自分のパソコン上。Claude Codeのセッション(会話)を開いている間だけ動きます
- 最小間隔:1分(内部の定期実行の仕組みが1分単位のため、それより短い指定は繰り上げ)
- 上限:1セッションあたり最大50タスク
- 自動失効:止めなければ最長7日で自動的に終了します
ここで一番大事なのは「セッションを開いている間だけ動く」という点です。新しい会話を始めたり、ターミナルを閉じたりすると、原則として消えます(未失効のタスクは--resumeや--continueで復元できます)。クラウドで勝手に走り続けるものではない、と覚えてください。
/loopの3つの使い方|間隔の指定で挙動が変わる
/loop は、与える情報の量によって挙動が3パターンに分かれます。ここが理解の核心です。
1. 間隔+指示(固定間隔で繰り返す)
最も分かりやすい使い方です。「何分おきに・何を見るか」を両方伝えます。間隔の単位は s(秒)・m(分)・h(時)・d(日)が使えます。
/loop 5m check the deploy(5分おきに、デプロイ=公開作業の状態を確認)/loop 15m check open PRs for new comments(15分おきに、レビュー依頼への新着コメントを確認)/loop 1d summarize all commits from the last 24 hours(1日おきに、直近24時間の変更を要約)
「デプロイ」「PR」など聞き慣れない言葉は、それぞれ「Webサイトやアプリを公開する作業」「開発メンバーへの修正レビュー依頼」と読み替えてください。要は定期的に状態を見て報告してほしい作業に向いています。
2. 指示のみ(Claudeが間隔を自分で決める=self-pace)
間隔を省いて指示だけ与えると、Claudeが毎回の待ち時間を1分〜1時間の範囲で自分で判断します。これを公式では「self-pace(セルフペース)」と呼びます。
作業が活発に進んでいるときは短く、何も動きがなければ長く、と状況に応じて間隔を伸び縮みさせるのが特徴です。各回の終わりに「次は何分後、理由はこれ」と表示してくれます。タスクが完了したと判断すれば、AIが自分でループを終わらせることもできます。
固定間隔の「とにかく一定リズムで叩き続ける」方式は、何も起きていない時間も無駄に動いてしまいます。self-paceは、その空振りを減らす設計だと理解すると分かりやすいです。
なお、間隔を省いたときに固定10分間隔になるのは、Amazon BedrockやGoogle Vertex、Microsoft Foundryといったクラウド事業者経由で使う場合に限られます。通常の使い方ではself-paceが基本です(一部の解説記事で「省略=10分」と書かれているのは、このクラウド経由のケースを指しています)。
3. 何も付けない/別コマンドを繰り返す
/loop だけを打つと、組み込みのメンテナンス点検、または .claude/loop.md に書いたプロンプトを実行します。また /loop 20m /review-pr 1234 のように、保存済みのコマンドやスキルを毎回再実行させることもできます。
/loopと/scheduleの違い|記事で一番伝えたいこと
/loop を調べると必ず混同するのが /schedule(Routines) です。名前は似ていますが、性質はまったく違います。中小企業の実務でどちらを選ぶか判断するために、ここは表で押さえてください。
比較項目 | /loop | /schedule(Routines) |
|---|---|---|
動く場所 | 自分のパソコン | Anthropicのクラウド |
パソコンの電源 | 入れておく必要あり | 切っていてもOK |
セッション | 開いておく必要あり | 不要(保存設定が自走) |
最小間隔 | 1分 | 1時間 |
手元のファイル | 見える(作業中の変更も) | 見えない(別途取り込む) |
自動失効 | 7日 | なし |
向いている用途 | 作業しながら何かを監視 | パソコンを切っても回したい無人タスク |
ひとことで言えば、/loop は「自分が作業している横で、AIに見張りを頼む」もの。/schedule は「パソコンを閉じても、クラウドで定刻に勝手に動く」ものです。公式も「マシンなしでも確実に動かしたい作業はクラウド側、セッション中のサッとした監視には /loop」と使い分けを推奨しています。
中小企業の実務、たとえば「毎朝9時に売上を集計してメールで送る」のような無人の定期業務は、パソコンを開きっぱなしにする必要がない /schedule のほうが現実的です。/loop は、自分がパソコンで作業している最中に「ついでに見張っておいて」と頼む場面でこそ生きます。
定期実行の手段はこのほかにもあり、全体像を比較したい方はこちらの記事で整理しています。
/loopが活きる業務自動化の実例|張り付き作業を肩代わり
/loop が最も力を発揮するのは、「結果が出るまで何度も同じ画面を見に行く」たぐいの張り付き作業です。第三者の技術解説や公式リードの紹介でも、繰り返し挙げられる代表例があります。
- 公開作業の見守り:
/loop 3m check the Vercel deployment status for the latest commit(3分おきに公開が完了したか確認) - レビュー待ちの監視:
