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2026/06/29Claude Code
AI活用非エンジニア向け

介護現場のClaude Code活用|記録・書類を任せる

介護現場のClaude Code活用|記録・書類を任せる

「介護記録に毎日30分とられる」「申し送りや書類づくりが残業の原因になっている」——人手が足りない介護現場ほど、記録と書類の負担が静かに効いてきます。

結論から言うと、こうした「書く・まとめる・転記する」作業の多くは、Claude Code(クロードコード/AIに日本語で指示して文章作成やファイル処理を任せられるツール)に下書きを任せられます。ただし介護データは扱いに注意が要る情報です。

株式会社Fyveは介護・建設業界を中心にAI業務効率化を支援しています。本記事では、何を任せられて、何は人が握るべきか——「介護 × Claude Code」の現実的な線引きを、私が現場で見てきた範囲でお伝えします。

介護現場の「記録・書類」がなぜこんなに時間を奪うのか

介護の仕事は、利用者へのケアそのものより、その周辺の「記録と書類」に時間を取られがちです。ケア記録、申し送り、ヒヤリハット、月次の実績、シフト、家族への報告——どれも一つひとつは小さくても、毎日・毎月積み上がると無視できない量になります。

しかもこれらの多くは「頭の中にある内容を、決まった様式の文章に整える」作業です。介護の専門性が要るのは判断やケアの中身であって、それを清書する手間ではありません。ここがAIの得意領域と重なります。

実際、現場の介護士からは「口頭メモや箇条書きをそのまま貼って『ケア記録にして』と投げるだけで、毎日30分かかっていた記録が5分になり、残業も半分になった」という報告が出ています(現場介護士の投稿)。夜勤明けの疲れた頭でも使える、という点が評価されています。

つまり、Claude Codeは「もう一人の事務スタッフ」として、記録・書類の下書き役を任せられる存在です。本記事では、記録/書類/問い合わせ/シフトの4つの場面に分けて、頼み方と注意点を整理します。

任せられる4つの仕事

介護記録・申し送りをClaude Codeに任せる

最初に試しやすいのが、毎日発生する記録・申し送りです。やり方はとてもシンプルで、難しいコマンドを覚える必要はありません。

箇条書きのメモを、ケア記録の文章に整える

Claude Codeへの頼み方は、たとえばこうです。

  • 「次の箇条書きを、当施設のケア記録フォーマットに整えて。事実と所感を分けて、です・ます調で」
  • そのあとに、走り書きのメモ(食事量、入浴、排泄、表情の変化など)をそのまま貼り付ける

これだけで、整った記録文の下書きが返ってきます。補足すると、最初に「当施設のフォーマット」を一度教えておけば、次回以降は同じ型で出力されるようになります(この「型の固定」は後述します)。

面談・申し送りの録音を、文字に起こして記録化する

もう一歩進めると、音声の記録化まで任せられます。Claude Codeに日本語で「この録音を文字起こしして、申し送り記録にまとめて」と頼むと、裏側で文字起こしの処理を呼び出し、テキスト化から整形までを行います。利用者が専門ツールを直接操作する必要はありません(手順の解説はこちらの記事で紹介されています)。

家族との面談や多職種カンファレンスの音声を、後から手で書き起こす必要がなくなる——これは記録業務の中でも特に重い部分です。ただし録音や音声の扱いには、後半で述べる個人情報の注意が強く関わります。

書類業務を「AI社員」として定型化する

記録の次に効くのが、月次・定期で発生する書類です。Claude Codeは、ターミナル(パソコンに文字で指示する画面)やデスクトップから動くAIエージェントで、「コマンドラインでできることは何でも」こなせると公式に説明されています(Claude Code公式ドキュメント)。文章作成だけでなく、ファイルの読み込み・整形・出力まで一気に任せられるのが特徴です。

Word・Excel・PDFの書類を直接つくる

Claude Codeの開発元であるAnthropicは、書類を扱う公式の「スキル」(特定作業の手順をまとめた拡張機能)を公開しています(anthropics/skills)。介護の書類業務に直結するものを挙げます。

  • Word(docx):報告書・各種計画書・家族向けレター。見出しや表を含むテンプレートに沿った文書を生成できる
  • Excel(xlsx):実績記録・シフト表・集計表。数式やグラフの作成・編集まで対応
  • PDF:紙の介護記録や帳票をスキャンしてOCR(画像内の文字を読み取る処理)で検索可能にする、表の抽出、フォームへの自動入力、結合・分割

とくにPDFのOCRは、紙で運用してきた古い帳票をデジタル化したい事業所にとって現実的な一歩です。「このスキャンPDFの文字を読み取って、Excelの一覧表にして」と頼めば、転記作業がそのまま不要になります。

「業務の型」を一度だけ教えておく

反復する書類で効くのが、業務の型をAIに固定しておく考え方です。Claude Codeには、プロジェクトのルールを書いておく「CLAUDE.md」という設定ファイルがあり、ここに自施設の様式や言い回しのルールを書いておくと、毎回同じ品質で出力されるようになります。

現場でも「CLAUDE.mdで業務の型を固定すると、反復業務が安定する」という指摘が出ています。毎回ゼロから指示を書き直すのではなく、「型を渡すだけ」で書類が出てくる状態をつくる——これが、単なる便利ツールから「AI社員」への分かれ目です。

自施設独自の様式に合わせたければ、その様式専用のスキルを作ることもできます。専門知識がなくても、Claude Codeに「この様式に合わせるスキルを作って」と相談しながら整えていけます。

非エンジニアの方が無理なく使い始める手順は、こちらの記事で詳しく解説しています。

Claude Code 非エンジニア向け完全ガイド|経営者・営業・事務が使いこなす方法
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書類を「型」で安定生産

