PCの電源が切れていても動く、クラウド定期実行の仕組み
Routinesは、Anthropicのクラウド上でClaude Codeを定期実行する仕組みです。 「何をやるか(プロンプト)」「どのリポジトリで作業するか」「どの外部サービスと連携するか(コネクタ)」を ひとつのルーティンとして保存しておくと、決まった時刻に自動でClaude Codeのセッションが立ち上がり、 仕事を終えて結果を残してくれます。
最大の特徴は、あなたのPCが一切関与しないことです。 実行されるのはAnthropicが管理するクラウドインフラの上なので、 ノートPCを閉じていても、電源が切れていても、出張中でも、あなたが寝ていても、ルーティンは動き続けます。
経営者向けに翻訳すると: Routinesは「毎朝、あなたより先に出社して仕事を終えているAI担当者」です。 朝PCを開いたら、前日の集計レポートができている。問い合わせの分類が終わっている。 サイトの巡回チェックが済んでいる——この状態を、月々のサブスクリプションの範囲内で作れます。
なお、Routinesは執筆時点でリサーチプレビュー(研究段階の先行公開)です。 動作や上限、画面構成は今後変わる可能性があります。 利用できるのはPro / Max / Team / Enterpriseプランで、Claude Code on the webが有効になっているアカウントです。
これまでClaude Codeの定期実行は、基本的にローカル(自分のマシン)前提でした。/loopはターミナルを開いている間しか動きませんし、 毎朝決まった時刻に動かしたければ、Macのlaunchdやcronといった OSのスケジューラを自分で設定する必要がありました。 これはエンジニアでなければかなり敷居の高い作業ですし、 設定できたとしても「マシンがスリープしていたら動かない」という制約からは逃れられません。
Routinesの登場で、この自作前提が変わりました。 クラウド側で動く公式の仕組みができたことで、 OSの知識がなくても、マシンの電源状態を気にしなくても、「毎朝AIが勝手に働く」状態を対話だけで作れるようになったのです。
現在のClaude Codeには、定期実行の仕組みが3つあります。 「どこで動くか」「何にアクセスできるか」が異なるため、まずこの3層構造を頭に入れてください。
使い分けの基準: 「マシンの状態に関係なく、確実に毎日回したい業務」はRoutines。 「手元のファイルやローカル環境を触る必要がある作業」はDesktopスケジュールタスク。 「作業中の数分おきの張り付き監視」は/loop。 迷ったら「PCの電源が切れていても動いてほしいか?」で判断してください。 YESならRoutines一択です。
Claude Code Desktopアプリのサイドバーにある「Routines」から、 クラウド実行(Cloud)とローカル実行(Local)のどちらかを選んで作成できます。 Localを選ぶとDesktopスケジュールタスクになり、自分のマシン上で動きます。 手元のファイルに直接アクセスできる反面、アプリが起動していてマシンが起きている間しか実行されません。
スリープ中に実行時刻を逃した場合は、次にマシンが起きたときに 直近の1回分だけキャッチアップ実行されます(それより古い分は破棄)。 「朝9時のタスクが、実際には夜11時に動く」こともあり得るので、 時刻が重要なタスクは「17時を過ぎていたらレビューは省略して要約だけ投稿して」のような ガードレールをプロンプト側に書いておくのが実践的です。
今開いているセッションの中で、一定間隔でプロンプトを繰り返し実行する仕組みです。 詳しくは「定期実行とスケジュール」のページで解説しています。
なお、似た文脈で登場する/goalは定期実行ではありません。 「テストが全部通るまで」のような完了条件を設定して、 満たされるまで今のセッションを走らせ続ける仕組みです。 時間で繰り返すのが/loop、条件を満たすまで粘るのが/goal、 セッションと無関係にクラウドで回すのがRoutines——と整理すると迷いません。
ルーティンを起動する方法(トリガー)は3種類あり、1つのルーティンに複数を組み合わせることもできます。
毎時・毎日・平日のみ・毎週といったプリセットから選ぶか、 特定の日時に1回だけ実行する「ワンオフ実行」を設定します。 時刻は自分のタイムゾーンの壁時計時刻で指定でき、クラウド側で自動変換されます。 実行間隔の最小は1時間で、「2時間おき」「毎月1日」のような細かい指定は CLIの/schedule updateからcron式で設定できます。
なお、負荷分散のため実際の開始は指定時刻から数分ずれることがあります (ずれ幅はルーティンごとに一定)。「9時ちょうどに1秒も違わず」という精度は求めない前提で設計してください。
ルーティンごとに専用のHTTPエンドポイントとトークンが発行され、 外部システムからPOSTリクエストを送ると即座に実行が始まります。 監視ツールのアラート、デプロイ後の自動確認など、 「何かが起きたときにAIに調査させる」用途に使えます。 リクエストに任意のテキスト(アラート内容やエラーログなど)を添えて、 その回の実行にだけ渡すこともできます。
接続したGitHubリポジトリでプルリクエストの作成・マージやリリースが発生したとき、 自動でルーティンが走ります。「PRが開かれるたびに自社のチェックリストでレビューする」 「本体の変更を別リポジトリに自動で反映する」といった使い方ができます。 作者・タイトル・ラベルなどの条件で絞り込むフィルタも設定可能です。
