Claude Codeのサブエージェント上限|暴走委任を防ぐ
「AIに任せて放置していたら、いつの間にかエージェントがエージェントを呼び続けて止まらなくなっていた」——無人でClaude Codeを回す人が、一度は不安になる場面です。
結論から言うと、サブエージェントの暴走は CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENTS_PER_SESSION という1つの上限設定で止められます。既定は200で、これを超えるとそのセッションでは新しいサブエージェントが生成されません。
株式会社Fyveは、常時起動のMac miniで複数の無人ジョブを並走させています。この記事では設定の仕様に加えて、私が実際にどこへ天井を張っているかまで、無人運用の目線で解説します。
サブエージェントの「暴走委任」とは何か
サブエージェントは、親のセッションから作業を切り出し、別の文脈で並行して走らせる仕組みです。調査・実装・レビューを分担させると、1本の長い会話に全部を詰め込むより速く、文脈も汚れにくくなります。基本的な使い方は次の記事にまとめています。
便利な一方で、無人運用には固有の危うさがあります。それがサブエージェントがさらにサブエージェントを呼ぶ「入れ子の委任」です。1つが3つを呼び、その3つがまた3つずつ呼ぶ——といった具合に、委任が再帰的にふくらんでいく状態を指します。
人が横に座っていれば「さすがに増えすぎだ」と気づいて止められます。しかし深夜のバッチや常時起動機のように、誰も画面を見ていない環境では、この増殖を止める人がいません。
具体的な壊れ方は3つです。
- トークン消費が跳ねる:本来1本で終わる作業が数十本に分裂し、そのぶん課金が膨らむ
- APIのレート上限に当たる:短時間に大量のリクエストが飛び、処理そのものが詰まる
- 成果物が収拾不能になる:どのサブエージェントが何をしたのか追えなくなり、結果の統合が破綻する
入れ子の委任は、特別な設定をしなくても起こります。たとえば「この作業を分割して並列で進めて」とオーケストレーター役に頼むと、その子が「自分の担当をさらに細かく分けよう」と判断し、孫のサブエージェントを呼ぶ——という連鎖は自然に発生します。設計が悪いというより、委任という仕組みそのものが再帰的だからです。だからこそ、意図とは関係なく増え続けたときに止める「外側の天井」が要ります。

CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENTS_PER_SESSION の仕様
この暴走を止める仕組みが CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENTS_PER_SESSION です。2026年7月17日公開の Claude Code v2.1.212 で追加されました。公式のリリースノートは次のように記しています。
「Added a per-session cap on subagent spawns (default 200, override with CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENTS_PER_SESSION) to stop runaway delegation loops」(サブエージェント生成にセッション単位の上限を追加。既定200、同変数で上書き可。暴走する委任ループを止めるため)。
仕様を整理すると次のとおりです。
項目 | 内容 |
|---|---|
対象 | 1セッションで生成するサブエージェントの累計数 |
既定値 | 200 |
変更 | 正の整数で上書き可(上限なし) |
無効化 | できない(0やオフには設定できない) |
リセット |
|
追加バージョン | v2.1.212(2026年7月17日) |
誤解しやすい点:「同時実行数」ではなく「累計生成数」
ここは間違えやすいので強調します。この上限は、並列で"同時に"走らせられる数の上限ではありません。1セッションで累計何回サブエージェントを生成したか、の上限です。
ですから、1つずつ順番に呼んでいたとしても、累計が200に達すればそれ以上は生成できません。逆に、同時並列数そのものを絞りたい場合は別の設計課題であり、この変数では制御しません。混同しないようにしてください。
そして /clear で会話をリセットすると、このカウンタも戻ります。長時間ジョブでは、区切りのよいところで意図的に /clear を入れると、累計が無用に積み上がるのを避けられます。
上限に達したときの挙動と気づき方
累計が上限に達すると、それ以降のサブエージェント生成の要求は通らなくなります。処理が静かに止まったように見えるため、無人運用では「なぜ進まないのか」に気づきにくいのが難点です。
対策はシンプルで、上限に張り付いたことをログに残しておくことです。ジョブの実行ログにサブエージェントの起動回数を出しておけば、上限に達したのか、それとも別の原因で止まったのかを後から切り分けられます。上限は「事故を止める」ための仕組みで、「事故に気づく」のはログの役割——このふたつを分けて設計すると運用が安定します。
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v2.1.212では、同じ「暴走を止める」系として CLAUDE_CODE_MAX_WEB_SEARCHES_PER_SESSION(Web検索の回数上限・既定200)も同時に追加されました。ここに予算の上限を加えると、無人運用の非常ブレーキは3つそろいます。
大事なのは、3つは止める「軸」が違うことです。
- Web検索の上限=回数の軸。外向きの検索呼び出しがループするのを止める
- 予算の上限=金額の軸。トークン課金が想定を超えて膨らむのを止める
- サブエージェントの上限=委任数の軸。内部で委任が入れ子に分裂するのを止める
同じ「200」という数字でも役割は別物です。3方向それぞれに天井を張っておくと、どこか1つが暴走しても、被害がその軸で頭打ちになります。

