Date
2026/05/24
Category
Hermes Agent
Title
Hermes Agentでニュース三軸トリアージ|@emmagine79の事例
技術ニュースを毎日追いかける時間はないが、重要な情報は逃したくない。この相反する要求にHermes Agentで答えた事例があります。X上の開発者 @emmagine79 が2026年5月10日に公開した「ニュース三軸トリアージ」は、流れてくる技術ニュースを緊急度別に3つに分類し、Discordのチャネル別に1日3回配信する仕組みです。本記事では株式会社Fyveとして、この事例の構造と再現方法、社内ニュースや業界ニュースへの転用までを実務目線で分解します。
まず3点で整理します。
「トリアージ」は本来、医療現場で患者を緊急度別に振り分ける用語です。それを技術ニュースの読み方に持ち込んだのが今回の事例の発想の核です。情報源が爆発的に増えた今、「すべて読む」は現実的ではありません。だからこそ、流入の段階で機械的に3層に振り分ける仕組みが効きます。
三軸の具体的な切り分けは、@emmagine79 の公開情報から次のように整理できます。
軸 | 判定基準 | 配信先 |
|---|---|---|
緊急 | 業務に即影響、即時対応が必要 | Discord「critical」チャネル |
重要 | 知っておくべき変化・方針影響あり | Discord「important」チャネル |
参考 | 背景理解・関心領域の周辺情報 | Discord「fyi」チャネル |
配信頻度は1日3回。朝・昼・夕で区切り、その時間帯までに蓄積したニュースをまとめてダイジェスト送信します。「Slackやメールの通知に1件ずつ反応する」のではなく、決まった時刻にまとめて読む運用に切り替えるのが要点です。

この事例の構成要素をHermes Agentの機能に落とし込むと、パイプラインは3段階に分解できます。
Hermes Agentは70以上のビルトインツールに加え、MCP(Model Context Protocol)経由で外部ツールを接続できます。ニュース収集の入口として現実的な選択肢は次のとおりです。
Hermes Agent本体に内蔵されたcronスケジューラが、これらのソースを設定した間隔で巡回します。1日3回配信なら、その配信時刻の数十分前にまとめて取得するのが効率的です。
分類は、Hermes Agentのスキルシステムで書きます。スキルは「再利用可能なタスク単位」で、自律生成・改善・統合される設計です。1つのスキルとして「ニュース項目を入力 → 緊急/重要/参考のいずれかを返す」分類器を定義し、判定基準をプロンプトと判定例で詰めていきます。
ここで重要なのは、判定基準を人間側で明確に言語化することです。公式FAQでもHermes Agent自己改善の限界として「正解を判定できないドメインでは、エージェントは間違った方向に速くなる」と明言されています。「何が緊急か」を曖昧なまま運用すると、分類精度は時間とともに劣化します。
@emmagine79 の事例で参考になるのは、緊急/重要/参考の境界を業務影響の有無で切っている点です。これは中小企業の現場でも転用しやすい判定軸です。
Hermes Agentは20以上のメッセージングプラットフォームと統合されており、Discord・Slack・Telegram・Teams・Email・SMSを統一ゲートウェイで扱えます。@emmagine79 の事例ではDiscordをハブにしていますが、ここはチームの慣れた媒体に置き換えて差し支えありません。
3つのチャネルに分けることで、通知の扱いを変えられます。critical チャネルだけプッシュ通知ON、important は朝晩に確認、fyi は週末にまとめて読む、といった具合です。チャネル分割そのものが「読む集中力の節約装置」として機能します。

株式会社Fyveは中小企業向けのAI業務効率化を主業務にしています。私たちの立場からこの事例を読み解くと、本質的なポイントは3つです。
第一に、「情報が多すぎる」問題に対するアプローチが正しい。 多くの企業がやりがちな失敗は、ニュースを「全部要約させる」方向です。しかし要約しても量は減らず、判断は人間に残ります。三軸トリアージは「読まないものを最初から決める」発想で、これは情報過多時代の根本解です。
第二に、Hermes Agentの常駐性とcron機能がこの設計を可能にしている。 Claude CodeのようなIDE駐在型のエージェントでは、自分が起動した時だけしか動きません。Hermes Agentはセルフホスト型で24時間稼働するため、「決まった時刻に勝手に集めて配信する」運用が成立します。私たちの実装経験から見ても、この常駐性は単発タスク自動化と業務インフラを分ける決定的な要素です。
第三に、判定基準は人間が握り続ける必要がある。 三軸の定義は業務状況によって変わります。新製品リリース直前の1ヶ月は「自社プロダクトに影響する競合動向」がcriticalになり、平常時はimportant止まりです。判定基準を月次でレビューしてプロンプトとスキルを更新する運用責任者を、誰か社内に置く必要があります。
@emmagine79 の事例は技術ニュースが対象でしたが、同じパイプラインは中小企業の現場でも幅広く転用できます。私たちがクライアントの業務棚卸しで頻繁に当たる転用先を3つ挙げます。
建設業・介護業・クリニックなど規制業種では、所管省庁の通達・業界団体のリリース・補助金公募が散発的に出ます。これらを厚生労働省・国土交通省・経済産業省のRSS+業界団体ページの差分監視で集め、「自社業務に即影響」「制度変更で要対応」「参考レベル」の三軸に振るのは、ほぼそのまま@emmagine79 の構成を当てはめられます。
カスタマーサポートの問い合わせや社内Slackの議論を「クレーム・即対応」「改善要望・週次対応」「情報共有のみ」の三軸に振り分け、それぞれ別のチャネル・別の担当者に流す構成です。ここも分類器のスキルを差し替えるだけで、配信パイプラインはほぼ流用できます。
競合企業のプレスリリース・求人動向・SNS発信を継続的にウォッチし、「自社戦略に即影響」「中期的に検討すべき変化」「単なる動向把握」の三軸に分けて経営層と現場に配信します。月次の経営会議で都度ゼロから調べるのではなく、毎日少しずつ蓄積していく仕組みに切り替えられます。
3つに共通するのは、「人間が読む量を増やさず、判断軸だけ整理する」という発想です。私たちがクライアントに提案するとき、まずやるのは「読まないものを決める」会議です。三軸トリアージはその合意を仕組み化する手段として極めて筋が良いと考えています。
Hermes Agentの常駐性と長期運用がどこまで伸びるかを示した代表事例はこちらです。
常駐運用を支える3層メモリの仕組み自体を技術解説した記事はこちらです。
Mac Mini常駐構成の実コスト試算はこちらです。三軸トリアージのような常時稼働パイプラインを組む前提として参考になります。
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