問い合わせ対応・多言語対応もAIに渡せる

記録・書類以外にも、コミュニケーション系の文章作成は相性が良い領域です。

家族や関係機関への返信文の下書き

家族からの問い合わせ、ケアマネジャーや医療機関への連絡——こうした文章は、丁寧さと正確さの両立に気をつかうぶん時間がかかります。Claude Codeに「この問い合わせに、丁寧で簡潔な返信文を作って。専門用語は避けて」と要件を箇条書きで渡せば、整った下書きが返ってきます。あくまで下書きであり、最終的な確認と送信は担当者が行う前提です。

外国人スタッフ向け教材の多言語化・ふりがな付与

Claude Code固有の活用として実例が出ているのが、教材の多言語化です。外国人スタッフ向けのマニュアルや教材を、多言語に翻訳し、漢字へのふりがな付与まで自動化した、という報告があります(利用者の投稿)。人手不足を外国人材で補う介護事業所が増えるなか、教育コストを下げる実務的な使い方です。

ここまでが「任せられる」側の話です。次が本記事で最も重要な、「人が握るべき」線引きです。

要配慮個人情報の線引き——ここだけは人が握る

介護データは、本人の心身の状態や病歴を含むため、個人情報保護法上の「要配慮個人情報」(取り扱いに特に配慮が必要な情報)に該当します。便利だからといって、利用者の氏名や病名をそのままAIに入力するのは避けるべきです。現場からも「個人情報をAIに投げる方法を安易に教えるのは危険だ」という強い警告が出ています(現場からの警告)。理由と対策を整理します。

なぜ注意が必要か

  • 越境移転の問題:多くの商用AIは海外サーバーで処理されるため、要配慮個人情報を入力すると、外国への個人データ移転にあたり、本人同意の論点が生じます(参考:医療・介護のAIプライバシー解説
  • ハルシネーション(もっともらしい誤り):AIは事実でない内容を自然な文章で出すことがあります。AIが生成した記録は、必ず担当者が確認・修正してから正式な記録にする必要があります

現場で守るべき4つの基本

  • 固有名詞は匿名化して入力する:氏名は「A氏」「80代女性」のように置き換える。施設名・住所も同様
  • AI生成物は必ず人が確認してから正式記録に:下書きはAI、最終責任は人。専門判断はAIに渡さない
  • 学習に使われない設定を確認する:入力した内容がAIの学習に使われない設定になっているかを確認し、機密性が高い業務は法人向けの契約形態(Enterprise/API)を検討する
  • 「その場で使い捨て」の設計にする:個人情報そのものを保存・蓄積させず、整形した結果だけを残す。実際に、個人情報を扱わずその場使い捨ての設計で集計ツールを作った例も報告されています

整理すると、AIに任せるのは「文章を整える・転記する・集計する」という形式的な作業であり、「誰の情報か」「正式記録としてよいか」「専門的にどう判断するか」は人が握る——この境界線を施設のルールとして決めておくことが、安全に使い続ける前提になります。

AIに渡す作業と人が握る判断

シフト作成という「面倒だが定型」な仕事

シフト調整も、Claude Codeに叩き台を任せやすい業務です。「希望休・最低人数・連勤の上限」といった条件を箇条書きで渡すと、5分ほどで叩き台が返ってくる、という現場の報告があります。コツは、条件をあいまいにせず明確に書くことです。

シフトは個人の希望が絡むため最終調整は人が行いますが、ゼロから組むのと、叩き台を直すのとでは負担がまったく違います。なお、スタッフの希望休やプライベートな事情は個人情報に近いため、ここでも氏名は記号化するなどの配慮をしておくと安心です。

どこから始めるか——介護事業所の現実的な第一歩

最後に、過度な期待を避けるための実態をお伝えします。現時点で実例が豊富なのは、記録・申し送り・書類の下書きといった「形式作業」の段階です。レセプト(介護報酬の請求業務)や加算書類、ケアプランの本格的な自動化については「可能」という声はあるものの、実例はまだ乏しいのが正直なところです。

だからこそ、始め方はスモールステップが安全です。

  • まず記録・申し送りから:効果が出やすく、リスクも管理しやすい。匿名化のルールを決めてから始める
  • 次に定型書類:Word・Excel・PDFの月次書類を、型を固定して任せる
  • 請求・ケアプランは慎重に:制度に直結する書類は、人の確認を厚くし、いきなり丸投げしない

「全部をAIに置き換える」ではなく、「人がやらなくていい作業から1つずつ渡していく」。介護のように専門性と責任が重い現場ほど、この順番が効きます。

AIを単発の道具ではなく、業務を任せる「社員」として育てる考え方は、こちらの記事でも整理しています。

Claude Codeを"AI社員"にする自動化術
Claude CodeClaude Codeを"AI社員"にする自動化術

まとめ

介護現場でのClaude Code活用は、特別な開発知識がなくても、記録・申し送り・書類・問い合わせ・シフトといった「書く・まとめる・転記する」仕事から始められます。

  • 毎日の記録は、箇条書きを貼って「整えて」と頼むだけで下書きが完成する
  • 書類は、Word・Excel・PDFの公式スキルと「業務の型」の固定で安定して量産できる
  • 外国人スタッフ向け教材の多言語化など、Claude Code固有の使い方も実例が出ている
  • 要配慮個人情報は匿名化し、AI生成物は必ず人が確認してから正式記録にする
  • 記録・書類から小さく始め、請求・ケアプランは慎重に——この順番が安全

AIに作業を渡すほど、人は本来のケアと判断に時間を使えます。介護こそ、AIと人の役割分担がいちばん活きる現場だと私は考えています。

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