回数と金額の天井については、それぞれ次の記事で詳しく扱っています。
実運用でどこに天井を張るか
私の常時起動機では、記事執筆・発信・情報収集といった複数の無人ジョブが1日に何度も走ります。各ジョブは数本から十数本のサブエージェントを使う設計です。
この規模だと、正常な1ジョブが累計200に達することはまずありません。つまり既定の200は、日常運用で当たる数字ではなく、「明らかに何かがおかしい」ときに効く非常ブレーキとして置いておく値です。
無人で回すジョブほど、「気づくのが遅れる」というコストが乗ります。日中に手元で動かしていれば数分で気づく異常も、夜間バッチでは翌朝まで走り続けかねません。金額や時間ではなく「生成数」という早い段階の指標で止められるこの上限は、その意味で無人運用と相性がよい設定です。
ただし、ジョブがサブエージェントを再帰的に増やす設計になっていると、たった1つのバグで一気に200へ張り付くことがあります。そこで私は、次の考え方で天井を落としています。
- 正常時のピーク生成数を実測する:普段そのジョブが何本のサブエージェントを使うかを、まず数える
- その2〜3倍を上限にする:正常な変動は吸収しつつ、暴走だけを早い段階で止められる高さに設定する(普段のピークが12本なら、上限は30前後に置くイメージです)
- ジョブの区切りで
/clearする:長時間ジョブでもカウンタが積み上がらないようにする
既定の200のまま放置すると、暴走に気づくのが「200本生成し切ったあと」になります。正常値の2〜3倍まで下げておけば、被害が小さいうちに頭打ちにできます。これは無人運用ならではの守り方です。
設定方法
環境変数として渡すだけです。settings.json の env に書いておくか、シェルの環境変数として設定します。
// settings.json
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENTS_PER_SESSION": "40"
}
}無人(claude -p)で回すジョブの場合は、起動スクリプト側で export CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENTS_PER_SESSION=40 のように書いておくと、ジョブごとに確実に適用できます。値はあくまで例で、実際は自分のジョブの正常値を測ってから決めてください。
上限を下げるべきジョブの見分け方
すべてのジョブで天井を下げる必要はありません。判断の目安は「そのジョブがサブエージェントの数を動的に増やすかどうか」です。
- 下げたほうがよい:作業量に応じて本数が変わる設計(対象ファイルの数だけ分割する、見つかった項目ごとに検証役を立てる、など)。入力次第で本数が読めず、暴走の余地が大きい
- 既定のままでよい:使うサブエージェントが固定で、コード上で本数が決まっている設計。想定を超えて増えること自体が起きにくい
動的に増える設計ほど、正常値と暴走値の差が「バグ1つ」で生まれます。そういうジョブから優先して天井を落とすと、かけた手間に対して事故防止の効果が大きくなります。
まとめ
サブエージェントの暴走委任は、CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENTS_PER_SESSION(既定200)で止められます。これは同時実行数ではなく、1セッションの累計生成数の天井で、/clear でリセットされます。
そして、回数(Web検索)・金額(予算)・委任数(サブエージェント)の3つの天井を役割で分けて張ると、無人運用の事故は構造的に減ります。私たちは正常値の2〜3倍を上限に、非常ブレーキとして常時設定しています。AIに任せる範囲を広げるほど、この「上限をどこに置くか」の設計が効いてきます。
Claude Codeを「素のまま」使うな

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