Date
2026/05/24
Category
Hermes Agent
Title
Hermes Agent × X専用43スキル|Xquik-devの事例
X(旧Twitter)の投稿、リサーチ、バイラル化補助までを1つのAIエージェントに任せられたら——SNSマーケティング担当者なら一度は描く理想です。株式会社Fyveでも、Xを軸にしたコンテンツ運用の自動化はクライアントから繰り返し相談を受けるテーマです。
今回ご紹介する Xquik-dev の事例は、その理想を 43個のスキル を束ねた Hermes Agent 用ツールキットで実装した、公開されている中で網羅性の高い実装例の1つです。
本事例の主役は、Xquik-dev が2026年4月5日に公開した X 専用のスクレイパー兼 AI コンポーザです。Hermes Agent のスキルシステムに 43個のスキル を実装し、X 上の主要なアクション——読み取り・書き込み・バルク抽出・AI による投稿草案生成——を1つの自律エージェントから扱える構成だと公開情報では示されています。
注目すべきは、単に「APIを叩くスクリプト」ではなく、type付き(typed)の X アクセス層を起点に、43個のスキルを役割別に整理して再利用可能な形で提供している点です。実装の細部はリポジトリの公開情報の範囲を超えるため推測になりますが、Hermes Agent のスキルシステムが前提とする「1スキル1責務」の設計思想に沿って分解された構成と読めます。

公開情報で示されているスキル分類は、おおむね次の4カテゴリです。
43という粒度は、単発スクリプト集にしては多く、SaaSツールとしては細かい絶妙な配置です。Hermes Agent のスキルは「1スキル1責務」が原則なので、43スキルは 「Xに対する43種類の独立操作を、エージェントが状況に応じて選択・組み合わせて実行できる状態」を意味すると考えられます。
このプロジェクトを公開情報から読み解くと、設計の核心は2つの層に分けられそうです。
X の非公式 API や Web スクレイピングは、レスポンス構造が頻繁に変わることで知られています。私たち Fyve でも、X 関連の業務自動化案件では「先週動いていたスクリプトが今週壊れている」という現象に何度も遭遇してきました。
本事例の "typed X access" という言及からは、生のレスポンスを直接スキルから扱うのではなく、型情報を持つ抽象層を経由して上位スキルがデータに触る設計と読めます。実装言語やデータ構造の詳細は公開情報の範囲を超えるため確定はできませんが、X 側の仕様変動の影響範囲を一箇所に閉じ込めるための層と捉えるのが自然です。
Hermes Agent は スキルの自己改善ループでスキル群を自動更新する仕組みを持ちます。その前提の上で、典型的な型付き層を間に挟む設計には「AI が改善できる範囲」と「人間が手当てすべき範囲」を分けやすくする利点があります。

本プロジェクトのもう一つの特徴は、抽出した情報を素材に投稿草案を生成する AI コンポジションスキルです。公開情報から逆算すると、おおむね次のような流れが想定されます。
Hermes Agent は 3層メモリ(短期 / 中期 / 永続)を持っており、長期運用するほど過去の投稿パフォーマンスを蓄積した上で文体やフックの傾向を学習できる構造です。43スキル構成と組み合わせることで、単発のスクレイピングツールでは届かない継続学習型の運用が可能になります。
この事例を見たとき、最も示唆的なのは 「スキルの粒度設計」です。SNS 自動化を1つのモノリシックなスクリプトで書くと、いずれ壊れます。私たちが過去にXやLinkedIn周辺で行ってきた業務自動化でも、最終的に保守できる形に落ち着いたのは「小さな機能の集合体」として組み直した後でした。
本事例の43スキル構成は、まさにこの「小さな機能の集合体」を Hermes Agent のフレームワーク上で実現したお手本です。1スキル1責務で書かれていれば、壊れたスキルだけを差し替え・改善でき、Hermes Curator による自動剪定(不要スキルの整理)の恩恵も得やすくなります。
もう一点重要なのは、「バイラル化補助」を独立したスキルとして切り出していることです。「バズを狙う」という曖昧な目的を、観測・分析・草案・投稿という具体的な技術タスクに分解した点に、実務的な強さがあります。
本事例は技術的に魅力的ですが、国内で同種の自動化を実装する際にはいくつかの実務的な注意点があります。私たち Fyve がクライアント案件で常に確認している観点を共有します。
X は Developer Agreement と Automation Rules でスクレイピング・自動化の範囲を定めています。認可されていないアクセスの禁止、過度な自動投稿の禁止、攻撃的・スパム的な自動化の禁止などが規定されています。技術検証や個人運用の範囲は別として、業務利用や顧客向けサービスとして提供する場合は、X の公式 API 経由に切り替えるのが原則です。スクレイピング型は技術的に動いてしまうため、ついそのまま本番運用しがちですが、規約面でのリスクは取れません。
AI による投稿草案生成は強力ですが、「事実関係の確認なしに自動投稿させない」のが原則です。Hermes Agent には人間レビューを挟む承認ステップを組み込めるので、Writer 系スキルの実行前に必ず確認を入れる運用が現実的です。バイラル化補助のような「反応を取りに行く」用途では、煽り・誇張・誤情報のリスクが上がります。私たちが SNS 自動化案件を受ける際は、必ずガイドラインを文書化し、エージェントの権限境界を明示的に絞ります。
X から取得した投稿データには、ユーザー名・プロフィール情報・位置情報など個人を特定し得る情報が含まれます。バルク抽出スキルを業務で使う場合は、取得データの保管期間・アクセス権・削除フローを事前に設計しておくべきです。日本国内で運用する場合は、個人情報保護法の対象になり得る点にも注意が必要です。
Hermes Agent には自然言語で cron 指定ができるスケジューラ機能があります。「毎日朝7時にトレンドを観測し、上位5件をSlackに通知」のような運用を、43スキルと組み合わせて自然言語で指示するだけで構築できます。SNS 運用の「定期作業」の大半は、ここで自動化できます。
Hermes Agent コミュニティでは、SNS 自動化系のプロジェクトが活発に開発されています。本事例と並べて参照する価値があるものを紹介します。
いずれも SNS 自動化を「単発のスクリプト」ではなく「長期運用される常駐エージェント」として構築している点で共通しています。
Xquik-dev による X 専用スクレイパー + AI コンポーザの事例は、Hermes Agent 上で SNS 自動化を実装する際の現時点での到達点を示しています。重要なポイントを整理します。
私たちは、SNS を含むコンテンツ運用の自動化を、業務全体の中で「どこまでエージェントに任せ、どこから人間が判断するか」の境界設計とセットで提案しています。Hermes Agent と本事例のような実装例は、その境界を引きやすくする強力な材料です。
出典:awesome-hermes-agent / awesome-hermes-usecases / Hermes Agent User Stories
Company
株式会社Fyve
Address
〒810-0001
福岡県福岡市中央区天神4丁目6-28
天神ファーストビル7階
Tel
080-1460-2728
info@fyve.co.jp