Claude Opus 4.8は不安定?4.7との使い分け
「Claude Codeが新しい『Opus 4.8』に切り替わってから、なんだか挙動が読めない」「最新版のはずなのに、前より指示を取り違える気がする」——2026年6月、Claude Codeを毎日の仕事で使う人から、こうした戸惑いの声が聞こえてきます。
結論から言うと、私の体感でもOpus 4.8には不安定さを感じる場面があります。ただし、だからといって全部を旧バージョンに戻すのは早計です。大事なのは、どんな症状が・どんなときに起きるかを見極め、対処してもダメなら用途で4.7と4.8を使い分けること。「不安定だから乗り換える/戻す」ではなく、判断の手順を持つことが現実解です。
株式会社Fyveは、中小企業のAI活用を伴走支援する会社です。私は事業のほぼ全業務をClaude Codeに任せています。この記事では、メーカーの宣伝でも全否定でもなく、実際に毎日使って感じている安定性の問題と、4.7との使い分け判断を正直にお伝えします。なお、Opus 4.8でそもそも何が変わったのかは別記事にゆずり、ここでは「不安定かどうか」と「どう使い分けるか」に絞ります。
そもそもOpus 4.8は「不安定」なのか——前提を整理する
まず事実から確認します。2026年6月、AnthropicはClaude CodeのデフォルトモデルをOpus 4.8に切り替えました。公式の更新履歴にも明記された変更で、いま何も指定せずにClaude Codeを使うと、自動的にこのOpus 4.8が応答します。
ここで多くの人が気にしているのが、「最新版になったのに、かえって不安定では?」という疑問です。これは私の思い込みではありません。X(旧Twitter)上でも「4.6が最も安定していて、4.7や4.8はむしろ後退した」という見方が一定の支持を得ており、安定性を重視してあえて旧バージョンに固定して使い続けるユーザーもいます。
ただし、ここは冷静に受け止める必要があります。こうした「不安定」「後退」という評価は、あくまで私を含む利用者の体感やユーザー報告であって、Anthropicが公式に不具合と認めたものではありません。だからこの記事でも、「公式が認めた欠陥」ではなく「現場でこう感じている」という温度感でお伝えします。そのうえで、感覚論で終わらせず、症状と対処に落とし込んでいきます。
私の実体験——「不安定」とは具体的に何が起きるのか
「不安定」という言葉はあいまいです。自分の業務で起きているのが本当にこの問題なのかを判断できるよう、まず症状を具体的に言語化します。私の環境では、新しいモデル「Fable 5」が登場したあたりから、おもに次の2つが目立つようになりました。
症状1:ツールの呼び出しに失敗する
Claude Codeは、ファイルを読む・書く、コマンドを動かすといった「道具(ツール)」を使って作業を進めます。このツールの呼び出しが途中で空振りすることが、以前より増えた感覚があります。
たとえば、ある資料を読み込んで要約してほしいと頼んだのに、読み込みの段階でつまずいて先に進まない。もう一度同じ依頼をすると、今度はすんなり通る。動かないわけではないけれど、一発で決まらず取りこぼす——そんな「空振り」が混じる印象です。
症状2:コンテキストと指示を取り違える
もう一つが、より厄介な症状です。会話が長くなってくると、参考資料として渡した情報と、私が出した指示そのものを取り違えることがあります。
具体的には、「これは背景情報として読んでおいて」と渡した資料の中の一文を、私からの指示と勘違いして勝手に作業を始めてしまう。あるいは、登場する人物や役割を混同して、見当違いの返答をする。やり取りが積み重なるほど、この取り違えが起きやすくなる感覚があります。
この2つは、X上で報告されている不満ともよく重なります。「言われていない余計な作業を勝手に追加する」「会話が長くなると理解の解像度が落ちて、登場人物や役割を混同する」「ありえない勘違いが時々起きる」——どれも、私が現場で感じているものと地続きです。

それは本当にモデルのせい?「不安定」の切り分け方
ここが、この記事で一番お伝えしたい部分です。「不安定だ」と感じたとき、すぐにモデルの問題だと決めつけて旧バージョンに戻す前に、原因を切り分けることをおすすめします。同じ症状でも、引き金が「モデル固有のクセ」なのか「使い方」なのかで、打つ手がまったく変わるからです。
私の観察では、先ほどの症状は次の3つの条件がそろうと起きやすくなります。
- 会話が長く続いている——同じセッションでやり取りを重ね、過去の情報がたまっている状態
- 渡した情報量が多い——大量の資料やコードを読み込ませ、何が指示で何が参考かの境界があいまいになっている状態
- 依頼が曖昧——「いい感じにやっておいて」のように、やってほしい範囲をはっきり区切っていない状態
逆に言えば、短い会話・少ない情報・明確な指示のときは、Opus 4.8でも取り違えはぐっと減ります。つまり症状の一部は、モデルの能力そのものというより、「能力が上がったぶん、曖昧な状況で自分から先回りして動こうとする」積極性の裏返しとして現れている面があります。
この切り分けが大事なのは、条件が原因なら、モデルを戻さなくても対処できるからです。逆に、短く明確な依頼でも頻繁に失敗するなら、それはモデル側のクセが強く出ているサインで、用途によっては4.7を選ぶ判断に傾きます。まずは「自分のいまの使い方が、不安定を呼び込んでいないか」を疑ってみてください。