作成方法は3つあります。Webのclaude.ai/code/routines、 Desktopアプリの「Routines」メニュー、そしてCLIの/scheduleコマンドです。 どこで作っても同じクラウドアカウントに保存されるため、作った場所以外からも見えます。 いちばん簡単なのはCLIで、次のように頼むだけです。
/schedule 毎朝9時に、昨日の作業内容をまとめた日報を作成してこう入力すると、Claudeが対話形式で「どのリポジトリで動かすか」「プロンプトの詳細」などを 順番に確認してくれます。cron式もYAMLも書く必要はありません。 日本語で要望を伝えれば、あとはClaudeが設定を組み立ててくれます。/routinesという別名でも同じコマンドが呼び出せます。
1回だけの予約実行も、自然な言葉で頼めます。
/schedule 明日の朝9時に、今週の問い合わせ対応の進捗をまとめて
/schedule 2週間後に、キャンペーン用に追加した設定の後片付けをしてClaudeが現在時刻から日時を解釈し、確定したタイムスタンプを確認してから保存します。 ワンオフ実行は1回動いたら自動で無効化されるので、「未来の自分へのリマインダー」としても使えます。
作成済みのルーティンの管理も、コマンドで完結します。
# ルーティンの一覧を表示
/schedule list
# 既存ルーティンの内容やスケジュールを変更
/schedule update
# 次の予定時刻を待たずに今すぐ実行
/schedule runCLIから作れるのはスケジュール起動のルーティンのみで、 API起動やGitHubイベント起動を追加したい場合はWeb側の編集画面から設定します。 また、/scheduleはclaude.aiアカウントでのログインが前提です。 APIキー認証で使っている場合はコマンド自体が表示されないので、 その場合もWebのclaude.ai/code/routinesから作成・管理できます。
Routinesの実行中には、権限確認も承認プロンプトも一切ありません。 あなたが見ていない場所で、Claudeが最初から最後まで自分の判断で動きます。 つまり、保存しておくプロンプトの質がそのまま成果の質になります。 「何をするのか」「何ができたら成功なのか」を、それだけ読めば分かるように書き切ってください。
# ルーティンに保存するプロンプトの例(日報ルーティン)
昨日1日分の作業内容をまとめた日報を作成してください。
1. リポジトリの昨日のコミット履歴を確認する
2. マージされた変更と、進行中の作業を分類する
3. 「完了したこと / 進行中のこと / 気になる点」の
3項目で日報をMarkdownにまとめる
4. まとめをSlackの #daily-report チャンネルに投稿する
成功条件: Slackに日報が1件投稿されていること。
コミットが1件もない日は「昨日の作業はありません」とだけ投稿する。手順を細かく縛るというより、「何を確認し、どこに、どんな形で残すか」と成功条件を明示するのがコツです。 コミットゼロの日の振る舞いのように、例外時の動きまで書いておくと、無人実行でも結果が安定します。
もうひとつ重要なのが連携範囲の絞り込みです。 ルーティン作成時には、あなたがclaude.aiに接続しているコネクタ(SlackやLinearなどの外部サービス連携)が デフォルトですべて含まれます。実行中はそのすべてのツールを承認なしで使えてしまうため、そのルーティンに必要ないコネクタは外しておくのが原則です。
また、ルーティンはあなた個人のアカウントに属し、実行中の行動はすべて「あなたとして」行われます。 GitHubへのコミットもSlackへの投稿も、あなたの名義で残ることを前提に設計してください。
Routinesが向いているのは「無人で、繰り返し行われ、成果の形が明確な仕事」です。 中小企業の実務に引き付けると、たとえば次のような使い方になります。
毎朝の定時実行で、前日の作業履歴・変更内容を集計してSlackに要約を投稿します。 朝礼の前に「昨日何が進んだか」が全員に共有されている状態を、人の手をかけずに作れます。
平日の夜間に、たまった課題やタスク一覧をAIが読み、分類・ラベル付け・担当の割り振り案の作成までを済ませて、 朝までにサマリーを投稿しておきます。始業と同時に「整理済みの仕事のリスト」から1日を始められます。
週1回、サイトやマニュアル類を巡回して「実態とずれてきた記述」を洗い出し、修正案まで作らせておきます。 ドキュメントの陳腐化は放置されがちな典型業務ですが、週次ルーティンにすれば自動で回り続けます。
API起動を使い、システムの更新作業が終わったタイミングでルーティンを呼び出して、 動作確認とエラーログのチェックを行わせ、結果を報告チャンネルに投稿します。 「更新後の確認を忘れて翌朝トラブルに気づく」という事故を仕組みで防げます。
claude.ai/code/routinesで確認できます。Routinesは、Claude Codeを「開いている間だけ働くツール」から 「あなたのPCと無関係に働き続けるAI担当者」に変える仕組みです。 定期実行の選択肢はRoutines(クラウド)・Desktopスケジュールタスク(ローカル)・/loop(セッション内)の 3層になり、launchdやcronを自作しなくても、公式の仕組みだけで無人運用が完結するようになりました。 まずは/schedule 毎朝9時に日報を作ってのような1本から始めて、 実行結果を数日確認しながら、任せる業務を少しずつ広げていってください。 「朝起きたら仕事が終わっている」体験は、一度味わうと戻れなくなります。