/loop 15m check open PRs for new comments(修正依頼に返信が付いたか確認) - エラーログの見張り:
/loop 2m tail the last 20 lines of logs/server.log and summarize any new errors(ログの新しいエラーだけ要約) - 処理待ちの残数確認:
/loop 5m check how many items are left in the job queue(順番待ちの作業が何件残っているか確認) - 日次ダイジェスト:
/loop 1d summarize all commits from the last 24 hours(1日1回、変更点をまとめて報告)
共通しているのは「一度仕掛けて、その場を離れる」という発想です。これは私たちが中小企業の現場で進める自動化の考え方——毎朝の在庫確認、受信箱のチェック、定期レポートの集計といった反復作業を人の手から外す——と地続きです。
ただし正直にお伝えすると、/loop 自体は公開作業やレビュー監視といった開発寄りの場面を想定した機能です。事務系の無人定期業務にそのまま使うより、まずは「AIに反復作業を任せる」という発想を持つことのほうが、非エンジニアの経営者にとって価値があります。
/loopの最大の落とし穴|トークン暴走と止め方
ここが、この記事で最も注意してほしい点です。/loop は止める条件を書かないと、無駄なトークンを延々と消費し続けます。トークンとはAIの利用量を測る単位で、そのまま課金額に直結します。
実際に起きたコスト事故
GitHubの公開された不具合報告(Issue #64744)では、ループを中断したつもりでも内部の起動処理が裏に残り、ターミナルを閉じてパソコンの蓋を閉じてもバックグラウンドで動き続け、意図しないAPI消費が約300ドルに達したという事例が報告されています。
コストの目安も試算されています。ある解説(MindStudio)によれば、1回あたり0.05ドルかかるタスクを5分間隔で回すと、1日あたり約14.40ドル。月に換算すれば数百ドル規模です。「ちょっと見張らせるだけ」のつもりが、放置すると現実的な金額になります。
暴走させないための実務チェック
複数の解説で共通する教訓は、「成功条件」より先に「いつ止めるか・いつ人間に戻すか」を決めておくことです。使い始める前に、次の点を必ず確認してください。
- 止める条件を指示文に入れる:「3回確認して変化がなければ止めて」「完了したら終了して」など、終わり方を最初から書く
- 人間に戻す合図を決める:「N回失敗したら、それ以上続けず私に知らせて」と、エスカレーション(人への引き継ぎ)の条件を明示する
- 間隔を必要以上に短くしない:1分間隔は回数が増えるぶんコストもかさみます。多くの監視は5分〜15分で十分です
- 離席前に止まることを確認する:パソコンを閉じる前に、ループが本当に終了しているかを目で確かめる
- 予算上限を別途かけておく:機能側の停止条件に加え、課金側で上限を設定しておくと事故が致命傷になりません
課金側の上限設定については、こちらの記事で具体的な手順を解説しています。
/loopを使う前に知っておきたい限界
/loop は手軽ですが、「本格的な監視の仕組み」の代わりにはなりません。複数の技術解説が一致して指摘する限界は次のとおりです。
- セッションを閉じると消える:会話を終えると基本的に全消滅します(未失効分は復元可)
- 最長7日で自動失効:長期の常時監視には向きません
- タイミングは厳密でない:1分間隔の指定が実測で70〜100秒前後に揺れる報告があり、秒単位の正確さは保証されません
- 待っている間の取りこぼし:止まっていた時間に起きた出来事をさかのぼって拾う仕組みはありません
夜間に無人で回したい、再起動をまたいで動かしたい、チームで重要な業務を任せたい——こうした場合は、/loop ではなく /schedule(クラウドの定期実行)や、外部の自動化サービスを検討するのが正解です。
まとめ|/loopは「離席中の見張り」、暴走対策は必須
最後に、この記事の要点を整理します。
- /loop は、セッションを開いている間だけ同じ指示を一定間隔で繰り返す「見張り役」コマンド(v2.1.72以降で利用可)
- 使い方は3パターン。間隔を省くと、Claudeが1分〜1時間で間隔を自分で決める「self-pace」になる
- /schedule との最大の違いは「動く場所」。/loop は自分のパソコン、/schedule はクラウド。無人の定期業務は /schedule が現実的
- 代表的な使いどころは、公開作業・レビュー・ログ・処理待ちの見張りといった「張り付き作業」の肩代わり
- 最大の落とし穴はトークン暴走。約300ドルの事故報告もあり、止める条件と予算上限を先に決めることが必須
- セッション依存・7日失効・タイミングのゆらぎという限界があり、本格的な監視には別手段を選ぶ
「便利そうだから試してみたい、でもコストが怖い」という方は、まず短い間隔を避け、止める条件を一文添えるところから始めてみてください。私たちは、こうしたAIツールを業務にどう落とし込むかを、中小企業の現場目線で翻訳してお伝えしています。
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