Date
2026/03/24
Category
AI業務効率化
Title
介護記録の月次報告書、AIで自動作成したら月100時間削減できた話
きっかけは知人からの紹介でした。
「介護施設を運営している方が、書類業務で本当に困っている。一度話を聞いてもらえないか」
そうして紹介いただいたのが、デイサービスを運営する施設長のAさん(60代前半)です。ExcelやWordは多少使える程度で、ITに詳しいわけではありません。
最初のオンライン打ち合わせで、Aさんはこう切り出しました。
「スタッフが現場で書いたメモ。これが一番リアルな情報なんです。なのに、そこからスプレッドシートに転記して、日報にまとめて、月次報告書を書いて、ご家族への手紙も別で作って……。同じ情報を何度もこねくり回している。この2度手間、3度手間をどうにかしたいんです」
話を聞けば聞くほど、その「こねくり回し」の実態は想像以上でした。
Aさんの施設で実際に行われていた業務フローを聞いて、その非効率さに驚きました。
毎日の流れ:
月末の流れ:
つまり、現場のメモという「生の情報」を、4段階にもわたって書き写し・書き直ししているわけです。元になる情報は同じなのに、届け先が違うだけで毎回イチから文章を作っていました。利用者30人分ともなると、月末は深夜まで残業することもあったそうです。
では、この「月100時間」という数字はどこから来たのか。これはAさんと一緒に、導入前の業務時間を一つひとつ洗い出して計算したものです。
導入前の時間内訳(概算):
合計すると、記録・書類業務だけで月100時間超。スタッフ数名で分担しているとはいえ、これが毎月重くのしかかっていたのです。
Aさんの施設では、以前「ほのぼのNEXT」や「スグログタブレット」といった既存の介護ソフトを使った経験がありました。しかし、いずれも長くは続かなかったそうです。
理由を聞くと、Aさんはため息まじりにこう言いました。
「ソフトに合わせて、事業所のやり方を変えないといけない。それが一番のストレスでした。うちにはうちのやり方があるのに、『このソフトではこの手順でやってください』と言われる。スタッフも混乱するし、結局みんな使わなくなる」
たとえば、施設独自の帳票フォーマットに対応できない。報告書の項目や表現を自由に変えられない。操作が複雑でスタッフが定着しない。結局「ソフトのためにソフトを使う」状態になり、現場に定着しなかったのです。
Aさんが求めていたのは、「施設のやり方にソフトが合わせてくれる」という逆の発想でした。
私たちは、Aさんの施設の業務フローに合わせたオーダーメイドのシステムを開発しました。大きく3つの仕組みで構成されています。
現場スタッフは、iPadの専用フォームからタップで入力するだけ。従来の手書きメモもOCR(文字認識)で読み取り、データベースに自動保存されます。難しい操作は一切ありません。
1ヶ月分のデータが蓄積されたら、ボタン1つでAIが利用者状況報告書を自動作成します。入浴・食事・排泄・移動・認知機能など8項目について、日々の記録を分析し、介護専門職が書いたような自然な文章で出力します。スタッフは内容を確認して、必要に応じて微修正するだけです。
完成した報告書は、担当ケアマネジャーごとに五十音順で一括PDF出力できます。この機能はAさんから「これができたら本当にありがたい」とリクエストをいただき、1〜2日で実装しました。印刷してそのまま提出できる状態で出力されるので、整理やファイリングの手間もなくなりました。

「開発に何ヶ月もかかるんでしょう?」と心配されていたAさんですが、最初の機能(OCR+iPad入力→データベース保存)はわずか2週間で稼働しました。
田嶋としては、まず一番コアな部分――「現場の記録をデジタル化してデータベースに入れる」という土台を最短で動かすことを重視しました。ここさえ動けば、あとはニーズに合わせて柔軟に機能を追加していけるからです。実際、月次報告書の自動生成やPDF一括出力といった機能は、現場の反応を見ながら段階的に追加していきました。
正直なところ、最初のスタッフの反応は懐疑的でした。
「本当に使えるの?」「また新しいシステム入れて、結局使わなくなるんじゃないの?」
既存ソフトで何度か失敗した経験があるだけに、無理もありません。
ところが、実際に使い始めると反応は一変しました。iPadで入力するだけで記録が完了する。スプレッドシートへの転記がいらない。それだけで「すごく助かる」という声が上がり始めました。
そして、ここが一番嬉しかった変化なのですが、途中からスタッフが積極的に改善要望を出してくれるようになったのです。
「この項目、もう少し選択肢を増やしてほしい」「ここの画面、こう並んでいたほうが入力しやすい」
「使わされている」から「自分たちのツール」へ。その意識の変化が、システムの定着にとって何より大きかったと思います。現場の声を拾い上げながら改善を重ね、システムはどんどん施設にフィットしていきました。
大手パッケージソフトではこうはいきません。「ソフトに合わせる」のではなく、「ソフトが現場に合わせる」。これがカスタム開発の最大の強みです。
導入後、Aさんと一緒に改めて業務時間を計測しました。
削減された主な業務:
導入前に月100時間超かかっていた業務が、導入後はその大半が自動化または不要になり、月100時間の削減を実現しました。時給1,500円で換算すると、年間約180万円分の人件費削減に相当します。
削減された時間は、利用者様とのコミュニケーションやケアの質向上に充てられるようになりました。「書類のために残業する」という状況がなくなったことは、スタッフの離職防止にもつながっています。
現在は月額5万円の保守契約で、継続的にサポートを行っています。新しい帳票の追加や、制度改正に合わせた項目変更にも柔軟に対応できる体制です。
今回の事例で最も大切だったのは、「現場のやり方にシステムを合わせる」という姿勢です。
大手の既存ソフトは多機能ですが、施設ごとの細かな運用に合わせることは苦手です。逆に、現場の業務フローをヒアリングし、本当に必要な機能だけをオーダーメイドで作る。そのほうが定着率も高く、実際の効果も大きいのです。
今回の施設では、最初の機能が2週間で動き、スタッフ自身が改善を提案するまでに定着しました。「ソフトに振り回される」のではなく、「現場が主役になる」システム作り。それが私たちの目指すところです。
利用者状況報告書の自動化、介護記録のAI自動作成に興味がある方は、ぜひ一度ご相談ください。「うちの施設でもできる?」というご質問だけでも大歓迎です。
最初の打ち合わせから2週間で、最初の変化を実感していただけます。
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