4.7に戻す前に試せる3つの対処
切り分けの結果、「使い方の条件が引き金になっていそうだ」と分かったら、モデルをダウングレードせずに安定させる余地があります。私が実際にやっている対処を3つ紹介します。どれも難しい操作ではなく、AIへの頼み方を少し変えるだけです。
対処1:会話をリセット・巻き戻す
取り違えの多くは「会話が長くなりすぎ」が原因です。話が込み入ってきて挙動が怪しくなったら、思い切って会話をリセットするのが一番効きます。Claude Codeなら「/clear」で会話を区切り、新しい状態から頼み直せます。
「でも、ここまでのやり取りを消したくない」というときのために、最近のClaude Codeには会話を消す前の状態に戻せる「/rewind」という機能も加わりました。おかしくなる手前まで巻き戻して再開すれば、たまった混乱だけをリセットできます。長い1本の会話を引きずらず、こまめに区切る——これだけで安定感がかなり変わります。
対処2:依頼の「範囲」を区切る
曖昧な依頼ほど、AIは良かれと思って余計な作業まで広げてしまいます。これを防ぐには、やってほしい範囲をはっきり区切って伝えることです。
たとえば「この資料、いい感じに整えておいて」ではなく、「この3つの見出しの誤字だけ直して、それ以外は触らないで」と頼む。範囲を一文で言い切るだけで、最新モデルの暴走はかなり抑えられます。AIに任せる前に、自分の中で「どこまでお願いするか」を決めておくのがコツです。
対処3:参考資料と指示を分けて渡す
症状2の「資料と指示の取り違え」には、渡すときに役割をはっきり分けるのが有効です。「ここからは参考資料です」「私の指示はこれです」と明示的にラベルを貼って渡すと、混同が起きにくくなります。
また、込み入った判断を一気に任せると考え込んで挙動が不安定になりやすいので、軽い作業なら考える深さを下げて素早く返してもらう、といった調整も助けになります。一度に詰め込みすぎない——人に仕事を頼むときと同じ気配りが、AIにも効きます。

それでも安定優先なら——用途で4.7と4.8を使い分ける
対処をしてもどうにも安定しない、あるいは「ミスが許されないからとにかく堅く動いてほしい」という業務もあります。そういうときは、無理に4.8にこだわらず4.7に戻すのも、十分にありな選択です。実際、私はいまクリエイティブな業務以外では4.7に戻す場面が出てきています。私の中では、4.7が「安定版」という位置づけです。
判断は難しく考える必要はありません。「どんな仕事を頼むか」で選ぶだけです。
探索・クリエイティブな仕事はOpus 4.8
方向性がふわっとした段階から一緒に考えたいとき、新しいアイデアを広げたいとき、まとまった量を一気に形にしたいときは、Opus 4.8の伸びやかさが活きます。多少先回りして動いてくれるくらいが、むしろ頼もしい場面です。長時間の作業を任せて、放っておいても進めてほしい用途とも相性が良いと言えます。
精密な定型業務は安定重視で4.7
決まったフォーマットの書類作成、手順が固まっている繰り返し作業、正確さが絶対の作業では、ブレずに同じ品質で動く4.7に戻すほうが安心できます。これは「最新ではないから劣っている」のではなく、「同じ品質で安定して動く」という価値を選んでいるだけです。X上で「精密な指示が要るタスクは旧バージョンが安心」という声が多いのも、同じ理由でしょう。
「最新=常に最良」とは限らない、という前提を持つ
ここまでをふまえて、いちばん持っておいてほしい前提があります。それは、最新モデルが、自分の業務にとって常に最良とは限らないということです。
新しいモデルは確かに賢くなっています。けれど「賢さ」と「自分の仕事での使いやすさ」は、必ずしも一致しません。能力が上がるほど自分から動こうとするので、明確な指示の場面では頼もしく、曖昧な指示の場面では裏目に出る。これは欠陥というより、性格の違いに近いものです。
だからこそ、発表のインパクトや評判だけで全部を切り替えたり、逆に不安定だからと全部を戻したりするのではなく、自分の仕事で試してから決める。この姿勢こそが、AIを実務で使いこなす人の現実的な構えだと、私は考えています。
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そもそも4.7で何が変わって、いまの4.8につながっているのかを知りたい方は、こちらをどうぞ。
Opus 4.8の「指示への素直さ」がなぜ業務運用で効くのかを掘り下げた記事です。
性能と費用の両面から、Opus 4.8を実運用するコスト感を整理した記事はこちらです。
まとめ:不安定の正体を見極め、用途で使い分ける
2026年6月時点のOpus 4.8の安定性について、押さえておきたいポイントを整理します。
- Opus 4.8が新デフォルトに。一方で「4.6/4.7のほうが安定」という利用者の声もあり、私の体感でも不安定さを感じる場面がある(公式が認めた不具合ではない)
- 私の環境での症状は主に2つ。ツール呼び出しの空振りと、参考資料と指示の取り違え
- これらは「会話が長い・情報量が多い・依頼が曖昧」の3条件で起きやすい。まずモデルのせいか使い方のせいかを切り分ける
- 戻す前の対処は3つ。/clear や /rewind で会話を区切る/範囲を区切って頼む/資料と指示を分けて渡す
- それでも安定優先なら、探索・クリエイティブは4.8、精密な定型業務は4.7と用途で使い分ける
- 結局のところ「最新=常に最良」とは限らない。自分の仕事で試してから決めるのが現実的
最新モデルが出ると、つい「すぐ全部切り替えなきゃ」と感じます。逆に不安定だと聞くと「全部戻そう」と振れます。けれど本当に大事なのは、最新かどうかでも安定かどうかでもなく、目の前の仕事でちゃんと役立つかどうかです。Opus 4.8の良さは活かしつつ、安定がほしい場面では旧バージョンも選べる——その柔軟さこそが、AIを実務で使う私たちの強みになります。
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